ミス・ビットコインが語る!世界No.1ブロックチェーンインベント ABS2020の注目ポイント

ABS2020

2020年7月15-19日にかけて、大型ブロックチェーンカンファレンス『Asia Blockchain Summit 2020』が開催されました。モデレータ・スピーカーとしても登壇した株式会社withBの顧問も務める、ミス・ビットコインこと藤本真衣氏が、イベントの様子をお届けします。

毎年世界中の大物が集まる話題のカンファレンス Asia Blockchain Summit(ABS)が、今年はオンラインで開催されました。

世界No.1ブロックチェーンイベントを掲げているABSだけあって、イベントの打ち方も豪華!なんと、ABS専用に動画配信サービスを新しく自作したそうで!さすが…。

冒頭のセッションでABS主催のAndrewが語っていたように、ブロックチェーンはまだまだ一般に普及するには時期が早く、様々な分野で進化が必要です。けれど、去年までのカンファレンスと違って今年は、「いつか!」ではなく、「もうすぐ!」という雰囲気を感じました。

今回のABS2020は ”Become a Blockchain Insider in 5 Days” をテーマに掲げているだけあって、5日間のセッションを見ればブロックチェーン業界の最新情報が全部網羅できる内容になっていました。

ABS2020の凄いところは、ブロックチェーン以外の業界からも著名人を沢山連れてくること。毎日素晴らしいゲストが登壇したので見どころ山盛りでした。

それでは、詳細を見ていきましょう!

1日目:Blockchain For Industries

イベント一日目写真

ブロックチェーンの社会実装全般について、人類の未来についての話題が多かったday1ですが、印象的だったのは、世界経済フォーラム、VeChainの両方のトピックでトレーサビリティの話題が強調されていたことでした。

コロナ禍で多くの偽医療品や偽情報が出回った事もあり、マスクや医療品の本物認証といった切実な問題にブロックチェーンの耐改竄性が注目を集めたのだと思います。私もBinance Charityと共に寄付活動を行なった際、信じられない数の偽医療品に出くわし、偽医療品と正規品を区別するのにかかる浪費時間には悲しみを超えて怒りを覚えました。この詐欺行為があるせいで、支援がどんどん遅れていくのですから。

因みに、私は  “Crypto Merchant: “Your Total is Ten Satoshis for Coffee Please!” Panel discussion Watch” の項目でパネルディスカッションのモデレーターとして参加させていただきました。10satoshiでコーヒーを買えるようになる世界…来て欲しすぎる!(BTC価格が今の3000倍以上!)

2日目:Digital Assets

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2日目のテーマはSTO、CBDC、DeFi。メインスポンサーは、最近日本でも話題のFTX。

大統領選挙をネタにした賭けトークンや、先日行われた初のIEO(solanaベースのDEXプロジェクトSERUM)等のニュースも相まって、最近FTXは益々注目を集めていますね。そんなFTXのCEO SAMの熱い想いをじっくり聞けるだけでもこの日の価値はあるかな。

2日目は、他のセッションも大物が多数登場し、最近加速しているDeFiバブルを予見するような1日でした。

日本人にもおなじみのカストディアン大手BitgoのCTOによるCeFi vs DeFi講演では、DeFiが現在ブームになってきているけれど CeFi ならではの安心感を改めて実感しました。分散されていることで良い事もあるけれど、責任者が明確な事の良さもありますよね。

HashkeyやBlockfi CEOによる ”Digital Assets as Collateral: The Next Lending Boom Ridiculing Traditional Finance” では、低金利にあえぐFIAT(法定通貨)を尻目に高金利で多くのユーザーをますます惹きつけるデジタルアセットの躍進が語られました。

Blockfiの金利は3.2~8%しかないしエアドロップもないと一部のDeFi民からは不評ですが、日本の銀行の預金金利が0.004%以下なのと比べると、3.2%でも凄い差ですよね(笑)。

今やDeFiの代名詞になったCompoundのFounder RoertとThe BlockのレポーターCeliaの対談も面白いです。

各国で注目されるCBDCも話題に

DeFiだけでも山盛りなのに、2日目はCBDC(中央銀行デジタル通貨)の話題も盛りだくさんです。

“Tell me more about China’s Digital Currency Electronic Payment, DCEP Fireside chat Watch”では、北京・香港から専門家を呼んでDCEP(中国のデジタル通貨電子決済)について詳細なパネルディスカッションが行われていました。

米中の経済冷戦がどうCBDCに影響するかの議論は、アメリカ政府がWeChatPayを抱えるテンセントとの取引を禁止する大統領令を出した今から振り返ると未来を予見するようなセッションでした。

3日目:Entrepreneurship & Deep Tech

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3日目の目玉は、やはり宇宙飛行士のHadfield大佐。
エンタープレナーのシンボルとして世界的に有名なHadfield大佐を呼ぶなんてさすがですね。

よく、ブロックチェーン業界では価格が上がる事の例えで go to moonと言いますが、実際に月に言った人をゲストに呼んだブロックチェーンカンファレンスはABSが世界初なのではないでしょうか。

「不可能と思われる事を可能にする」
人類が月に行くというプロジェクトも多くの人々の情熱と行動力によって実現したように、ブロックチェーンのマスアダプションは、私達の想いと行動で実現する事なんだと思いました。

今のタイミングでこの記事を読んでいる皆さん一人一人が未来のブロックチェーンエンタープレナーだと思っています。

この日は他にもダイバーシティをテーマにしたセッションが幾つかあり、私は woman in blockchain のセッションに参加させていただきました。中国、韓国、日本、南米のそれぞれの地域からwomanが集まったけど、女性だからどうこうというよりは、住む地域についての違いなどを話せてとても参考になりました。

4日目:Society Impact

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この日は、「実際に誰がブロックチェーンを使うのか」という観点から組まれたセッションが中心でした。欧州委員会、世界経済フォーラム、マスターカードといったメンバーと一緒にConsensysのJoseph Lubinが ”Blockchain Governance: State of Trust Around the World “ をテーマにディスカッションしていたのが印象的でした。

イーサリアムが誕生してからまだ5年しか経っていないことを考えると、イーサリアムがこれほど急速に世界に普及し、世界中の公的な組織に認められていったのは驚きです。

クリプトママの愛称で知られる米国証券取引委員会(SEC)のHester Peirceコミッショナー(2025年まで、SECの任期が決定しましたね!おめでとうママ!これはクリプト民には朗報ですね)による”Digital Transformation in the Face of Challenging Times Fireside chat Watch”をテーマにしたトークセッションも注目でした。コロナ禍は多くの負の側面がありますが、新型コロナウイルスをきっかけにデジタルトランスフォーメーションが進化しているのもまた事実です。

そして、私もメンバーとして参加しているFamieeプロジェクトのキーノートも行われました。Famieeは、「現在の法律上では認められていない世界中の夫婦・親子が、家族として当たり前の権利やサービスを受けられない」という課題を解決するために、ブロックチェーン技術を使って家族証明書を発行しているプロジェクトです。

Famieeは最近、江戸川病院が医療機関で初めて、Famieeに参画したことが話題になりましたが、これにより、今まで家族として現在の法律では認められていなかった家族の方々が、インフォームドコンセントへの同席、ICUへの入室、同意書(手術、輸血など)へのサインなどができるようになりました。日本からこのような世界を良くするプロジェクトが登壇できて、私は個人的に嬉しいです。

5日目:Regulation & Decentralized Future

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最終日の目玉は何といっても、台湾のIT担当大臣オードリー・タンとヴィタリック・ブテリンも参加したパネルセッション ”Liberal Democracy’s Digital/Pluralistic Future” 。世界的に国家間の対立が深刻化し、自由に発言するのが困難な国が増えている今だからこそ、民主主義について改めて考えるきっかけになると思います。

“Our Journey to Immortality” というセッションは、不死への旅という名の通り、ブロックチェーンが発達した先の未来について考えるきっかけになるセッションでした。

ちょっと唐突ですが、皆さんは「アップロード」というドラマを見た事がありますか?(Amazon Videoで観られます。おすすめです)人が意識や人格をデータとしてアップロードできるようになった未来の話ですが、それこそブロックチェーン技術と紐づけば、その人のデータが半永久的に残ると、それは限りなく不死の存在に近づくのかもしれません。

最終日のセッションは、どれもブロックチェーンに興味がある人だけでなく、哲学者や政治学者、思想家などなど、未来を考える全ての人に見てほしいコンテンツばかりでした。

最後に

5日分のセッションを駆け足で紹介しましたが、如何でしたでしょうか?どの日も内容が凄く濃く、一日分でも充分チケット代の価値があるように思いました。

200人以上のスピーカーが集まったABS2020のビデオオンデマンドチケットが現在発売されています。魅力をコンパクトに凝縮してお伝えしましたが、まだまだ見所は盛りだくさん!この記事を最後まで読んだあなたは、是非チケットを買ってご覧になる事をおすすめします!

ABS2020ビデオオンデマンドチケット

藤本 真衣(ふじもと まい)氏
日本を代表する暗号資産、ブロックチェーンのエバンジェリスト。海外の専門家とも親交が深く、「ミス・ビットコイン」と呼ばれ親しまれている。自身は日本初の暗号資産による寄付サイト「KIZUNA」ブロックチェーン領域に特化した就職・転職支援会社「withB」ブロックチェーン領域に特化したPRコンサルティング会社「グラコネ(Gracone)」などを手がける。

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