暗号資産一般化へ!メルカリのチャレンジを支えるAML/CFT

業界で活躍する方にお話を伺い、暗号資産(仮想通貨)・ブロックチェーン業界に関わる人々の姿をお届けするインタビュー。

今回は株式会社メルコインのAML&AFC(金融犯罪対策)部で部長を務める岡田瞳氏にお話を伺いました。リスク管理の立場でサービスを支える岡田氏が目指す、AML&AFC部 の姿とは?

岡田 瞳(おかだ ひとみ)氏
株式会社メルコイン AML&AFC部 部長

コンサルティング企業等での勤務を経て、2014年に金融庁入庁。外国銀行在日支店のモニタリング業務等を経て、2017年に暗号資産交換業のAML/CFTモニタリングを担当する。2021年にメルカリグループに入社し、現在はメルコインのAML&AFC部 部長としてAML/CFTに取り組む。

暗号資産との出会い

私は、2021年3月にメルペイに入社し、同年7月からはメルコインにおいて、AML/CFT(マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策)に取り組みつつ、来年以降の暗号資産交換業開業を目指し、登録に向けての準備を進めています。メルコインと同様に犯罪収益移転防止法上の特定事業者であるメルペイのAML&AFC部とも連携しながら、グループ全体の体制を向上させていくのが私の役割です。

メルカリグループに入る前は、2014年半ばから金融庁に在籍し、直近数年では、マネー・ローンダリングチームに在籍していました。ビットコインやブロックチェーンについては、金融庁のさらに前に従事していたコンサルティング会社で、そうしたキーワードに触れる機会があったことから、遅くとも2014年あたりから認知していました。しかし、当時は自らその業界へ飛び込むといったことは考えてはいませんでしたね。

2017年8月に、金融庁でAML/CFTモニタリングの担当業態の一つとして暗号資産交換業を任されたのです。他にもいくつか担当している業態はあったのですが、当時大きく動向が動き注視されていた暗号資産交換業にメインとして携わることになりました。私の暗号資産・ブロックチェーン業界でのキャリアがスタートしたのはここからです。

転職先としてのメルカリグループの魅力

岡田氏インタビュー写真

他の業界ではなく金融機関への転職を決めた背景には、もともと金融庁で培った知識を活かしたいという想いと同時に、企業の中での実務についても経験を積みたいという想いがありました。金融庁の業務だけでは、お客様の利便性とリスク管理という、ある意味相反し得る観点をうまく調整してサービスを作っていく部分が見えないと感じていたのです。

メルカリグループについては、マーケットプレイスで行われる取引も含めた全体のAML/CFT対応に携われるということに非常に魅力を感じました。また、AML/CFTに係るシステム開発にどのように尽力しているのかという内容をまとめた記事がネットで公表されているのを見て、守りの部分も重視している企業なのだということが認識できたのです。

メルコインなら理想的な会社が目指せる

そのため、メルコインでの業務においても、ディフェンスラインの2線3線を大切にしてくれる企業が暗号資産サービスをやるのであれば、管理態勢を考える側としては理想的な会社ができると感じました。ビジネス側はお客様をワクワクさせる便利なプロダクトを作り、2線3線もやらなければならないことがきちんとできる、そうしたバランスの良い会社になっていけると思うのです。

また、メルコインではメルカリ・メルペイといったグループサービスとどのように協力するべきか、相互にリスクを考えて協力しながら態勢を整えていくことが求められます。暗号資産だけではない、より広い視野で仕事ができる機会があることも、メルコインの魅力だと言えるでしょう。

さらに、メルカリグループでは「Diversity & Inclusion」と銘打って、バックグラウンドに関わらず誰もが活躍できる環境づくりを目指しています。そうした違いを認め、対応する文化が、働きやすさにも繋がっていると思います。

魅力であると同時にリスクでもある暗号資産

国境をまたいで瞬時に送金ができたり、渡航先で母国通貨と現地通貨との両替を行う煩わしさがないという暗号資産の特性は、素晴らしいものです。しかし、その魅力はマネーロンダリングやテロ資金供与の観点から見るとリスクでもあります。

2019年にFaceboookからLibra/リブラ(現:Diem/ディエム)の構想が公表されましたね。世界に目を向けると定住地を持たず銀行口座を開設できない人々がたくさんいるという現状があります。金融包摂ともいいますが、そうした人々を取り残さず、みんなが自由にウォレットを開設して資産を保有することができるといった世界観は多くの人の心を踊らせたでしょう。

こんなことを考えている人たちがいたのか!と刺激を受けた一方で、当時の私は当局の担当者として、AML/CFT上の視点からリスクを特定して評価し対策を検討する立場にありました。そこで懸念事項として見ていた部分が、まさに世の中をワクワクさせたポイントでもあったのです。

内側からチャレンジを支える部署に

岡田氏インタビュー写真2

リスクがあるからといって簡単に諦めてしまっては、お客様に面白いものは提供できません。ワクワクするような構想やサービスを内側から支援していくのがAML&AFC部だと思っています。管理側の立場ではありますが、第1線の牽制ありき、ではなく、いかにサービスを安全に実現していけるかを他のチームと一緒に考えていく、そうした働きがしたいですね。

現在のメルコインが求めるAML&AFC部のメンバーとは?

現在のメルコインのAML&AFC部は私と暗号資産交換業出身のメンバーで構成されています。今まさに、サービス開始に向けて新しい仲間を大募集しているところです。

暗号資産交換業出身者はもちろん大歓迎ですが、銀行や証券会社で2線としてのAML/CFTの経験がある方にもぜひチャレンジしていただきたいですね。法令面の知識を持っているだけでなく、マネー・ローンダリング等の犯罪手口やリスクに関心を持ち、理解した上で、それらに対してどのような措置を講じればいいか考えられる方にご活躍いただきたいです。

これからのAML&AFC部

現在は登録に向けての準備期間ですが、サービスが始まってからも第1線のチャレンジを支え続けるチームでありたいです。今あるリスクや規制動向に対応するのみではなく、海外の動きや今後起きうるリスクを社内にインプットするなど、先を見据えた視点で動けるチームになっていきたいですし、業界のAML/CFTをリードできる存在になりたいです。

暗号資産・ブロックチェーン業界で働いていると、技術の発展を間近に見られるのが面白いです。それと同時に、その情報についていくことの難しさもありますね。アンテナを常に高くしていかなければ、知識はあっという間に陳腐化してしまいます。

また、規制の流れや世の中の反応によっても状況は変わっていきます。暗号資産だけをやみくもに見るのではなく、広い視点でしかも深く見ていくことが重要ですね。

暗号資産はなぜまだ一般化していないのか?

日本国内で言うと一部の大手量販店などでもビットコインの支払いができるようになっていたりします。限られた店舗での話にはなってしまいますが、使う場は用意されているわけです。では、なぜそういった状況がありながら、暗号資産の一般化はなかなか進まないのでしょうか?

今、暗号資産の魅力として、世の中では投機・投資にスポットが当たりすぎていると思うのです。実際、暗号資産関連のキーワードで検索をしてみると、ヒットするのはそういったページばかりですよね。

まずはこの認識を変えなければ状況は打開できないでしょう。そのためには、暗号資産を身近に感じていただくというところがスタートになります。そして、我々ならその手助けができると考えています。メルコインが土壌を作ることで、世間の認識を変えていきたいですね。

岡田氏インタビュー写真3

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