NFT業界2021大予想

2021年6月10-11日に開催された「Non-Fungible Tokyo2021」DAY2のセッション“NFT業界2021大予想 NFT industry forecast”をレポートします。

藤本 真衣(ふじもと まい)氏 
MissBitcoin / 株式会社Gracone CEO
本カンファレンスを4年前に立ち上げた発起人でもある。2011年からブロックチェーン・暗号資産領域の普及に貢献して来た1人である。NFT領域においては、ライゾマティクスの真鍋大度氏や、Kevin Abosch氏といった著名アーティストと共にKizunaNFTチャリティープロジェクトの実施やCryptoArtTownというメタバース展示場運営を行なっている。GMOインターネット、BITPoint Japan、Animoca Brands、double jump.tokyo、withB、ToyCash、Anique、Neukindなどのアドバイザーも務め、Decentralizedの元CEOが立ち上げたBigTimeやAxie infinityを運営するsky mavis、Aniqueへ投資するエンジェル投資家でもある。

箭内 実(やない みのる)氏
リンカー株式会社 共同創業者

ザッパラスをはじめ、モバイルコンテンツの公式サービスのディレクターや新規サービスを立ち上げを経験。Infoseek(楽天ポータルサービス)にて広告事業のモバイルプロデューサー、営業などを経験する。
その後、モバイルコミックでの最大手サービス「まんが王国(東証1部・ビーグリー)」の立ち上げや7,000万インストール以上を超えるアプリ事業の責任者としてサービス立ち上げから、ドライブさせるまでを経験。その後は、自身でのモバイル事業会社の立ち上げや中国のNQモバイル(NY上場)の日本立ち上げへの参画などを数々の経験をする。
モバイルコンテンツでのマーケティング経験は10年以上、 モバイルゲーム開発者、グローバル戦略コンサルタント、ビジネス戦略支援など5年以上の経験。
近年はイスラエル、ロシア、ウクライナ、ベラルーシのブロックチェーンを利用したサービスを日本市場への進出支援を行っている。現在、新規のNFTサービスを準備中。

Alex Salnikov(アレックス・サルニコフ)氏
Co-founder at Rarible

クリエイター中心のナンバーワンNFTマーケットプレイスRaribleの共同創業者であり最高個人情報責任者。2012年よりCryptospaceで活躍する開発者であり投資者。市場分析、トークノミクス、およびプロジェクトアーキテクチャの専門家。

Kayvon Tehranian(ケイボン・テヘラニアン)氏
Founder and CEO, Foundation
 
NFTマーケットプレイス「Foundation」CEO兼創業者。2015年、Webサイトビルダーを開発するUniverseのシニア・ソフトウェア・エンジニアを経て、2019年~2020年には、Uniswapを利用し米国の銀行口座から直接DeFiトークンの購入が可能なウォレットDharmaを開発するDharma Labsにてプロダクトリーダーを務める。

Daniel Chu(ダニエル・チュー)氏
MakersPlace CEO

NFTマーケットプレイス「MakersPlace」CEO兼共同創業者。2018年に創業。デジタルアーティストにフォーカスしたレアなNFTアート向けのプレミアムマーケットプレイスを目指し、MakersPlaceを開発。2012年、Pinterestにてエンジニアリングリードを務め、その後サービスを1億MAUに成長させるエンジニアリング組織を構築・拡張・主導するグーロスエンジニアリーダー、アクティベーション・エンジニアリング部長に就任。

自己紹介

藤本氏:まずは自己紹介をお願いします。

ケイボン氏:FoundationのCEO兼創業者で、私たちはNFTプラットフォームです。私はシングルエディションNFTに力を入れていて、数ヵ月前にローンチしたばかりの新しいプロジェクトです。
Foundation.appで私たちのプロジェクトにアクセスできます。

アレックス氏:私はRaribleの共同創業者で、プロダクト責任者です。Raribleは世界有数のNFTマーケットプレイスの1つで、あらゆる種類のNFTに力を入れています。クリエイターのためにサイトを運営しており、私たちのマーケットプレイスで一番人気あるのはMultiple edition NFTです。これはみんなのためのNFTマーケットプレイスです。

ダニエル氏:私はMakersPlaceのCEO兼共同創業者です。MakersPlaceはレアなNFTアート向けのプレミアムマーケットプレイスで、私たちはトップクラスのデジタルアーティストにフォーカスしています。シングル、マルチエディションのどちらもあります。また、毎週世界的に有名なアーティストの限定アートも販売していて、人気があるので、www.makersplace.comをぜひ確認してください

NFTをめぐる現在の状況とトレンドについて


藤本 真衣氏

藤本氏:NFT業界の予想について話す前に現在の状況と現在のNFTトレンドについて教えてください。

アレックス氏:2021年はNFTにとって最高の1年となりました。NBA Top Shotのブームによって多くの人がNFTに触れることになったからです。NFTマーケットについての記事が様々なメディアに登場し、それが多くの人の目に触れるきっかけになり、優秀な人たちが参加するようになりました。

3月にブームのピークが来て、Raribleでの取引高は6,000万ドルを超えました。現在のトレンドとしては供給過多だと思います。みんながトレンドに乗り、NFTを売ろうとしているのです。これからの注目は誰が買うのかなので、この供給過多の状況で誰が長期的に消費者となるのかに注目しています。

ダニエル氏:私のNFTマーケットは2017年にCryptoKittiesから始まりました。CryptoKittiesの誕生はNFT業界のビッグバンだったんです。それから、何年かのベアマーケットがあり、その間に様々な技術が誕生しました。3年前くらいは作るのも、売るのも、買うのも難しかったです。ベアマーケットの間に多くの開発が行われ、多くのプラットフォームが生まれました。

MakersPlaceとしては、去年は次のブームを待っており、このブームでマクロイベントによって暗号資産(仮想通貨)業界も盛り上がると思っていました。それまでは多くの投資や教育、アーティストやコレクターが参入できるようにするなど取り組んできました。

デジタルアート分野ではBeepleなどの大きなセールがあり、2月にはクリスティーズでBeepleの作品が6,900万ドル(75億円相当)で落札されました。明確なマクロ要因から暗号資産業界にブームが訪れ、そこからNFTも一気に成長しました。これによって、業界に多くの資金と新しい人たちが入ってきて、デジタルオーナーシップ、デジタル収集品などのコンセプトが広まりました。これは2回目のハイプサイクルだと思っていて、今はこのサイクルの下降局面だと思っています。

素晴らしいニュースとしては、数年前のピークよりもずっと高いところに到達したことです。この業界はこれからも成長し続けていき、どうなっていくのか楽しみです。

ケイボン氏:2人の意見に少し補足をすると、NFT業界ではマーケットにフォーカスしすぎています。マーケットは上下するものですが、NFTはインターネットに新しい概念をもたらし、不可逆的な進歩を実現しています。NFTによる新しい概念はインターネット上での所有権、利用、ロイヤリティなどで、これらは実際に起きていることで、NFTなしでは存在できません。

NFTはブレイクスルーイノベーションです。マーケットは、大衆心理で上下しますが基本的にマーケットサイクルなどは考える必要がないと思っています。価格がどうなろうともっと多くの人を呼んで、コミュニティを作ることにフォーカスします。

この業界での価格はイーサリアム(ETH)で、ETHの価格は上下しますが、私たちはクリプトにもっと多くの人を呼んで新しいクリプトエコノミーを作ろうとしています。セールや高額な販売やBeepleの75億円はあくまでタイトルにすぎず、実際に起きているのは多くの人が新しいルールで、自分の作品を公開して、共有しています。これはマーケットサイクルの動きに関わらず、不可逆的なもので、NFTはインターネットの新しいレイヤーとなります。

マーケットプレイスがNFTに与えた影響とは

箭内 実氏

箭内氏:NFTマーケット、NFTマーケットプレイスは何を変えたのでしょうか。現在、NFTマーケットは大きく成長していますが、どのようにマーケットプレイスがNFT、そして暗号資産業界を変えたのでしょうか。

アレックス氏:私はマーケットプレイスがこの業界で果たす役割は重要だと思います。

2018年、2019年などはNFTを作るために、スマートコントラクトをデプロイする必要がありました。CryptoKittiesの時代は、自分でスマートコントラクトを作成、デプロイして、それからNFTを発行してからプライマリーマーケットでそれを販売する必要があり、多くのプロジェクトは開発者が中心となっていました。それから、マーケットプレイスができたことで、コードを書くことができなくてもNFTを発行できるマーケットプレイスが誕生し、そして2019年にはいくつかのプラットフォームがNFTの発行で有名となりました。

発行する時に、NFTに色んな情報を記録し、それらがチェーンに記録されるので、最も大切、かつ難しいプロセスです。チェーン上で発行する時に、その作品が本物なのかなどを検証できるようにして、さらに作者のウォレットを用意する必要もあります。マーケットプレイスはクリエイターと多くの人達をクリプトの世界に連れてきました。マーケットプレイスで、現在クリエイターはデジタル署名を行うこともできます。

クリプトアートでは、クリエイターを多く集め、全員にデジタル署名を与え、作品にサインしてもらって、ブロックチェーンに乗せることに力を入れています。マーケットプレイスが、キュレーションを行い、インフラを整えるなど、暗号資産取引所のような役割を果たしています。

マーケットプレイスはNFTの世界におけるハブの役割を果たしていて、NFTが住んでいるブロックチェーンでそれぞれがつながっています。マーケットプレイスは主要なプレイヤーで、この業界の課題を解決していて、それによって新しいユーザーを増やしています。

アートNFTマーケットプレイス構築への3つの必要性


Dannie Chu氏

ダニエル氏:今の話にデジタルアートからの観点で補足をすると、アートNFTマーケットプレイスの構築には3つの必要性があると思っています。その3つはNFTへのアクセシビリティ、信頼、そしてコミュニティです。

このステージで最も重要なのは、誰でもNFTを集めることをできるようにすることです。マーケットには2種類の人がいるべきで、まずは分散型を理解している暗号資産に慣れ親しんでいる人たちです。もう一方の人たち、そしてこっちがマーケットのマジョリティとなるべきコレクターです。ただし、こういった人たちはまだクリプトの世界に来ていません。そして、こういう人たちは自分でウォレットの管理などをしたがらないので、中央集権型取引所のようなところが良いプロキシーとなります。

マーケットプレイスが提供しないといけない大きなものは誰でもNFTを発行、そして収集できる機能です。暗号資産に慣れ親しんでいる人だけでなく、暗号資産について全く知らない人でも使えるようにするために、フィアットやカストディアンなど様々な役割を果たす必要があります。そして、こういったことが特に業界で必要とされていると思います。

次に信用で、これは非常に重要です。ブロックチェーン上で発行すると、永遠で、安全ですが、真正性がないものではなんの価値もなく、むしろこのエコシステムにダメージを与えるだけで、コレクターはNFTを集めず、クリエイターがNFTを使って成功することもできなくなってしまいます。

集めようとしているNFTに真正性や信用、属性があることは非常に重要で、分散型の方法で解決することも可能かもしれないですが、クリエイターと一緒に協力する組織などが必要だと思っています。コミュニティへの信用があることで、フィードバックによって全体が成長し、人がどんどん集まっていきます。もちろん色んな重要なものはありますが、こういった要素を特に重要だと思っています。そして、NFTエコシステムの成長にマーケットプレイスが果たす何らかの役割があると思っています。

発展にはコミュニティが重要な要素

Kavyon Tehranian氏

ケイボン氏:NFTのテクノロジーは何年か前からありました。アレックスやダニーが言ってきたようにNFTは何年も前からあったのですが、活気のあるエコシステムを作ることへの社会的な課題がたくさんありました。ブロックチェーンとトークンだけではそれらは解決できず、多くの人たちの協力と努力が必要でした。

2人が言っていたようにブロックチェーンがあって、誰でもなんでも発行できても、そのNFTには真正性も価値もなく、誰も集めません。なので、大切なのはNFTトークンの先の部分です。エンジニアリングコミュニティとしては、NFTトークンに関しての開発はこれまでたくさんしてきました。これから、本当に必要となるのは他のレイヤーです。

キュレーション、コレクタレーション、デザイン、UX、コンテクストの付与などが含まれていて、様々なプラットフォームがこれらの問題に取り組んでいます。なので、今後数年間で様々な価値のNFTが生まれ、クリエイターもたくさん参加しているでしょう。そのためにも、プラットフォームは教育し、UXを作成し、コミュニティを構築するなど社会的な要素がなければ、NFTはただのデータです。つまり、価値があるのはNFTではなく、コミュニティとNFTの社会的なコンテクストです。

これは、今では誰でも、どこからでもできるようになった何かをブロックチェーンに載せるというシンプルなものではありません。この業界が進歩していることで、必要となっているのはソーシャルレイヤーなのです。Beepleや注目を集めるセールなどの見出しによって、多くの人がNFTの価値を理解します。そういった記事を読んだ人々は、世界にはデジタルアートに数千万ドルの価値を見出す人がいて、それらのデータは全てブロックチェーン上にあり、それはNFTと呼ばれていることを理解し、そこにコミュニティがあることを知るのです。

箭内氏:まとめに、皆さんへの自分のプロダクト、マーケットへのメッセージなどをお話しください。

NFTは創造性のルネッサンス(ダニエル氏)

ダニエル氏:今はデジタル分野にとっては面白い時代だと思います。NFTは最先端で、多くの人が様々な観点から興味を持っています。MakersPlaceという、プラットフォーマーという立場からいうと、NFTは時代を変える技術で、新しいOS、プラットフォームで、世界全体の創造性を変えてしまう技術です。

ここ10年くらい、私たちはデジタルの世界で成長していて、より多くの時間をこの世界で過ごすようになっており、この傾向は変わることはないでしょう。デジタルに持続可能な未来のない世界を想像するのは難しいです。

そしてNFTは新しい経済を作っており、このエコシステムはデジタルクリエイティビティの新たな未来の最前線にいて、この時代は数十年後に振り返ったらデジタルにおけるクリエイティビティのルネッサンスと言われるでしょう。これによってようやくデジタル時代が提供するものを全て活用できるようになり、ここに貢献できることは非常に面白いです。

現在、いろんな種類のNFTがあります。今は、初めてクリエイターが持続可能な方法を見つけていて、毎日のように多くのクリエイターからNFTのおかげで本当にやりたかった創作活動だけに集中できるようになったと言ってもらえます。NFTはクリプトなどを越えて、創造性のルネッサンスを起こしているということを皆さんに伝えたいです。

マーケットよりも情熱とアーティストの創造性を(ケイボン氏)

ケイボン氏:私が伝えたいのは、再度になりますが、NFTにおいてマーケットサイクルに関心を持つことは意味がないことです。そして、皆さんに伝えたいのは、ぜひNFTの世界に飛び込んで、マーケットサイクルの外で今、何が起きているかを見てください。マーケットサイクルは上下どちらであろうと短い期間で、大衆心理ぐらいしか学べません。Foundation上で作品をシェアしている日本人アーティストはたくさんいて、作品自体にも価値があり、オンラインで彼らが作品を発表する新しい方法ができています。これは決してなくなることはないでしょう。

NFTができる前はインターネット上でファイルを誰かに販売することは不可能でした。そして、近い将来、NFT以外でこれを実現できる方法はありません。皆さんがNFTクリエイターになりたいかに関係なく、これは新しく強力で、マーケットとしてではなく創造性として関わることをおススメします。

コレクターの場合、この業界で何が起きているかを理解し、色んな人達と交流することは非常に意味があると思います。なぜなら、NFTによってインターネットはまったく新しいものになろうとしていて、将来的には全てがNFTになるでしょう。

この未来は今から始まっていて、私たちが思っているよりも早いスピードで全てが変わっていくでしょう。そこで、マーケットのタイミングなどに関心を持つのではなく、自分が好きなアーティストを支援できる誇りに思えるものを実際に所有できることに興味を持つことをおススメします。マーケットはNFTの一部にすぎず、最も重要な部分ではありません。例えば私がこの分野に飛び込んだ頃、1ETHは70ドルだったので、これまでETHの価格に興味を持ったことはありません。あくまでエコシステムの一部分にすぎないのです。

価格は大きく上下しますが、ぜひ皆さんの情熱とアーティストの創造性を持ってください。そしてこの業界で新しいことに取り組んでいる人たちこそがこの物語の主役なのです。

デジタルアイテムに満ちた新たな世界を体験しよう(アレックス氏)


Alex Salnikov氏

アレックス氏:ケイボンが言っていたようにインターネット上でファイルを販売することは不可能でした。私の彼女はデジタルアーティストですが、NFTが登場するまでは、そのようなことはできませんでした。クリエイティブエコシステムは、NFT以前はインスタグラムなどのSNS上での広告によってでしかマネタイズできませんでしたが、新しい世界では、新しいマネタイズとしてファイルの販売ができるようになりました。

皆さん、デジタルアイテムと物理アイテムを今どれぐらい所有していますか?私の場合は、自分のコンピュータにしか保有していないアイテム数の方がはるかに少ないです。私はデジタルミニマリズムという考え方が好きで、いろんなクラウドにファイルを保存しています。

世界は急速にデジタル化していて、これまではデジタルで所有するデジタルエコノミーは存在しませんでした。NFTが本当に実現したのはデジタルオーナーシップのレイヤーで、これまでは、ユーザー、プラットフォーム、そしてその上のコンテンツだったのを、ユーザー、コンテンツ、そしてプラットフォームの順番に変えました。NFTでは価値があるものを作成してから、OpenSeaで販売できます。

皆さんには、アートやデジタルクリエイティブエコノミーを越えた、全てがデジタルとなる新しい世界を体験してほしいです。この世界では、物理的なアイテムはもう所有せず、沢山のデジタルアイテムを所有することになります。

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