高騰するNFTアートが与えた業界インパクト、アートビジネスは変わるのか?

2021年6月10-11日に開催された「Non-Fungible Tokyo2021」DAY1のセッションから“NFTが変えるコンテンツ・アートビジネス NFT changing Art business and contents business”をレポートします。

中村 太一(なかむら たいち)氏 
CEO of Anique 
                                                2006年、博報堂DYメディアパートナーズに入社し、TV・雑誌・Web・コンテンツ・マーケティング・新規事業立ち上げを経験。主な仕事に「実写巨人初登場CF」「実物大巨人プロジェクションマッピング」「名探偵コナン×Yahoo! JAPAN『仕掛けられた爆弾事件』」「SEKAI NO OWARI×リアル脱出ゲーム『INSOMNIA TRAINからの脱出』」がある。2019年、Anique株式会社を設立し、コンテンツ×ブロックチェーンを組み合わせた新サービスAniqueをリリース。素晴らしい創作物をファンがオンラインで楽しめる「オンライン展覧会」も展開中。

中村 智浩(なかむら ともひろ)氏  
スタートバーン株式会社 最高技術責任者(CTO)
 
早稲田大学大学院にてWebや機械学習を研究。新卒で入社したゴールドマン・サックスとエレクトロニック・アーツでのフルスタックエンジニア経験後にウィキッズを創業。その後AnyPayにてCTOを務め、ペイメントサービスや ICO・STOサービスの開発を統括。また、ブロックチェーン系SaaSのスタートアップcatabiraにおいてもCTOを務めた。2020年よりスタートバーンに参画。Web3.0の世界観とフジロックが好き。                              

井口 泰 (いぐち たい)氏 
株式会社TRiCERA 代表取締役
 
大学卒業後、老舗音響機器製造業に入社、アジアパシフィック統括本部にてキャリアをスタートする。ドイツ最大手医療機器メーカーに転職、医療機器の受発注に従事、プロジェクトリードとしてシステム導入に尽力する。2015年、世界最大手スポーツカンパニーに入社し、2017年には日本の直営店舗サプライチェーンを統括するマネージャーとなり、グローバルプロジェクトに参画、日本国内においても複数の新規プロジェクトを立ち上げ実行する。2018年11月1日、株式会社TRiCERAを設立する。                                                

設楽 悠介(しだら ゆうすけ)氏  
幻冬舎「あたらしい経済」編集長/コンテンツビジネス局局長

幻冬舎のブロックチェーン専門メディア「あたらしい経済」を創刊。同社コンテンツビジネス局で新規事業やコンテンツマーケティングを担当。幻冬舎コミックス、エクソダス等の取締役も兼務。個人活動としてAmazon Musicで「みんなのメンタールーム」やVoicyで「風呂敷畳み人ラジオ」、PodcastとYouTubeで「#欲望のSNS」などのコンテンツを配信。Forbes JapanでWeb3.0に関するコラム「ポストDXの世界」連載中。著書に『「畳み人」という選択 』(プレジデント社)。                                   ツイッター: https://twitter.com/ysksdr                           

NFTアートに携わる各社のNFTへの取り組み

設楽氏:私は幻冬舎でブロックチェーンメディア「あたらしい経済」を創刊した設楽と申します。去年、僕はNFTを50個限定で作ってそれを持っている人だけが書き換わるという本をプレジデント社から出版しました。いま山口周さんがNFTをビジネス書にしようとしていますが、自称ながら僕が日本で初めてNFTについてのビジネス書を書きました。

さて、皆さまはNFTアートに関わっておられるなかで、それぞれの会社で取り組んでおられる内容や特徴はどのようなものでしょうか?

アニーク中村氏:Anique(アニーク)の中村です。アニークは2019年5月にスタートした企業です。比較的初期の頃から、アニメや漫画、ゲーム等の眠っているアートワークをNFTとして販売するサービスを展開して来ました。最近はオンライン展覧会にも力を入れています。ちょうど6月9日に「進撃の巨人」最終巻の発売を記念し、その38キャラクター分の一生をオンライン上の展覧会で体験できるものを作りました。オンライン展覧会では版元さんの意向も反映させながらですが、リアルな物販で買えるものもあれば、NFTみたいなものをデジタルアートとして購入できるメニューもつけています。

スタートバーン中村氏:Startbahn(スタートバーン)のCTOを務めている中村です。スタートバーンでは何年も前からNFTをやっています。現在のNFTはデジタルデータの売買や歴史の管理にブロックチェーンを使おうという動きになっています。スタートバーンは、もともとアーティストが社長の会社です。その弊社の社長が物理的に存在するアートは何が本物で何が偽物なのかわからない、いったい誰が何を持っていたのかも全然管理されていないので信頼性が低い。信頼性をあげたいと言い出したのです。

でもそれを一つの企業のデータベースにするのではなくて、分散的なものにした方が良いエコシステムができあがるのではないかと考え、ERC721と呼ばれるイーサリアムの規格を使うことにしました。つまりNFTを使って物理的なアートの信頼性を上げるために、誰が何を持っていて、どういうことがアートに対して起きたのかという歴史を管理するツールとしてイーサリアムやERC721を使ってきました。もちろん「誰が」には個人情報は含みません。

最近デジタルアート×NFTがブームになってからは、いろんなNFTがたくさん生まれるようになりました。そのなかからちょっとずつ異なる規格を吸収したり、NFTマーケットプレイスにとっても良いツールを提供できるようになったりで、Startrail PEG(スタートレールペグ)といわれる仕組みを新しく紹介させてもらいました。物理的なアート、デジタルアートに関わらず、NFTを使ってアートの信頼性を上げることを仕事にしている会社です。よろしくお願いいたします。

井口氏:株式会社TRiCERA(トライセラ)の井口です。2018年11月から、世界80ヵ国以上の2,400人くらいのアーティストが集まるリアルなアートのマーケットプレイスを運営しています。世界中の方々にアート作品を販売しているのですけれども、そのなかにはデジタルアーティストの方が非常に多くいらっしゃいます。リアルアートの方にも、スタートバーンさんの証明機能を使わせていただいています。この5月24日に、NFTのアートの販売を開始しました。今後もNFTの発展を目指していこうと頑張っています。

高騰するNFTアートが与えたアート業界への影響

設楽氏:美術館にあるようなハイアートを井口さんやスタートバーンの中村さんが取り扱われていて、そこからブームに火がついたような感覚があります。やっぱりBeeple(ビープル)のデジタルアートが75億円で落札されたインパクトがすごく報じられたし、その後はサザビーズが追随している感じですね。スタートバーンさんもサザビーズでオークションをされていますよね。そういうなかで、NFTがアート業界をどう変えていくのかを井口さんとスタートバーンの中村さんからお伺いできればと思います。

井口氏:そうですね、ビープルのオークションが、めちゃめちゃセンセーショナルな感じがしたじゃないですか。今、設楽さんからハイアートから来たというお話がありましたが、アート業界の方にとってはまだまだこれからという意識が実は結構あります。僕はスタートバーンさんが開催されているサザビーズのオークションから盛り上がっていくように思っています。実際、世界で有名なアーティストのミスターブレインウォッシュが結構早い段階でNFTに取り組んでいたりするのですけれども。ただ、さらに巨匠と呼ばれる人たち、たとえば村上隆さんのような人たちがこれからどんどん来ると思っています。

設楽氏:逆にアーティストさんも、結構気にされています。それこそ美術手帳でもニュースがかなり増えてきています。実は僕もアーティストの方と会うと、みんながNFTを気にしている段階に入っていると思うのですけど、スタートバーンの中村さん、やっぱりそういう状況ですか。

スタートバーン中村氏:僕に限らず社長や社員がアート業界の方とお話しすると、NFTを受け入れている方もいれば、怪しいと言う方もいっぱいいらっしゃいます。なぜかといえば、それは値段かもしれないし、流通の仕方かもしれないとも思っています。さすがにこれまでのアートの価格とNFTの価値が乖離しているのではないか、既存のアート業界の常識を壊すのかというところで訝しんでおられるのかと思っています。

でも、NFTだから価値がつくとか、NFTだから値段が上がるのは、本来おかしい。そもそもアートは作品のすばらしさに価値がつくはずなのに、イーサリアムメインネットだからとか、プラットフォームにどういうトークンだから価値があるとかは、おかしな話です。たとえばプログラマブルアート作品の見た目がNFTに書かれているプログラムで変わるのだったら、それはそれでアートの価値だと思うのですけど、NFTだから価値があるというのはおかしいのですよ。今まではデジタルデータは特に誰が所有者かがわかりづらかった。コピペで簡単に作品を複製できるから、そのデータは誰のものというのは言いづらかったけど、このイーサリアムのアドレスを持っている人がこのアートの所有者です、ということを証明できるようになったことが、NFTのすばらしいところです。

逆に言うと、それ以外はNFTだから価値を上げるのはおかしい。信頼性を上げてアートの価値を100%引き出すためのものだけのはずなのに、100%以上の価値が出たらおかしいですよね。つまりNFTだから価値がつくのではなくて、NFTだから信頼されているね、だから100%の価値がつくね、となっていくとお互いが別の業界みたいに毛嫌いしあっている状況が変わって、アート業界もNFT業界も、みんなひとつのアート業界になるのではないかと思います。

リアルアートとデジタルアートの間に壁はあるか

設楽氏:確かに、アートの業界でいうと2つありますもんね。証明書としての紙の絵があって、それを紐づけるものとしてNFTやブロックチェーンがあるのであれば、まだ受け入れられやすいと思います。でもアート自体がデジタルでそれがNFTと紐づいているとなると、ややこしいですよね。それでちょっとお聞きしますが、NFT関係なくデジタルアート専門のアーティストと普通のアーティストの間に、壁のようなものはあるのですか。

井口氏:なかなか難しい質問ですね。正直、最近はそんな壁はないと、僕は勝手に思っています。弊社で2,400人のアーティストにいろいろなアンケートを取ったのですが、そのなかで面白い結果が出ました。実際に絵を描く前段階の下書き、いわゆるドローイングのときにiPadを使っている人が50%程度いました。最近の若手アーティストは、既にデジタルシフトしているので、抵抗感は少ないと思います。そこでNFTに関しての課題というか、既存のアート業界の課題を一つ言います。ビープルの作品をクリスティーズで落札した人もそうですが、実は既存のアート業界のコレクターはまだ買っていないのですよ。

設楽氏:逆にこのブロックチェーン業界の人が買っていますね。

井口氏:そうそう。サザビーズが頑張ってくれていますが、既存のアート業界にNFTがもっともっと普及して欲しいと思います。

設楽氏:面白いですね。まさに、バフェットがまだビットコインを買っていないみたいな話ですよね。既存金融の人が動いてないビットコインのようなところがあると。なるほど。ありがとうございます。

NFTがもたらすアート市場への影響と新ビジネスモデルの可能性

設楽氏:いまアートの話が出ましたが、アニークの中村さんのところは逆にアニメなどのコンテンツをアートにして売られているじゃないですか。たぶんお付き合いされているのはアニメ会社や出版社だと思いますが、NFTについての反応はアーティストさんに比べてどんな感じですか。

アニーク中村氏:そうですね。今のお話だと、NFTを入れて何を新しくプロダクトにするのかという視点だと思いました。アートだったら、デジタルアートにNFTを1個入れることで所有権がわかりやすくなります。

コンテンツ業界の方々が注目しているのは、みなさんご存じのDapper Labsさんがされた「NBA Top Shot」の事例です。あれはデジタルリプレースメントというトレーディングカードの置き換えにNFTを入れ込んでいるところが注目されているポイントです。だから、そこは(NFTが)1個あるよねっていうところ。

ただ、そこに市場、コンテンツ、ターゲットなどの様々な要素が複雑に絡み合うので、単純にそれをそのまま日本でやっても必ずしもうまくいくとは限らないけど、その点ですごく注目されていると思います。

あと飛びつきやすさはありますね。でもみなさんがアーティスト個人の方のようにひとりで完全に権利を保有されているわけではないのです。新しいことにトライされるには、それなりの熟慮が必要で法律面は大丈夫なのか、本当にやるのかと、そこは合議制で前に進めていくというのが、たぶんいまの状況ですかね。

設楽氏:なるほど。もしかしたら現代美術と一緒で、比較的フットワークの軽いアニメの人や漫画家の人は動いているけど、確かに超大御所はまだ様子を見ている雰囲気はありますよね。

アニーク中村氏:そうですね。言い方はアレですけれども、NFTをやる必要が感じられない人に、無理してNFTやりましょうよって言っても、それは、いやいや興味ないっていう話なのです。だからNFTを面白がったり、可能性を感じたりしてくれるプレイヤーが先に手をつけるというフェーズだと思います。

設楽氏:でも、よく考えたら面白いですよね。井口さん、既存の美術館やアートオークションは、そこに作品が出るまでの一定のルートしかなかったわけじゃないですか。でもOpenSeaだと、要はゲームアイテムやハイアート、オタクアートなどが全部NFTで並ぶ状況になるってことですよね。

井口氏:そういうことですよね。

設楽氏:今の状況としては、そういうことですよね。オークションでOpenSeaのほうが値段ついちゃったりしていますよね。

井口氏:そうですよね。言ってみれば、セグメント化されたマーケットプレイスには大御所が入ってくることもあるやろうし、OpenSeaみたいなところにYouTube的な形でどんどん行ってヒーローになる人も出て来るやろうし。そこは基本的にはどうしてもビジネスモデルの考え方の違いだと思いますね。

設楽氏:なるほど。意外と住み分けていくかもしれないということですね。

井口氏:私はそうなると思っています。

設楽氏:スタートバーンの中村さん、そのあたりはどうですか。

NFTアートは既存のアートキュレーターと共存可能か

スタートバーン中村氏:そうなのですよ。人間は情報がイーサリアムに出揃ったからといって、これが価値のあるアートだとか、これは欲しいとか欲しくないみたいな判断は、パッと見たときの直感、感性ですると思っています。キューレーターがある程度、このアートがおすすめで、理由はこういうコンセプトでこういうところで展示していたと情報を発信してくれることで、アートに興味が浮かぶわけじゃないですか。だから信頼性を上げるためにアートの歴史、所有権の歴史や著作権、展示歴等のいろんな情報をブロックチェーンに載せることによって透明性が上がって、良いことがたくさん起こると思います。

OpenSeaにアートが1千万点ほど並んでいたとしても、どれを買っていいかわからないじゃないですか。OpenSeaに載っているから、ここで買えばいいとはならないわけです。情報が全部透明になっているから、それで背後のコンセプトをくまなく理解できるかといえば違うと思います。だからキューレーターのような人の仕事を奪うのではなく、むしろアートをキューレートしてくれるキューレーターも必要だし、ギャラリーも必要になると思うのです。

設楽氏:なるほど、アートについての意味付けが価値につながるかもしれませんね。

井口氏:たぶんNFTは、スタートバーンの中村さんが言うように基本的には技術基盤で、その上にエコシステムが形成されていくことだと思います。それからアート業界でのNFTの楽しみ方を投機的なところからもっと進化させていく、何をどう楽しむかというポイントを今後議論していかなければならないと思います。

設楽氏:コレクターサイド的なところでのメリットが、よく見えてこないということですか。

井口氏:そうですね。NFTはコレクション性とトレーディング性が、いま、すごく注目されていますし、そこが一番強くなっています。でもアートは2次流通もあるけれども、基本はコレクションです。コレクションとして、どう楽しむのかというポイントを見つけなければと思っています。

設楽氏:なるほど。アニークの中村さんに質問します。NFTからTシャツを作ったりされていますが、持っている人の楽しみ方としてはどういうものがあるのでしょうか。

アニーク中村氏:結局アニメや漫画、ゲームのファンはNFTを持っていても、それに転売以上の価値がなければ動きません。熱烈なファンほど、売らないで一生ガチホ(保有)する感じです。だからファンが喜ぶユーティリティをいかに付与していくかが、すごく大事になってくるのです。たとえば、それを持っていればイベントに参加できる、限定アイテムを注文できる、作り手とコミミュニケーションできるなど、いろいろな特典化が必要だろうと思っています。

アート業界にNFTは浸透するか

設楽氏:ありがとうございます。みなさんにお伺いします。この流れは、大きく広がりそうですか。井口さんのところは、去年、今年から、バーンと盛り上がっていますよね。

井口氏:はい、この流れはデジタルネィティブ世代、いわゆるZ世代を中心に広がっていくと思います。さっきiPadで下書きして、それを油絵にしている人が結構いると言いました。すると、デジタルの下絵を油絵にする必要がなくなる可能性だってあるわけです。もちろんリアルアートの質感を大事にする人だっています。でも、アートの世界をNFTの仕組みで拡大させていくこともできると思います。何度も言いますけれども、今後は「どうやって顧客を楽しませるのか」という価値提供部分の最適解をどう見つけていくのかがポイントだと思います。

設楽氏:なるほど。ゲームだったら、メタバース、VRと繋がりそうですね。たとえばFortnite(フォートナイト)の服が単純にNFTになっていて、それしか売っていなかったとしたら、うちの子どもは欲しがると思います。ただアートとなると、VRを部屋に飾れますか。

井口氏:そうですね。VRを部屋に飾るとか、それからアメリカの会社でも出てきているのがフォトフレームみたいなところにウォレットを入れる仕様ですね。フォトフレームにNFTが入っていて、それにコンテンツを投影するものもあります。

設楽氏:ありがとうございます。スタートバーンの中村さんは、これからどう拡大されていきますか。

スタートバーン中村氏:証明書としてNFTを使うことに関しては、単純にアートの信頼性を上げる話なのでデメリットはほとんどありません。より詳しく言えば、Aというアートをどういうイーサリアムアドレスの人が持っていて、どこで展示されていたか、どのオークションでリスティングされたかの情報を管理するために、物理アートにもデジタルアートにもNFTをつけていく流れ自体にはデメリットがほとんどなく、メリットが大きいので加速すると思います。

ただしアート業界と、NFT業界、ブロックチェーン業界が分断されていることには幾つもの理由があります。NFTデータの何がスゴイかといえば、ビープルの作品もそうですけれど、IPFSなどのストレージに上がっている公開情報だということです。ですから僕がビープルの画像をダウンロードして、家のディスプレイに映せるわけです。

設楽氏:たしかに。

スタートバーン中村氏:アートの所有とは何かという話になるじゃないですか。

設楽氏:自分の部屋に、VRがコピペしてピッと置けるということか。

スタートバーン中村氏:それが物理的なアートでは難しく、デジタルアートではコピーが簡単です。でも僕が言いたかったのは、既存のアート業界とブロックチェーン業界やNFT業界が考えていることとの距離がありすぎるということなのです。

アートは所有しなくとも、誰でもダウンロードできるべきものなのか。もしくは秘密鍵を持っていないと、ダウンロードできないようにするべきなのか。それからダウンロードだけではなく、VR空間でこの作品を自分のアバターにできるか等の権利を誰が持っていて、どんな義務を負うべきかは再考の余地があるのではないかと思います。そうしたことをプログラムアプリできちんと管理して、VR空間や物理的な空間でどんなふうに使っていくのかは、これからどんどん進化していくと思います。

現在のブロックチェーン業界やNFT業界は公開するのが好きで、基本的にパブリックで、データはみんなのもの、所有権はひとりのものと考えています。このままいくと、既存のアート業界とブロックチェーン業界、NFT業界は相いれないところがあると思いますが、そのあたりはお互いに歩み寄るのではないかと考えています。

設楽氏:アニークの中村さんは、NFTが拡大していくと考えますか。

アニーク中村氏:主語をアーティストの方やコンテンツホルダーの方に置いて、たとえばインタービジネスをしますと言った場合、ECやゲーム、ファンビジネスなどのいろいろなビジネス手法がありますよね。NFTも似たような感じです。具体的には、電子書籍の2次流通市場ならメディアドゥさんのような大手が作ります、ゲーム業界ならgumiグループさんが作ります、トレーディングならNBA Top Shotのサービスが出て来ますよと、例を並べられます。

そんな感じでリアルなアートのトレーサビリティならスタートバーンさんですよというユースケースが既にたくさん出てきていると思います。さまざまなプレイヤーの方がコンテンツホルダーやIPのために、どういうビジネスを一緒に作れるのかが現在のフェーズだと思って、そこにやりがいを感じています。

設楽氏:ありがとうございます。今日は実際にプラットフォームを作っていたり、アーティストさんと触れておられたりしているお三方とお話しできました。僕のところにも毎朝のようにNFTをやりますとか、オークションを開催するので取材に来てくださいなどのメッセージが届きます。作家さんからIPの問い合わせをいただくこともあります。そのなかでネガティブな意味ではなく異常な状況になっていると体感していました。リアルとデジタルの間に意外といまだに分断があるものの、お三方のご意見や雰囲気から、分断が整備され新しい流れが来つつあることがすごく伝わりました。その段階が今年なのかもしれないということですね。

もう時間が残り少なくなってきました。そもそもアーティストの作品を買って応援をするのだったら、NFTよりもICOのほうが良いのではないかと思ってしまいます。法律が許してくれるなら、トークンセールのほうが楽ですから。だけど、NFTが扉を叩いてファンジブルトークンもあるという情報が広がっていくのはいいことだと思います。そこに法改正が重なっていけば、なお良いと思います。その辺について、井口さんから。

井口氏:ファンジブルトークンに関して、あくまでもアートの目線で言うと、観点としては分割所有に近くなると思います。でも、それだとコレクション性からはちょっと離れてしまいます。その離れたところに対してどういうことを提供するのか、解決策はいろいろあると思いますけれども、そこがファンジブルトークンのなかなか難しいところであるかと思います。

設楽氏:NFTにはいろいろな課題があるとは思いますが、確実に、さまざまな人々が動かしている、非常に注目すべきものです。きょうのセッションに参加されたお三方のサイトを見たことがない方は、ぜひご覧になってください。それぞれに、アートやブロックチェーンにずっと取り組んでおられる方々です。みなさま、ありがとうございました。

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