ブロックチェーンは、世界中どこにいても勝負できる

chaintopeインタビュー3

業界で活躍する方にお話を伺い、業界の姿をお届けするインタビュー。

今回は福岡を拠点にブロックチェーンの研究開発を手がける株式会社Chaintopeにお邪魔してきました。役職にかかわらずフラットな雰囲気の同社。代表取締役CEOの正田氏、取締役CTOの安土氏、ブロックチェーンエンジニアの谷口氏にお集まりいただき、座談会形式でお話を伺いました。

正田 英樹(しょうだ ひでき)氏

Chaintope代表取締役CEO。1999年7月、ハウインターナショナル創業。2015年頃より共同創業者であった故高橋剛氏、現CTOの安土氏らと共にブロックチェーンの研究開発を開始し早期から社会実装に向けた取り組みに注力。2016年12月、ブロックチェーンに特化して事業を進めるべくChaintopeを設立。

安土 茂亨(あづち しげゆき)氏

Chaintope取締役CTO。Chaintope設立以前の2015年よりブロックチェーンの研究開発を開始。2018年5月CTO就任しプロトコルレイヤーの技術開発を推進。2003年ハウインターナショナル入社後、B向けの基幹システムの開発、クラウドベースのインテグレーション事業を担当。ブロックチェーン関連ではBitcoinのセカンドレイヤーの研究開発や多数のPoC案件に従事。

谷口 耕平(たにぐち こうへい)氏

2010年ハウインターナショナル入社後、高等教育機関向けのWebサービス開発に従事。一部サービスのデザインから開発・運用までをリード。2018年より地方創生ICO支援やブロックチェーンを用いた社会関係資本に関するコンセプト研究開発の立ち上げに携わる。その中で Blockchain 技術の研究開発の重要性を感じ、2018年7月のChaintopeへの移籍後からBitcoin Coreをベースにしたブロックチェーンプロトコルレイヤーの研究開発に従事。

始まりは楕円曲線暗号

ー みなさんが仮想通貨・ブロックチェーンと出会ったきっかけを教えてください。

安土:Chaintopeは本社が福岡県の飯塚市というところにあるのですが、そこでe-ZUKA Tech Nightというエンジニアコミュニティをやっています。その中で、近畿大学教授の山﨑重一郎先生が週一で会社に来て、研究室の学生さんとその時々でテーマを決めて勉強していこうというものがありました。あるとき山﨑先生が、テーマとしてビットコインを紹介してくださったのが最初でしたね。楕円曲線暗号とは?という話から始まって。。。

谷口:楕円曲線暗号が入り口というのがまた独特ですよね。私もその勉強会で聞いたのが最初なのですが、なんだか変わったものだなという印象がありました。同時に独特な世界観に興味を持ちましたね。その当時は日頃の業務では扱っておらず、勉強会でだけ触っていました。

正田:でも最初の半年くらいは、これが仕事になる雰囲気は全くなかったよね。勉強会で山﨑先生が言うからやってみるか、という感じでした。

福岡でブロックチェーンに取り組む理由とは?

株式会社Chaintopeインタビュー記事集合写真

ー そこからなぜ、会社として本格的にブロックチェーンに取り組み始めたのですか?

安土:話しているだけではしょうがないので、まずはブロックチェーンを使って何か作ってみようということになりました。ただ、初めからお金を扱うのはハードルが高いので、直接ビットコインを扱うのではなく何か別のものをやってみようと。そこで、セカンドレイヤープロトコルで、トークンをビットコインのブロックチェーンに乗せて動かしてみるというものを作ったんです。これが、門司港で行われたイベントのグルメ選手権で使える電子投票システムでした。

正田:福岡のRuby大賞というものがあるのですが、この電子投票の仕組みが優秀賞をとったんです。ネット上でも取り上げられ、問い合わせが急増しました。それが2016年ごろですね。初めはハウインターナショナルという会社で取り組んでいましたが、そこでブロックチェーン事業専門の会社としてChaintopeを設立したというわけです。

ー 福岡に会社の拠点を置くメリットとはなんでしょうか?

正田:やはり福岡には勢いがありますね。ブロックチェーン界隈では、東京を除くと福岡にエンジニアが1番多いという話もあります。また、行政が非常に協力的であるというところもポイントです。福岡市がスタートアップを応援する制度を整えているんです。今日インタビューを行なっているこちらの場所はThe Companyというコワーキングスペースなのですが、このワンフロアはブロックチェーン企業を集める空間になっています。行政も地域の人も協力的なので、福岡は屈指の地方都市と言えるでしょう。

ブロックチェーンがもたらすインパクトとワクワク感

ー ずばり、ブロックチェーンの面白さとは?

安土:最初はどうやって成り立っているのかがすごく不思議でした。分散型で誰も中央で管理をしないのに、取引をみんなが承認できるというのが技術的に大きなイノベーションだと感じています。現在のシステムは必ずサーバーがいてクライアントがいるというのが一般的ですが、分散型のシステムがもっと台頭してくる時代がくると思うとワクワクしますね。それがブロックチェーンに取り組むモチベーションでもあります。

谷口:ネットワークの中で生まれて流通していき、ネットワークの中で世界が完結する。誰か特定の人が管理するわけではなく、かつ止めることもできないというビットコインの仕組みを目の当たりにした時、直感的にどう動いても世の中に対してのインパクトは出てくるだろうと感じました。期待感もありながら、同時に大きな止められない変化が起こるというある種の怖さみたいなものもありましたね。

正田:ブロックチェーンに関わっていると、突然天才が現れるんですよ。型にとらわれない若いエンジニアが。一見めちゃくちゃなんだけれども、ふと常識を飛び越え次の世界をイメージしてシステムを作り上げていく。こういった人々が時代の変わり目には出てくるのだなと実感しました。昨年から規制が厳しくなり、正直やりづらさもあります。しかし、これだけ国などの規制当局が警戒するということは、何かしら社会的に大きな影響を及ぼすという裏付けでもあると思うんです。

変革は徐々に訪れる。未来の資本主義とは?

株式会社Chaintopeインタビュー記事集合写真2

ー Chaintopeがブロックチェーンへの取り組みで目指していきたい未来とはなんでしょうか?

正田:昨年リリースしたMasachain(マサチェーン)というプロジェクトでは、様々な歪みを抱える現代の資本主義のアップデートを目指しています。Masachainは人の信頼やコミュニティへの貢献を可視化し、新しい軸での人的・金銭的支援を受けやすくなるというプラットフォームです。

これからの社会では一人一人の個性がより重要になります。共感的なものを重視して人と人とが協力する。そういった世界観が元になって生まれた社会構造で、ベースに使われるのはブロックチェーンだと思っています。ブロックチェーンのような新しい技術は、ある日いきなり社会に取り入れられるのではなく、少しづつ変化をもたらしていきます。そしてあるところでスイッチが切り替わり、一気に世の中を変えていく。そのXデーがいつかはわかりませんが、着実に近づいています。いい意味でその中の一角を担いたいですね。

ブロックチェーンのイノベーションは”本物”

ー これから業界を目指す方々へメッセージをお願いします。

谷口:まだ整理されていなかったり曖昧であるところが多い業界です。そのため技術力・リサーチ力も高いものが求められます。ソフトウェアエンジニアとしてのキャリアを活かして、さらに深いところで専門性を高めたい方や新しいテーマを探している方にはやりがいのあるものではないかなと思います。

安土:まずは興味を持っている方・チャレンジ精神のある方に業界に入ってきて欲しいですね。企業や人を信頼する代わりに数学を信頼しようというプラットフォームなので、そういったところを研究したいモチベーションのある方は、この業界でかなり伸びるのではないでしょうか?

正田:新しい領域だからチャンスがいっぱいあると思うんです。日本が世界に先んじてベース技術を作れる領域は非常に少ないですが、ブロックチェーンはその一つとなりうる。それに、一生の中で時代の変わり目に巡り合えることはなかなかありません。「ブロックチェーンは社会インフラを変えるものになる」、「インターネットに続くイノベーションだ」という話は本当だと思っています。

インターネットの世界はシリコンバレーで作られた基盤技術を応用しているものがほとんどです。アメリカで最初のイノベーションが起こっていき、日本は遅れを取ってしまった。今まさに起こっているブロックチェーンのイノベーションは世界同時的に発生しています。これはインターネットのおかげでもあるわけですが、だからブロックチェーンは東京にいても福岡にいてもどこでも勝負できる。その中にぜひ飛び込んできて欲しいですね。

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