マイクリのdouble jump.tokyoが目指すブロックチェーンゲームの未来・NFTの世界

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2021年6月10-11日に開催された「Non-Fungible Tokyo 2021」DAY1のセッション“スポンサーセッション3 double jump.tokyo & MCH” をレポートします。

上野 宏伸 (うえの ひろのぶ) 氏
CEO at double jump.tokyo Inc.

野村総合研究所にて金融基盤、モブキャストにてゲームプラットフォーム開発に携わり、2018年4月にdouble jump.tokyo株式会社を創業。「My Crypto Heores(マイクリプトヒーローズ)」をリリースし、イーサリアム上で取引高・取引量・DAUで世界一を記録。ブロックチェーンゲーム支援プログラム「MCH+」にて、「ブレイブ フロンティア ヒーローズ」含め多数のブロックチェーンゲームをサポート。NFT販売事業支援サービス「NFTPLUS」も開始。

目指すは「ブロックチェーンでゲームの未来を再構築」

私はdouble jump.tokyo株式会社の代表、上野です。double jump.tokyo(djt)については、「My Crypto Heroesマイクリプトヒーローズ」というブロックチェーンゲームを作った会社と言ったほうが、わかるという方もいらっしゃるかもしれません。3年ほど前、2018年4月に創業した、ブロックチェーンゲームの開発専業会社です。ビジョンは、“Re-building the future of gaming with blockchain technology!“で、「ブロックチェーンの力で、ゲームの未来を再構築していきたい」ということを掲げています。

Non-Fungible Tokyo 2021でのdouble.jumpとしてのコンセプトキーワードは“NEXT WAVE“で、次の波をいかに作っていくか、乗っていくかというところを掲げていきたいと考えています。

まずは、「My Crypto Saga(マイクリプトサーガ)」の紹介をさせていただきます。こちらはTBGC2019で初めて発表したものです。Webで動く3Dのゲームを作ったのですが、なかなか皆さんにご満足いただけるクオリティーに達することができず、一旦作り直し、去年TBCC2020で発表させていただきました。そしてつい先日、5月31日にオフィシャルリリースさせていただきました。ありがとうございます。

double jump.としては、ただ単にブロックチェーンゲームを出していくだけでなく、新たなブロックチェーンゲームのテンプレートとなるようなものにしていきたいという思いがあり、今回はそういう要素を三つ取り入れています。

My Crypto Sagaに取り入れた新たな3要素

まず、ブロックチェーンゲームだからというわけではないですが、新しいゲームデザインを採用しました。ブロックチェーンゲームというだけで新しいのに、インゲームそのものも新しくし、ポーカーとトレーディングカードゲームのゲーム性を組み合わせたようなゲームとして、My Crypto Sagaを作りました。特にポーカーが好きなゲーマーの方には、それだけでもご満足いただけるのではないかと考えています。

2点目は、新しいビジネスモデルを取り入れたことです。My Crypto Heroesやその他のブロックチェーンゲームで多いのは、そのゲームで使えるキャラクターやアイテムというNFTを直販するようなモデルですが、今回のMy Crypto SagaではNFTを直販しないモデルに挑戦しています。

ではNFTはどうやって入手するんだろう?という話ですが、そのNFTはゲームで頑張った結果として、進化させてゲットするというものにしています。そうすることでNFTにも価値が出ますし、そもそもNFTを直販しないモデルとしてブロックチェーンゲームを作ったらどうなるかを試してみたかったので、この形に挑戦しています。

3点目は、新しいエコシステムです。いわゆるトークンとNFTを組み合わせたエコシステムを提供しています。NFTにPolygon(MATIC)をデポジット、つまり暗号資産(仮想通貨)トークンが内蔵されているNFTをユーザーさんに提供しています。しかもそれらを合体させることによって、さらに含まれているPolygon(MATIC)が多くなり、またNFTとしてもゲームの中で強化されるというエコシステムを作っています。

また、マイクリコイン(MCHC)からも協賛いただいて、ゲームの中で活躍したユーザーさんにMCHCも配布させていただくことにも挑戦しています。NFT + DeFiについて、double jump.がどう取り組んでいくかを考えた末に至った一つのモデルです。

今までにないユーザー体験を!

My Crypto Sagaは、ブロックチェーンゲームということで、NFTを使うゲームという新規性はありますが、やはりゲームなのでゲームとしても面白くないと、目新しさだけでは流行らないという思いがあります。ゲームだけでも楽しんでいただけるように、そしてNFTと組み合わせることでさらに、今までにないユーザー体験を感じていただける形に作り上げましたので、どうぞ楽しんでください。

My Crypto Sagaは、NFTゲームの新しいテンプレートとなりえるように、ビジネスモデルやエコシステムを構築しました。これがどういうふうに発展していくのかは、私も楽しみです。ブロックチェーンのエコシステムのサービスをしている方々といろいろ組み合わせながら、My Crypto Sagaを発展させていきたいと考えています。

double jump.tokyoこの一年の動きと狙い

上野氏登壇写真

続いて、double jump.tokyoのゲーム以外のサービスについてご説明させていただきます。ちょっと手前みそですが、double jump.のプレスリリースが最近多かったので、ここ一年くらいのニューストピックをまとめてみました。

2020年の7月にTorus Labsと提携させていただき、10月にはAMS(Asset Mirroring System)というNFTをオフチェーンで扱える、他のブロックチェーン同士でもブリッジできるような仕組みを発表しました。

2021年1月にRaribleさんやPolygonさんとも提携させていただきました。

そして3月に、こちらは話題にもなりましたが、NFTに関するところでスクウェア・エニックスさんと、またImmutable Xさんとも提携させていただきました。

4月には、セガさんと、Flowさんとも提携、そしてdouble jump.tokyoの新しいサービスであるNFTPLUSというサービスを発表しました。

6月には、スクエア・エニックスさんの「ミリオンアーサー」で今回使うブロックチェーンとしてLINE Blockchainが採用されました。そしてN Suiteというビジネス向けのNFTの管理SaaSを発表しました。

これらがdouble jump.としてどういう狙いや効果を持ち、どういうものになるのかを、少しご説明させていただきます。

国内大手ゲーム会社も注目するNFT

まず、国内大手ゲーム会社さんと提携させていただいたというところが、結構大きいポイントです。たまたま今年の3月くらいから、日本でもNFTというキーワードがすごく話題になってきました。時系列的にはスクエア・エニックスさんとは3月、セガさんとは4月に提携を発表しましたが、これは「NFTが流行ってるから、うちもNFTやろう」ということでは全然ないのです。

国内大手のゲーム会社さんは、NFTというような新しいテクノロジーに対してどういうビジネスモデルがあるか、また新しいユーザー体験を生み出していけるかということを長らく研究されていて、double jump.とも一年以上対話させていただいた結果、今回たまたま発表させていただくタイミングが3月4月になったということです。本当に長い対話を経て、ようやくNFTの取り組みが発表できるようになりました。

このように国内大手ゲーム会社さんは、NFTに注目されていて、そしてどういうふうに出していくかというフェーズになっていると考えています。実はその他の大型IPとも話が進んでいて、またその件は改めてdouble jump.から発表したいと考えています。

本当に国内大手ゲーム会社さんは、動き始めると一気に来るような気がしていて、まず今年は第一弾を取り組む形になり、来年になるとある程度まとまったゲームが出てくる可能性が非常に高いと考えています。

PolygonさんやFlowさんに関しては、Validator Nodeの参加という形で、これらのブロックチェーンの分散性にdouble jump.として貢献しています。なおかつ、Node運用をしてそのNodeのリワードを得るだけというのではなく、ちゃんとこのブロックチェーンにユーザーさんを入れて、エコシステムを回してブロックチェーンに貢献していき、double jumpとしてもユーザーとしても恩恵を受ける形が対等で良い関係だと思っています。そういう意味も込めてValidator Node参加させていただいています。

運用ノウハウを詰め込んだMCH+

double jump.には、以前からMCH+というブロックチェーンゲーム開発支援サービスがあり、新たにNFTPLUSやN Suiteを出しましたが、どういう関係性にあるのかについてまとめます。

まず、MCH+というブロックチェーンゲーム開発支援サービスが大枠としてあります。これがdouble jump.の運用ノウハウを一番詰め込んだものになります。

そしてNFTに注目が集まる中で、NFTを販売していくことに焦点を絞ったような案件も多くいただいたので、その点にフォーカスを当てたNFTPLUS+NFT事業支援サービスを4月に立ち上げました。

MCH+、NFTPLUSどちらもですが、個人でNFTというのを扱うというのは、ブロックチェーンエコシステムとか、ツールもオープンソースで揃っていたりして、わりと出来る状態になっています。ただ企業がNFTを出していく時には、いろいろ解決しなければいけない問題があるので、それを解決・サポートしていけるようなサービスとして、N Suiteというのを出したという構造になっています。

MCH+という側面から見ると、マルチチェーンソリューションということで、AMSと呼んでいますが、コンテンツとブロックチェーンを適材適所に結び付けることが重要になってくると考えています。そういうソリューションを提供させていただき、ピースをそろえていくところに大きな意義があります。これがMCH+です。

オークションの落札自体がエンタメ化

NFTPLUSに関しては、NFT販売にフォーカスを絞った形で、NFT設計/販売/運用ノウハウをNFT事業向けに切り出して、システム/法務からプロデュースに至るまでをワンストップ提供しています。NFTPLUSの発表をしたのは4月くらいですが、もうすでにいくつか実績が出ています。

まずは共創NFTで、単純にNFTを売るだけではなくて、そのNFTを買っていただいた人とクリエイターが一緒になって新たな成果物というか、アートをクリエ―ションしていくことに取り組んでいます。

その一つ目は、GODTAILさんというライブペインティングのアバターイラスト制作権をNFTオークションしたことです。これを落札したのは、スマートアプリnanakusa代表のコウさんです。二つ目は、音楽クリエイターNorさんのオリジナルボカロ楽曲に、歌唱レコーディング権をつけた形でNFTオークションしましたが、先ほど他のセッションで登壇されたPOiNTさんに落札していただきました。どちらも気合の入った落札で、Clubhouse(クラブハウス)などで、誰が落札するんだろうと?いったことをオープンシーン上で見られて、その落札するシーン自体がエンタメだったと思います。

NFTの新ブランドという点では、1SECさんがデジタルスニーカー「AIR SMOKE 1™」を販売して、5ETH(140万円相当)で販売開始からわずか9分で落札したというのが大きかったですが、これを機に1Blockというデジタルファッションブランドが立ち上がりました。他にも、冒頭に「SCAM退散」という動画を流しましたが、書道家の武田双雲さんが「SCAM退散」と「GOX平癒」というNFTを販売し、それを機に「Crypto双雲」というブランドが立ち上がりました。このようにNFTを通じて、新しいブランドを立ち上げることにもつながっています。

どちらかというと、今はアート寄りの販売がNFTのトレンドではありますが、今後NFTはよりユーティリティの求められる、使いどころの求められる時代に入っていくと思っています。一番代表的なユースケースとしては、ゲームです。NFTのトレンドは、売り切り型から運用型へ移行していくと思います。もちろんアートもまだまだ拡大していくと思いますが、皆さんの興味や使いどころが徐々にゲーム等のユーティリティへも拡大していくのではないかと考えています。

NFT今後の課題とdouble jump.tokyoが担う役割

ただNFTというのは、実際に企業で運用しようとするといろいろ課題があります。暗号鍵の紛失・流出、もしくはNFTの発行ミスなどです。NFTの発行ミスというのは、キャラクターやアイテムで、普通のオンラインゲームでしたら、万が一間違ったとしてもメンテできる可能性があります。しかしNFTというのは取引を伴ってしまうので、一回発行すると回収が難しいのです。発行ミスというのは致命的になりかねないので、気を付けなければいけません。

また、NFTを運用することを考えると、NFT販売後もずっと、誰がNFTを持っているか、どこのブロックチェーン上にあるかをケアし続けなければなりません。こういうNFTの運用の難しさというのはdouble jumpでずっと経験してきたことなので、そういった運用課題を解決するためのビジネス向けNFT管理SaaSとして、N Suiteというのを作りました。

事業責任者は、青木さんです。青木さんはもともとメタップスアルファの事業責任者で、わかる人にはNFTマーケットプレイス「miime(ミーム)」を立ち上げた人と言ったほうがわかりやすいかもしれません。N Suiteは、先ほど挙げたような課題を解決する、N Wallet、N Board、N Insightといった機能を全て備えたものになります。

double jump.が担う役割は、NFTのユースケースや利用シーンを広げていくために必要なパーツをサービスを通じて拡充していくことと考えています。

上野氏登壇写真2

ユーザープロデューサーの誕生は大きな一歩

最後に、My Crypto Heroesについても触れたいと思います。double jump.はマイクリコイン(MCHC)という非販売のERC20トークンを発行しました。これを中心に置いて、MCHCのエコシステムを拡大しようとした場合、日本の会社として存在するよりも、別口の会社として存在したほうがいいのではないかというところもあって、MCHC社を設立しました。

代表は若尾さん、当時のマイクリのプロデューサーの方です。マイクリのインセンティブはやはりゲームなので、幻獣大戦というコンテンツのインセンティブとして存在したり、あとは流動性提供インセンティブとして存在したりしています。これはステーキングに近いかもしれませんが、UniswapにMCHCを流動性提供していると、新たなマイクリコインがいくらかもらえるという形でMCHCは回っています。

一方のMCHCの利用どころは、やはりガバナンストークンというところがあるので、MCHCを用いた議題の投票などですが、一番大きかったのはユーザープロデューサーの誕生です。ゲームのプロデューサーは誰がやるの?というのはとても大きいガバナンスだと思いますが、マイクリコインを通じて中立的な皆さんの意見を集めて、ユーザープロデューサーが誕生したということは、マイクリがDAO(自律分散型組織)という形にブロックチェーンゲームが昇華していく、本当に大きな一歩だと考えています。

さらにマイクリコインについては、Polygon対応ももちろんのことながら、My Crypto Saga、Crypto Spells、Brave Frontier Heroes等にMCHCの協賛という形で、MCHCの影響力のおよぶエコシステムを拡大している段階にあります。このようにMy Crypto Heroesは、MCHCを中心にしたエコシステムの拡大が盛んになっています。そしてもちろん当初目標に掲げていたMCHCの上場を引き続き目指しています。

それをさらに加速するために、oasys社というシンガポール法人を設立しました。MCHCも含めてどういうことをやっていくかに関しては、また追い追い発表しますが、NEXT WAVEにつながるキーとなる会社になると思うので、乞うご期待となります。

NFTでブロックチェーンゲームを拡大したい

──いろいろ発表してない部分で、こういうことを大きくメッセージとして、またビジョンとして、My Crypto Heroes、double jump.tokyoグループとして、一番のコアに来年以降出していくことになりそうですか?

NFTを中心に据えたブロックチェーンゲームを拡大していきたい、という思いが非常に強いです。今まではゲームの中にゲームアイテムというのが存在したという世界から、NFTというものの中にゲームがあるという世界になっていくと思います。そういう世界でどういうユーザー体験が満たされていくのか、またそういう世界に本当になっていくのかというのは、いろいろ挑戦するところもあります。描いている思いとしては、結構大きいもの、強いものがあるので、皆さんご期待ください。

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