仮想通貨から暗号資産へ ~2020年は『暗号資産元年』に~

暗号資産とは?

『仮想通貨』や『暗号通貨』、『ブロックチェーン』の報道等に関連して、最近は『暗号資産』という言葉をよく見聞きするようになりました。

この記事では「暗号資産とは何か?」を解説して、その定義や他の呼称との違いなどをご紹介します!

暗号資産とは

『暗号資産』とは、暗号技術が使用されインターネット上で利用できる電子的資産です。その代表的な存在が『ビットコイン』と呼ばれる『暗号資産』で、『ブロックチェーン』と名付けられた分散型台帳技術(DLT:Distributed Ledger Technology)において、暗号技術が使用されています。

『ビットコイン』は、サトシ・ナカモトと名乗る人物によって2009年に原論文【Bitcoin: A Peer-to-Peer Electronic Cash System】が発表されました。『ビットコイン』はP2P(Peer to Peer)方式によってデータが交換・取引され、中央管理者や特定のサーバーが存在していません。にもかかわらず発表から11年が経過した今も、データが不正に書き換えられるなどの不具合は発生しておらず、ビットコインのブロックチェーンは「枯れた技術」の地位を確かなものとしています。

 

『ビットコイン』の他にも、ビットコインからハードフォークした『ビットコイン・キャッシュ』や、ビタリック・ブテリン氏が考案した『イーサリアム』などがあります。日本においては、金融庁の登録を受けた仮想通貨交換業者20社にて、約20種類の『暗号資産』が取引可能となっています。

他の呼び名について

暗号資産以外の呼び名について

『暗号資産』の歴史をたどると、2014年に政府による「(ビットコインは)通貨ではない」という見解に基づいて『価値記録』と呼称され、「日本価値記録事業者協会:JADA」が設立されました。※現協会名は「一般社団法人 日本ブロックチェーン協会:JBA」

そして、2015年に金融商品取引業者を中心とした「仮想通貨ビジネス勉強会」が発足し、「仮想通貨」という呼称が一般的になりました。※現協会名は「一般社団法人日本仮想通貨ビジネス協会:JCBA(旧 日本仮想通貨事業者協会)」

これは、「法定通貨/Fiat Currencyではない(法定通貨外)」という認識から、対外的に『仮想通貨/Virtual Currency』という呼称が使われたといわれています。 

また、日本語では『仮想通貨』が一般的であっても、英語では一般的に『Cryptocurrency』と呼ばれていたことから、有識者の間では『暗号通貨』や『クリプト』とも呼ばれていました。 

その後、2016年4月に「銀行法等の一部を改正する法律案」が衆議院本会議にて可決され、翌2017年4月に施行されました。その中で「仮想通貨交換業に係る各種政令等」も交付され、法規制面で『仮想通貨』という呼称で定義されるようになりました。

どうして暗号資産と呼ばれている?

その後、2018年3月に金融庁にて、仮想通貨交換業等をめぐる諸問題について制度的な対応を検討するため「仮想通貨交換業等に関する研究会」が設置されました。その第9回(同年11月12日開催)において、金融庁より下記2点の理由により「『仮想通貨』の呼称を『暗号資産』に変更することも考えられる」と提案されました。

①国際的な場において、『暗号資産: Crypto Assets』との表現が用いられている。

②『仮想通貨』という呼称は、『法定通貨』との誤解を生みやすい。

 

この提案に対して、同研究会において参加メンバーからは下記のような反対意見も出されました。

・新しい呼称によって、新しい何か良い物ができたような印象を与えるのは適切ではない。

・G20では『暗号資産』、FATF(Financial Action Task Force)では『仮想資産』と呼んでおり、国際的にまだ呼称が定まっていない。

・流出事件が発生した最中、「名前を変えて売り出し直します」みたいなことはしたくない。

 

これを機に議論が交わされることとなりましたが、2019年5月31日に資金決済法と金融商品取引法の改正が参議院本会議において可決・成立し、『仮想通貨』から『暗号資産』への呼称変更が決定しました。

どの呼び名を使ったらいいの?

法律によって『暗号資産』という呼称が決定し定義されましたが、決して『仮想通貨』という呼称が禁止されたわけではありません。従って日常的な会話の中で、慣れ親しんだ呼称が今まで通り使われることは、何ら問題はありません。厳密には『仮想』なのか『暗号』なのか、『通貨』なのか『資産』なのかは、技術や使用用途によって使い分けられるべきだともいえます。 

ただし、法規制によって定義された呼称として、公の場で使用する場合は定義を明確にするため『暗号資産』という呼び名に統一するように心がけなければなりません。

最後に

『仮想通貨』『暗号資産』…等、どのような呼び方であっても、様々な技術・機能を持つビットコインなどを、既存の言葉で総称することは不可能です。多機能となる中で、カメラやアプリの機能が前面に押し出されて電話本来の機能が薄まっても、呼称には『phone』と付くスマートフォンと似ています。従っていずれは、「スマートマネー」のように、新しい言葉が生まれることがあるかもしれません。

まだまだ言葉も法律も追いつけない『暗号資産』の動向に乗り遅れないように、情報収集していきましょう。