2021年6月10-11日に開催された「Non-Fungible Tokyo2021」DAY1のセッション“CryptoArtとSDGs /Top crypto art and SDGs”をレポートします。
真鍋 大度 (まなべ だいと) 氏
ライゾマティクス主宰
東京を拠点に活動するアーティスト、インタラクションデザイナー、プログラマー、DJ。
2006年Rhizomatiks 設立。身近な現象や素材を異なる目線で捉え直し、組み合わせることで作品を制作。高解像度、高臨場感といったリッチな表現を目指すのでなく、注意深く観察することにより発見できる現象、身体、プログラミング、コンピュータそのものが持つ本質的な面白さや、アナログとデジタル、リアルとバーチャルの関係性、境界線に着目し、デザイン、アート、エンターテイメントの領域で活動している。
藤本 真衣 (ふじもと まい) 氏
MissBitcoin / 株式会社Gracone CEO
本カンファレンスを4年前に立ち上げた発起人でもある。2011年からブロックチェーン・暗号資産領域の普及に貢献して来た1人である。NFT領域においては、ライゾマティクスの真鍋大度氏や、Kevin Abosch氏といった著名アーティストと共にKizuna NFTチャリティプロジェクトの実施やCryptoArtTownというメタバース展示場運営を行なっている。GMOインターネット、BITPoint Japan、Animoca Brands、 double jump.tokyo、 withB、ToyCash、 Anique、Neukindなどのアドバイザーも務め、Decentralized の元CEOが立ち上げたBigTimeやAxie infinityを運営するsky mavis、Aniqueへ投資するエンジェル投資家でもある。
絢斗 優 (あやと ゆう) 氏
CryptoArtist / Kizuna Blockchain PROceed
メディアアーティストとしてのバックグラウンドと、ブロックチェーン業界の知見を生かし、業界間の橋渡しとして活動している。MissBitcoinの藤本氏と共にKizuna NFTチャリティキャンペーンを推進。
2006年よりメディアアーティスト、トラックメイカーとして活動開始。ユネスコダンスコングレスや文化庁芸術祭など国内外で作品を発表。インタラクティブコンテンツやVRライブのクリエイティブディレクターとしての活動を経て、CryptoArtistとしてもFoundation等で精力的に活動中。
目次
自己紹介
藤本氏:このセッションは、Top Crypt Art & SDGsというタイトルでお送りします。モデレータを務める藤本真衣です。よろしくお願いします。
今日はこちらにライゾマティクスの真鍋大度さんと、ブロックチェーン関係でKizuna NFTのプロジェクトや、今日共催しているブロックチェーンプロシードを一緒にやっている絢斗優さんに来て頂いています。
私の話を最初に少しすると、数年前からライゾマティクスさんの大ファンなので、この4年目のカンファレンスでご一緒できることを、とても嬉しく思っています。今日はお忙しい中、ありがとうございます。
お二人の経歴を紹介させて頂きたいので、では真鍋さんから簡単に自己紹介をお願いできますか?
真鍋氏:真鍋大度です。ライゾマティクスという会社をやっています。もともとエンジニアで音楽を作っていたのですが、最近は映像もやっています。
今、東京都現代美術館でライゾマティクスの個展をやっているのですが、その辺からNFTに関する作品を作ったり、最近はマーケットを作ったりもしています。このお二人にはいろいろとアドバイスを頂きながら作っています。
6月22日まで展覧会をやっていました。いくつか大型のインスタレーションと、あとで話す機会があると思いますが、NFTと言うか、OpenSeaのAPIを使って作ったビジュアリゼーションの作品などを展示していました。
藤本氏:ありがとうございます。続いて絢斗さんも自己紹介をお願いします。
絢斗氏:初めまして。絢斗優と申します。15年くらい前、学生のころにVGAや映像制作まわりの会社をノリで起業して、それ以来ずっとイベント業界にいます。ちょうど2018年頃、当時の暗号資産(仮想通貨)バブルでGPUのマイニングがすごく盛り上がった時に初めてイーサリアムと出会いまして、それからブロックチェーン周りのことを独学で勉強して、一時期はトレーサビリティやプロジェクトを諸々やり、それを経た後2019年のブロックチェーンプロシードのイベントからゲーム界隈もやりました。
藤本さんとは、2019年にマイクリ(My Crypto Heroes)さんのイベントなどで一緒にやるようになってからという感じです。最近は自分自身も一応クリプトアーティストとして、Foundation(ファウンデーション)というアメリカのプラットフォームで作品を出させて頂いてます。
先日は朝日新聞さんから取材があり、このコロナ禍で仕事が無い中、意外とNFTには新しい可能性があるということを伝えられたかなと思っています。
藤本氏:ありがとうございます。
NFTとチャリティプロジェクト
藤本氏:私はKIZUNAという暗号資産の寄付のプラットフォームを2017年から運営していたのですが、暗号資産を寄付してと言っても、なかなか実際集まりませんでした。お金をただ送ってくださいという想いだけを伝えても、なかなか盛り上がらなくて悩んでいました。
その頃ちょうどこのNFTが出てきまして、NFTとチャリティの相性はとても良いなと思ったんです。例えて言うならば、普通の暗号資産の寄付が普通のトーストだったら、ジャムを乗せた感じ。ただ送ってと言うのではなく、参加者の全員が楽しんで頂けます。
事例として明日のセッションで、Cryptograph(クリプトグラフ)の代表にもお話していただきます。英語で登壇して頂いて、日本語訳も付けています。そこもNFTチャリティをとても早くからやっています。
去年アシュトン・カッチャーさんとか、パリス・ヒルトンさんとか、あとはアクアマンの主演のジェイソン・モモアさん、そういう方々のNFTをチャリティオークションで販売して、収益のほとんどを寄付するという活動をされていて、私もこれやらなきゃと思ってやり始めました。
実際に今は、Kizuna NFTチャリティプロジェクトとして、何度かチャリティ活動を行わせて頂いております。たまたま真鍋さんにお声掛け頂いたラジオ出演がきっかけで、その勢いでこのチャリティに参加してくれませんか?とお願いしたところご快諾頂きまして、先週チャリティオークションを行いました。
これは弊社が作っているメタバース展示場なんですけれども、そこでこの真鍋さんの、ライゾマティクスさんの作品を展示、チャリティオークションをさせて頂きました。
ありがたいことに1位差で落札されまして、その寄付金はすべて認定NPO法人のD×Pさんに寄付させていただきました。今コロナ禍で、親からの支援が無い若年層の方々がバイトも行けなくて、一日一食で過ごしていたり、生活に困窮されているという事実がありまして、そこをサポートしている、大阪にあるNPOに寄付させて頂きました。
寄付を送ってと言うだけではなく、強力な力を持ったアーティストの方々に賛同して頂いて、アーティストのファンの方がそれを買って、みんながハッピー。寄付するだけじゃなくて、好きな人の好きな作品を買う事によって社会に貢献できるという。日本で古くから「三方よし」という言葉がありますが、まさにそれを体現する形でこのNFTチャリティは進めています。
今後の私たちのセッションの中で、このNFTチャリティには、今私が言った要素だけではなく、他にもチャリティに相性が良いところが満載ですので、それは後程ディスカッションさせて頂けたらと思います。
ライゾマティクス15周年映像作品について
藤本氏:今回真鍋さんに提供いただいた作品のコンセプトや、作品を作るに至った経緯をお聞きしてもよろしいですか?
真鍋氏:はい。もともと東京都現代美術館の入り口に展示している作品があります。それ自体はライゾマティクスが15年間活動してきて、今年15周年なんですけど、15年間書いたソースコードを全部集めて、そのソースコードの特徴を分析して、2次元にマッピングして、映像を生成するということをやって展示しています。
新型コロナウイルス感染防止の緊急事態宣言になって美術館がクローズしたので、本当はそれをそのまま売ろうかなと思ったんですけど、現代美術館のルールで「展示中の作品は売ってはいけない」というものがあり、しかし「同じデータで違うグラフィックで作り直すのであれば良い」ということで、作り直して販売したものです。
NFTチャリティの未来
藤本氏:このチャリティのNFTを落札して下さった方に、「このNFTを使ってDAO(自律分散型組織) 的な取り組みをしたい」と言ったら、「みんなのチャリティNFTだから好きに使って良いよ」というありがたいお言葉を頂きました。NFTを使って、社会実験的なことをやっていきたいと思っています。
その話に移る前に、私が構想しているNFTのチャリティの未来について少しコメントさせて頂きます。このNFTを買った人のブロックチェーンアドレスは、私たちは把握しているわけです。それで今回のNFTチャリティだけではなくて、これから何度も何度もこういった活動をしていこうと思っています。
ということは、何人もこういった社会貢献活動に参加してくださる方が現れて、その方のブロックチェーンアドレスがわかるようになります。つまり、そのチャリティNFTを持ってる人、チャリティに参加したことのある人だけにしか配られないNFTを作って、その人たちにプレゼントしたり、そのチャリティNFTを持ってる人しか参加できない空間を作ったりして、今までのお金払ったらなんでもできるという世の中から、社会に還元して優しいことをした人に何かちょっと嬉しいメリットを与えられるような空間が作れたらいいなということを想定しています。
絢斗さん、その辺について結構私たちお話しますが、補足などあればお願いします。
絢斗氏:NFTの良いところとして、今までもガバナンストークンを配るプロジェクトが多かったです。しかしERC20などのバランストークンモデルですと、一回配ってしまうと取り消しができず、最初の方にトークンセールをしてしまうと、初期に抱え込んだ人が、ずっと投票権の30%~40%を持ってしまい、そこの意見が変わらなくなってしまうという問題がありました。
それに対してNFTの場合は、3年前のNFTと最近のNFT両方を組み合わせてバランスを取ったり、という修正ができます。
将来SDGsポイントみたいな、社会貢献に関わっているというポイントがあると、例えばSDGsポイントがある人だけが入れるコワーキングスペースだったりとか、あとはリソースシェア的な形だと、社会貢献級の活動をしている人は衣食住全部企業のスポンサーで行けたりとか、そういった意味ではあり得ると思います。
その場合、お金の設計に近いので、どうしてもポイントの設計に偏りが生まれたり、不平等感が出てしまったりすると、システムがいびつになってしまうので、将来の修正の可能性を持たせる、なおかつ昔から関わってきた人もちゃんとつないでいられるということで、NFTに関しては可能性を感じています。
NFTとDAOで新しい未来社会が来る
絢斗氏:ちなみに眞鍋さんは、DAOについて聞いたことはありますか?
真鍋氏:エドワード・スノーデンの時に、結構話題になりました。
絢斗氏:ありましたね。
真鍋氏:Pleasr(プレジャー)DAOで知ったのが、最初です。NFTで共同で所有してみたいなのだと、それが最近の一番大きなニュースですかね?
藤本氏:まさしくそれです。私が最近見たプロジェクトの中で、ビットコインのコンセプトを聞いた時と同じくらい鳥肌が立ったのが、スノーデンのNFTをプレジャーDAOが買っていたということです。これについて、優さん説明補足お願いできますか?
絢斗氏:もともとFoundationがよく発動されていて、ブロックチェーン界隈でたくさん作っていた方の作品がどんどん値上がりしていった結果、個人では買えないとなった時に、共同で買いたいという人たちが有志で集まって、共同で出資してNFTを買うというのがありました。その時にできたのがプレジャーDAOさんで、そのDAOのメンバーがどんどん色んなNFTを買っています。
その場合、先にERC20でトークンを作って、トークンを持ってる人がDAOのメンバーになり、そのメンバーの協議で「これはこのコミュニティにふさわしいNFTだ」といって買うということをやっているみたいです。
一方で逆のパターンもできてまして、もともとNFTのシリーズがあって、例えば3個とか5個とかのコレクションがあって、そのコレクションの権利を細分化して、その細分化したものを持ってる人たちでコミュニティを作るものだとか、ユニークリーとかシャーディングDAOとかそういったプラットフォームが多いんですけれど、そこに使ってるところもあります。
なので、先にトークンを発行して、トークンを発行した人たちがNFTを買うってパターンか、先にNFTがあって、そのNFTを持ってる人たちがNFTを分解、細分化して、そのトークンを配って、そのトークンを持ってる人がDAOになるという感じです。
真鍋氏:ライゾマは後者だと思うんですけど、是非実験に使ってもらえたらと思います。持ち主の方が今日はいらしてるのか、わからないですけども。
藤本氏:ありがとうございます。先ほどのスノーデンのNFTが、数字は忘れましたが数億円単位で落札されまして(編集部注:約5億4,000万円で落札)、それはスノーデンが今、顧問かアドバイザーか勤めている、情報の民主化的なFoundationがあって、そこの寄付金に充てられました。
これってすごいなと思っています。なぜかと言うと、今まではそういう非営利的な活動をしている人が大きな理念とか、こういう社会にしたいという強い想いを持っていても、日本のNPOさんとか特にそうだと思うんですけど、お金をやっぱり集められなかったんです。
スノーデンのNFTを見て思ったのが、これからはそういう想いを持った人に共感して資金がもっと集まりやすくなるんじゃないかということです。ブロックチェーン、NFTに国境は関係無いので、自分と同じ思いを持った、生まれた場所に関係の無いコミュニティというのが出来ていくんじゃないかなということで、ビットコインのコンセプトを最初に聞いたときと同じくらい、これは面白い社会が来るなと思いました。
絢斗氏:そうですね。企業とか国家とか、あとNPO、NGOとか、何か社会に影響を及ぼそうとしたら選択肢があったんですが、そういうのと違ったDAOという形で社会に影響をもたらす可能性が出てきました。
活動に理念があったとしても、NPOの方が企業よりお金持ちなんて結構珍しいと思うのですが、DAOの場合は、逆に理念が詰まったNPO的な組織の方が、普通の企業よりも扱える金額が大きくなってくるかもしれません。投資ファンド的な要素とNPO的な要素組み合わせたものが、なおかつ国境を越えて、実際に影響力を持つといことが近々起きてくると思います。
その辺はすごい面白いなと思いますし、あとは音楽業界も思想的に繋がれていて強いので。どこかのジャンルごとに集まって、例えばEDMならEDMジャンルだったりとか、テクノならテクノのジャンルで国を越えたコミュニティ自体、前からあったので、そのコミュニティを象徴するNFTやDAOみたいなものができてくると、今度そのDAOが主催になってフェスを開いたり、また社会啓蒙的なイベント開いたりということもできるようになってくるので、結構面白いのではないかと思います。
藤本氏:これは本当にそうで、今お話ししていることは、SDGsにも関係あるんです。その人が信じるコミュティや、そういったところに所属できたり、今までお金が集まってなかったところに共感が集まるとか、本当にたくさんのヒントがあると思っています。
続いて議題を移しますが、ライゾマティクスさんがNFTエクスペリメントということで、NFTのマーケットプレイスをローンチされましたね?
真鍋氏:はい。
藤本氏:すごいスピード感だったと思うんです。「どうしましょう」と話してから、「作りました」まで、素晴らしいスピード感だなと。
真鍋氏:そうですね。ライゾマのサイトは、Kyuzanさんという会社が作っているSDKを使っているので、割とフロントサイドだけでマーケットを作れたのです。ややこしいところは、KyuzanさんのSDKに担ってもらっています。
絢斗氏:1、2ヵ月くらいで出来てました。
真鍋氏:1ヵ月くらいでとりあえず作りました。1ヵ月で作ったとか言って、ライゾマの人たちはめちゃくちゃ大変な思いをしてたと思うので、あんまり軽くは言えないんですが。
「現代美術館のオープンに合わせて、NFTのプロジェクトを何かやろう」という話をして、たまたまこのKyuzanのMINTというSDKを作っている会社のエンジニアがCTOのコミヤマくんで、もともとライゾマで働いていて、それで、この3人で1月くらいにクリプトアートについて話したと思います。
藤本氏:そうですね。
真鍋氏:それを聞いていて、「マーケット作る機能ありますよ」という話になり、作り始めたら結構大変な感じではあったんですが。
絢斗氏:そうですね。この間オークション見てて思ったんですけど、やっぱりイーサリアム自体をよく知らない人が多かったりすると、サイトのせいなのか、イーサリアムのブロックチェーンのせいなのか、メタマスクのせいなのか、何が原因かわからなかったりするので、これは大変だなと思いました。
いろんなNFTの話題が最近多いので、どうしましょうという相談は多いんですが、実際にNFTを発行するだけじゃなくて、サイトまで作ってしまったのはライゾマさんだけですよね?こんなに早く動いたのはライゾマさんだけで、すごいなと思いました。
藤本氏:素晴らしいと思います。
真鍋氏:ありがとうございます。メディアアート界隈で、このNFTアート、クリプトアートが流行り始めたのは去年の夏ぐらいだったと思いますが、マーケットプレイスについては、Rarible(ラリブル)、SuperRare(スーパーレア)のどっちが良いか、あとNifty Gateway(ニフティゲートウェイ)にどうやったら出せるんだろうというのが悩みどころでした。SuperRareは紹介制というか、何かのルートが無いとすぐに出せなかったりしました。
どのプラットフォームが最適?
真鍋氏:出す側としては、どのプラットフォームで出したらいいかよくわからないと言うのが最初ありました。それで、Foundationがいけてるらしいということで、僕はFoundationの人たちと一番やりとりしてます。
ワープレコードのUKの音楽の人たちがそこに入ったりもしてるので、共通言語が多かったりもします。それでもやっぱりこれちょっとわからないから、自分たちで作れたらいいよねと、最初に思いました。どのマーケットが良いのかとか、もちろんその後で互換性があるとはいえ手数料も違いますし、それぞれインセンティブも違うから、難しいと未だに思っています。
藤本氏:どんどん増えていくので、正直選び方というところでは、私はもうわけがわかりません。
絢斗氏:逆にそうなってくると、先行者が有利になるのと、さすがに増え過ぎていくと、どこかの段階でNFTの規格自体をアップデートしようとなってくると思います。今いろんな会社とかいろんなプラットフォームごとに、仕様が微妙に違ったり、メタデータも違うので。
音楽業界もMIDIとかDMXとかの規格が出来て、標準化されてからシンセサイザーがすごく発展したような感じで、NFTもメタデータの共有とかそういったものが出てくると、どのプラットフォームで出しても、だいたい1個ちゃんと規格通りに作っておけば、互換性があるみたいになってくると、本当に普及すると思います。
真鍋氏:そうですね。今はOpenSeaでちゃんときれいに表示してくれるようにという感じで作ってしまっていますけど、プラットフォームが乱立するというのもすごく面白い状態だなとは思っています。
例えば動画で言うとYouTubeが流行って、Vimeoも出てきましたが、それでプラットフォームが乱立することにはなっていません。NFTの場合は、プラットフォームが乱立状態だし、クリエイターも今まで知らなかったような面白い人たちがどんどん可視化されている状態です。
久々にこういうムーブメントがあったなと思って、僕はクリエイティブな人たちとかアーティストとかアート作品がドライブしてるこのシーン自体に、すごくワクワクしています。
SDGsの観点から環境問題について
藤本氏:最初にNFT、クリプトアートを出す時に、真鍋さんは環境問題のところを懸念されていましたが、踏み切るのに勇気は要りましたか?
SDGsのセッションなので、環境問題にも触れたいと思います。最近、特にヨーロッパ圏からNFTと言うと環境問題のことがどうしても言われがちなので、その辺りの反応はどんな感じでしょうか?
真鍋氏:そうですね。さっきからずっとセッション聞いてて、マーケティングという言葉がすごく出てくるなと思ったんですけど、環境問題って結構マーケティングに使われている感じはします。テゾスのプラットフォームなどは、メディアアーティストたち、割とSuperRareとかFoundationとかを批判した人たちがそっち側に行ったりしていて、マーケティングっぽく使われてるところがあるなと思っています。
僕らもPolygon(MATIC)とイーサリアムと両方ありますけど、その辺もあえて言うべきなのかとか、もちろん環境負荷に関して考えなきゃいけないと思うんですけど、マーケットで起きてる問題に全部置き換えて、このムーブメントを批判するというのはちょっとおかしいんじゃないかな、と最近は思っています。
藤本氏:なるほど。優さんはどうですか?ヨーロッパ圏とか世界中に、アーティスト友達がいると思いますが。
絢斗氏:自分はそんなにフォロワーはいないんですけど、でも自分のレベルでもNFT出すと言ったら速攻で「テゾスの方が良いよ」とか「NFTは環境に悪いよ」という話が出てきます。逆にそういう人たちは、どれくらいPoSとPoWの違いが分かってるのか?と思いますし「PoSって本当はいっぱいあるけど、なんで敢えてテゾスだけ?」と突っ込んで聞いてみると、逆に「よくわからない」と返事がきて、おいおい、みたいな。分かって批判してるのではなくて、ノリで、ムーブメントの中でやっている人が多かったと思います。
環境問題の話でいつも出るのは、まずは正確なデータに基づいて批判、批評するべきだということです。ものによってはNFTの発行するトランザクション1個がパソコン1000年分とか、そんなわけないみたいなデータが出たりしています。CO2の実際の量で言うと、YouTubeとかAmazonのサーバの方がよっぽど使っているので、そういったところと比較して欲しいなと思います。
藤本氏:お二人が言ってることに、私もすごく共感します。比較は大事ですがTwitterを見ていても、これはこうだと重ねていく議論の繰り返しなので、そうではなくて、全体的にどういう風にすればいいかという議論を皆でしていくことが今後大事なのかなと思います。
PerfumeのNFTをリリース!
藤本氏:時間があともう5分です。最後に、頂いていたスライドを出していいですか?
真鍋氏:はい。1回ニュースにも出たんですけど、これまでもモーションキャプチャのデータをオープンソース化して、ソースコードもオープンソース化して配布したりとか、3Dスキャンのデータを配布したりとか、それにまつわるソースコードを公開したりとか、ライブとかとは別でいろいろやってきたんですけど、多分明日にはPerfumeのNFTがリリースされると思います。
絢斗氏:しれっと重大な発言が!
真鍋氏:しれっとですけど、明日、リリースがあると思います。
藤本氏:それは楽しみです。
真鍋氏:またこういうので盛り上がっていくといいなと思います。
藤本氏:明日とは、良いタイミングです。
真鍋氏:ここで告知できたらいいなと思って、ちょっとフライング気味で告知してます。
藤本氏:エキスパーメント、ライゾマさんのNFTプラットフォームでですか?
真鍋氏:そうです。今回はライゾマのプラットフォーム、Polygonで。
藤本氏:Polygonですね。Polygon用意しておきます。用意しとかないとダメですからね。
絢斗氏:そこはもう、環境にも配慮して。
真鍋氏:そうですね。ここはまずは配慮して、Polygonでリリースしたいと思います。
絢斗氏:ちょっと細かいことを聞いてもいいですか?
真鍋氏:はい。
絢斗氏:これ、スカートとかヒールとかもちゃんと撮れてるっぽいんですけど。
真鍋氏:めちゃめちゃ細かい話聞きますね。
絢斗氏:ということは、やっぱり普通のバイコンのスーツとかじゃなくて、光学式で全部撮ってるんですか?
真鍋氏:これは、カメラを48台かな。全方位に置いて撮影して作ったフォトグラメトリーデータです。
絢斗氏:フォトグラメトリーで撮るんですね。なるほど。
真鍋氏:カメラをばーっと大量に置いて。もっとたくさん置く時もあるんですけど、この時は48台でやっていると思います。まずは映像としてリリースしますけど、最近いろんなフォーマットのデータがOpenSeaでも扱えるようになってきているので、ライゾマのサイトでももう少し、ファイルフォーマット対応を増やしてプレビューできるようにしてというのはやりたいなと思っているところです。
藤本氏:ありがとうございます。OpenSeaという言葉が出たので、OpenSeaのAPIを用いたこれ。現代美術館まだ行ってない方がいたら、絶対行った方が良いと思います。
真鍋氏:3月11日の、Beeple(ビープル)の作品が落札された前後24時間のデータをOpenSeaのAPIを使って、まとめたデータとアセット集めて、映像作品を作ったというものです。最初何を作るのが良いのか結構迷っていて、ちょっと俯瞰したところでマーケットを眺めて、そこから作品作るようなことをやろうと思って作った作品です。これも現代美術館で大きく展示してるので、お時間ある方は是非チェックしてください。
藤本氏:ありがとうございます。会場に入ったらまず最初に出てくるので、私も興奮してOpenSeaのメンバーに連絡しました。すごくインパクトがあるので、是非多くの人に行って頂きたいなと思います。
あと1、2分あるんですけれども、何かメッセージがあればお願いします。
真鍋氏:今回このイベントに出させて頂いて、すごくありがたかったなと思います。ずっとセッション見てて、こういう方たちがプレイヤーなんだっていうのを改めて見られました。今までTwitterのアカウントと顔とが一致してなかったのが、今日いろいろと一つになったので、すごく貴重なイベントでした。ありがとうございます。
絢斗氏:今、なんだかんだでNFTが流行っているとは言え、まだまだニッチな状態です。逆にこのカンファレンスを聞いてる人たちは将来すごい、今まで知らなかった、気づかなかった新しいビジネスを始めたりとかで、社会を変える人も多いと思うんです。例えば今、六本木ヒルズに入ってる会社さんも30年前はただのベンチャーだったところばかりなので、そんな感じで今この時代が変わるタイミングにNFTに興味を持ってるって、すごいことだと思います。
だからこそ、ビジネスに成功した後にKIZUNAみたいなプロジェクトもあったなとか、NFTチャリティみたいな話って最初からあったんだなというのをちょっと思って頂けると、成功した後に自分の人生どうしようとか悩むんじゃなくて、成功したならではの社会との関わり方を考えるきっかけになれたらなと思っています。
藤本氏:おー、なんか哲学。素晴らしいメッセージだと思います。
絢斗氏:こういうのってお金持ちになってから考えてもね。路頭に迷うんですよみんな。
藤本氏:なんか神様に見えてきました。
今回も今日だけじゃなくて、明日もSDGs、どうやって社会に優しいインパクトを与えようかというセッションがあります。
こういった形でご一緒できたのは、本当に光栄です。
では、こちらのセッションはこれで終了とさせて頂きます。ありがとうございました。
眞鍋氏:ありがとうございました。
NFT関連の求人はこちら
Web掲載のない非公開求人もございます。詳細は以下の転職相談よりお問い合わせください。