金融庁の取り組み、ブロックチェーンに関する新国際ネットワークBGINとは?

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金融庁は、主要20か国・地域(G20)財務大臣・中央銀行総裁会議にて問題提起をした「G20:分散型金融システムのガバナンスの課題についての取組み」について、金融庁の公式Webサイトにてそのまとめを公開しています。
 
公式サイトには、分散型金融システムのガバナンスにおける課題や新たに設立されたブロックチェーンに関する新しい国際的なネットワーク「BlockchainGovernance Initiative Network(BGIN)」の概要や設立の経緯についてまとめられています。
 
この記事では、分散型金融システムのガバナンスにおける課題に対する金融庁およびG20の取り組みや新国際ネットワークBGINについて、紹介・解説していきます!
 

分散型金融システムのガバナンス問題

日本は議長国を務めた2019年のG20にて、ブロックチェーン技術に基づく分散型金融システムのガバナンスに関する問題を提起しました。
 
非中央集権を基本概念とするブロックチェーン技術による分散型金融システムでは、完全に仲介者のいないP2P(Peer to Peer)による新たな金融取引(サービス)を実現する可能性があります。
 
分散型金融システムは、ブロックチェーン技術による金融取引の自動化が実現することで、その自立性が進展し、高いプライバシー性や耐改ざん性により金融インフラに強固なセキュリティをもたらすなど、多くの利便性があるといわれています。
 
一方で、高いプライバシー強化技術が発展することで、サイバースペースにおける不正取引の追跡可能性が損なわれるなど、(中央集権による)現在の規制の枠組みでは既存の規制の執行能力が失われる恐れがあることから、規制当局にとってはガバナンスにおける大きな課題となる可能性があります。したがって我々は、そのメリットとデメリットについて注視していかなければなりません。
 
そこで日本は、今後の分散型金融システムに関して、規制当局や技術者等を含む幅広いステークホルダーとの間の対話を強化することの重要性について問題提起し、この問題について国際社会における課題として取り組むよう提案し、先のG20にて国際的な合意を得ることができました。
 
また金融庁と日本経済新聞社は、ブロックチェーン技術の健全な発展と新規ビジネスへの取り組みを議論する国際会議「Blockchain Global Governance Confer-ence [BG2C]」「FIN/SUM BB」(金融庁・日本経済新聞社共催)を定期開催しています。
 
金融庁は2020年3月10日、当初開催を予定していた「BG2C」「FIN/SUMBB」を新型コロナウイルス感染拡大防止対策として延期を決定し、急きょ「特別オンラインパネル討論」を開催しました。金融庁はオンラインパネル討論にて、米ジョージタウン大学の松尾真一郎研究教授よりBGIN設立の発表を行いました。

BGIN設立 宣言 、目的と 活動内容

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出典:https://bgin-global.org/event/
BGINは、ブロックチェーンコミュニティの持続的な発展を実現するために、すべてのステークホルダーが共通理解を深め、直面する課題に協働で取り組むためのオープンで中立的な場を提供することを目的としています。
 
創設メンバーにはブロックチェーン技術に関するさまざまなステークホルダーグループ関係者23名が集まり議論を行い、新たなグローバルネットワークの構築に合意し、設立が決まりました。
 
ちなみにBGIN創設メンバー23名には、日本の金融庁ほか、国際金融協会、大手暗号資産取引所、大学教授、ビットコインやイーサリアムの開発者など、マルチステークホルダーといえる面々が参画しています。

BGIN創設メンバー一覧

  • Julien Bringer(Kallistech)
  • Brad Carr(国際金融協会[IIF])
  • Michele Finck(マックス・プランク研究所)
  • Joaquin Garcia-Alfaro(Institut Mines-Telecom/パリ工科大学)
  • Byron Gibson(Stanford Center for Blockchain Research)
  • Hui Li(Huobi Blockchain Academy)
  • Philip Martin(Coinbase)
  • 松尾真一郎(BSafe.network/米ジョージタウン大学)
  • 三輪純平(金融庁 フィンテック室長)
  • Katharina Pistor(米コロンビア大学ロー・スクール)
  • Nii Quaynor (Ghana Dot Com Ltd)
  • Jeremy Rubin
  • Danny Ryan(イーサリアム財団)
  • David Ripley(Kraken)
  • 崎村夏彦(OpenID Foundation)
  • 佐古和恵(Sovrin Foundation)
  • Mai Santamaria(アイルランド財務省)
  • 須賀祐治(インターネットイニシアティブ[IIJ]/CGTF)
  • 鈴木茂哉(BSafe.network/慶應義塾大学/WIDEプロジェクト/BASEアライアンス)
  • 高梨佑太(金融庁 総合政策局総務課国際室/元ジョージタウン大学)
  • Robert Wardrop(英ケンブリッジ大学オルタナティブ・ファイナンス・センター)
  • Pindar Wong(VeriFi(Hong Kong)Limited)
  • Aaron Wright(ベンジャミン・カードーゾ法科大学院)
 
BGINはオープンなネットワークとして、より多くのブロックチェーン関係者の多様な意見を受け入れるために、現在、ブロックチェーン技術に関わるすべてのステークホルダーに対して積極的かつ広範囲に渡り意見を求めています。BGINへは、BGINのGitHubリポジトリから投稿を開始するか、BGINチーム宛てにメールにて連絡をすることで参加することができます。
 
当面は「オープンかつグローバルで中立的なマルチステークホルダー間の対話形成」「各ステークホルダーの多様な視点を踏まえた共通な言語と理解の醸成」「オープンソース型のアプローチに基づいた信頼できる文書とコードの不断の策定を通じた学術的基盤の構築」を、BGINの目標に掲げて活動をしていきます。
 
BGINによるプレスリリース(英語)

BGINロー ドマ ップ

また、BGINは今後の活動ロードマップを公開しています。2020年3月の東京での「特別オンラインパネル討論」のBGIN設立発表を「創世記ブロック」とし、その後、
 
2020年後半:第1回BGINミーティング「BGIN Block 01」
2021年初頭:第2回BGINミーティング「BGIN Block 02」
 
と、将来大々的なミーティングの開催を予定していることを明らかにしました。
 
さらにBGIN公式サイトでは、2020年6月18日の「BGIN online meeting」の概要を公開しています。公開された同ミーティング資料では、BGINのコア・バリュー(価値観)、ワーキンググループ(WG)や研究グループ(SG)などの作業プログラムの現在の概要についても紹介しています。
 
BGINは、単なるディスカッションフォーラムではなく、社会を前進させるために社会的利益に貢献するための具体的な影響力に焦点をあてています。BGINは多様性を重視し、ディスカッションに関しては少人数のグループからの参加を積極的に求めていきます。積極的なコミュニケーションを通じ、議論と意思決定プロセスについては透明化を図ります。
 
BGINは完全にボトムアップのプロセスを取り、このプロセスでは、単一の当事者が議論を指示することはできず、トップダウンの意思決定はありません。常に参加者間の公平性と中立性を重視します。また特定の利害関係者グループの特定の利益を提供することは固く禁じていきます。
 
また、ここまでの活動で、内部および外部の通信インフラストラクチャの整備として、メーリングリスト、Webサイト、GitHubリポジトリの準備をしてきました。

ワーキンググ ループ(WG)と研究グループ(SG)

現時点のBGINには、ガバナンスワーキンググループとIAM/プライバシーおよび鍵管理研究グループの設立が予定されています。
 
ガバナンスWGは、BGIN自体のガバナンスメカニズムの開発を目的としています。組織構造、IPRポリシー、資金調達ポリシーなど、さまざまなトピックについて議論を行います。IAM/プライバシーおよびキー管理SGの目標は、暗号資産交換へのアクセスのためのM ID(キーを含む)およびアクセス管理を説明するガイダンスおよび優れた実践文書を提供することです。
 
現在、それぞれグループの目的と暫定的な作業計画を含む利用規約案(ドラフト)が公開されており、ドラフトにはコミュニケーションツール(メーリングリスト/Slackなど)、編集メカニズム(Github/Googleドキュメントなど)、追加される可能性のある役割(編集者/事務局など)や文書フォーマットなど、グループの運営方法についても提案されています。今後はドラフトを基に議論を進めていくことになります。参加者は、提案に対する意見やアイデアを共有し、グループのキックオフに同意するプロセスをたどることになります。
 
 
IAM/プライバシーおよび鍵管理SGドラフト[PDF]

金融庁もステークホルダーの一員

こうしたBGINの活動は、2019年6月のG20大阪首脳宣言(議長国:日本)[仮訳]の内容とも整合性を図る取り組みです。これまで金融庁は、「ブロックチェーン国際共同研究プロジェクト」や「ブロックチェーンラウンドテーブル」を通じて、さまざまなブロックチェーン・ステークホルダーとの対話や協働を行ってきました。そして、その経験を活かし、BGINにおいても、ステークホルダーの一員として活動に貢献していくことを決定しています。

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