ブロックチェーン・暗号資産(仮想通貨)業界内で活躍する女性にスポットを当てた特集記事「ブロックチェーン女子部」。
今回は、BTCボックス株式会社の笠原 良恵氏にお話を伺いました。
転職の際に決め手となったポイントや、企業文化、仕事観などBTCボックスで働くリアルを語っていただきます。
笠原 良恵(かさはら よしえ)氏
着物作りのプロから金融業界へ転職。証券会社等でカスタマーサポート部門のスーパーバイザーを勤めた後、BTCボックスヘ入社。現在は採用と広報・PRを担当している。
目次
日本の伝統工芸から先端技術へ
この業界では、私の経歴は異色と言えるかもしれません。日本のものづくりに関心があり、高校卒業と同時に和裁の養成所に入って着物について学びました。毎日針と糸を手に着物に向き合い、通算で1000枚以上は仕立てたと思います。
その後独立し、呉服店から注文を受けて着物を仕立てていました。同時に華道や茶道にも手を伸ばし、実は着付けと華道で師範も持っているんです。
そうやって自分の技磨きに励んでいましたが、技術を持っているだけでは、外の世界とコラボレーションをしたり、さらに発展させたりすることができないと思うようになりました。
金融業界への転職
誰かに情報を発信することにはもともと興味を持っていました。しかし、初対面の人とお話しして人脈を広げていくようなことをあまりやってこなかったので、コミュニケーション自体には苦手意識があったんです。
そんな部分を補いたいという想いと、金融経済知識も身に付けたいという気持ちから、金融機関のカスタマーサポート部門で働き始めました。
BTCボックスとの出会い
経験を積んでいく中で、コールセンター立ち上げをSV(スーパーバイザー)として任せていただくようになり、2016年に仕事を通して暗号資産取引所にも関わるようになりました。日々目まぐるしく変わる状況を業務に落とし込み、運用に反映させなければならず、正にジェットコースター並みの忙しさでしたね。
ちょうど、ビットコインの価格が僅か1年半ほどで6万円台から200万円台へと一気に駆け上がっていった時期です。凄いことが起こっているんだと大きな衝撃を受け、生々しいマネーの動きを実感しました。
その中で、BTCボックスの社員の方と関わる機会があり、社内の様子を聞いてすごく自分に合っているのではないかと思いました。自分の中でも、暗号資産取引所の中がどうなっているのか気になっていましたし、とても自然な流れでBTCボックスへの転職を検討し始めたという感じでしたね。
激動の時期でも迷わず入社
BTCボックス創業者のDavid Zhangとの面接の際に、彼がとても自然体で話をしていることが印象的でした。
私から『経営する上で1番大切にしていることは?』という質問をすると、彼は『人です』と回答したんです。
経営者が自然体でいられる会社はなかなかないと思いましたし、こんな人と一緒に働きたいと感じました。
私がBTCボックスに入社したのは2018年の2月でした。ちょうど他社で大規模な暗号資産流出事件が起きた直後であるため、その時期、暗号資産取引所への入社をためらわなかったかとよく聞かれましたね。
しかし、自分が自分らしくいられる環境の方が重要だと考えていましたし、どんな人と一緒に働くかを1番に重視して転職しました。新しいことへのチャレンジは臆さないタイプなので入社に迷いはありませんでした。
もちろん、流出事件の影響が全くなかったというわけではありません。入社後少し経ってから金融庁の立入検査が入り、社員の中にも『一金融機関』としての意識が強まりました。いい意味での緊張感が出てきたんですね。
このことで一気に暗号資産に関する法整備が進み、ルールが定まっていないところから状況が整備され、やりやすくなった部分も多いです。
現在の仕事内容
現在は採用周りとPR・広報を担当させていただいています。入社した時は、それまでの経験を活かしてカスタマーサポート部門に従事していましたが、自ら手を上げて採用を担当するようになりました。
採用業務はすごくやりがいを持ってやっていますが、その延長で興味のあったPR・広報にも手を伸ばしていったんです。
普通の日本企業では考えられないと思うのですが、BTCボックスでは自分で『ポジション取り』をしていくことができます。あなたはこれをやって!と強要されるのではなく、会社にあるチャンスから自分に合ったものを見つけてやっていくという感じですね。
もちろん、全く結果が出ないとなると難しいということにもなりますが、経営者側が社員の成長を長い目で見てくれているので、こういったことが可能なんです。
BTCボックスの仕事観とは?
日本にはBTCボックス以外にも複数の暗号資産取引所があります。他社は日本企業の資本で運営しているところがほとんどだと思うのですが、BTCボックスは台湾の資本が入っています。そのため、日本企業とはまた違った文化があります。
自分自身が何をすべきで何を求められているか、全部自分で取りにいきます。誰かに目標を決められ、無理やり短期で結果を出そうとしてもいいものはできません。自分のストーリーがあって、この場にいるなら相手に強要されるより自ら動いて結果を出す方がやりがいあると思いますし、自分自身で考えて自分自身で動いて結果を導くことに喜びを感じる人たちが集まっています。
また、丁寧にプレゼン資料を作ってお伺いを立てて…というプロセスが多い日本企業と違い、とにかくプロジェクトを前進させることが重視されていて、無駄を省いたスピーディーな意思決定がなされます。やるとなったらとにかく早いですね。
会社としてもちろん結果にもフォーカスしますが、社員が苦しみながら仕事に当たるということを嫌う文化があります。ストレスフルな環境で働いてもいいものは生まれないという考え方から、精神的に自由で、一人一人のインスピレーションやクリエイティビティを大事にする環境が重視されています。
BTCボックスで働く楽しさとは?
暗号資産やブロックチェーンは新しい領域であるため、物凄いスピードで様々なことが動いていきます。毎日新しい情報に触れることができ、それが楽しみの一つでもありますね。
また、BTCボックスは日本人半数外国人半数の環境です。時には価値観がずれることもあって、その調整は大変でもあるんですが、自分の当たり前が日常的に塗り替えられていくんです。そんな発見が多い環境にも好奇心を刺激されて、楽しいと感じますね。
趣味の時間も大切に
仕事が忙しい時もありますが、多趣味な方なので時間があれば様々なことに取り組んでいます。ものづくりはもともとやっていたので今でも大好きで、アクセサリーを手作りしてみたり、最近だと布マスクを大量に作り、家族や友人にプレゼントしたりしていました(笑)
スポーツも好きで、最近はトレイルランニングにもハマっています。過酷な競技ですが、自然の中で体を動かしているととても爽快な気分になり、いいリフレッシュになっています。
ビットコインとの出会い
証券会社で働いていた2014年頃に、ビットコインという言葉を初めて耳にしました。金融商品の一つとして社内でも取引している人がいて、私自身もごく自然に取引を始めました。その裏側にある仕組みについては、後から勉強し始めたんです。
インターネットの誕生が後の世界に多大な影響を与えたことは周知の事実ですが、ブロックチェーンはこのインターネットの発明とよく比較され、それと同等のインパクトがあると言われています。
ビットコインは、そんな人間社会の根幹を揺るがしうる大発明であるブロックチェーン技術を使った最初のプロダクトであるということを知った時、感動と共にこれからは世の中はどうなっていくのだろうというワクワク感を覚えました。
ブロックチェーンの勉強に役立った書籍たち
ブロックチェーン技術は奥深く、非常に難解な部分も多くあります。『ブロックチェーン・レボリューション ― ビットコインを支える技術はどのようにビジネスと経済、そして世界を変えるのか』や『図解入門 最新ブロックチェーンがよ~くわかる本』といった書籍がブロックチェーンを学ぶ上でとても役立ちました。
また、BITCOIN.JPで公開されている『漫画ビットコイン論文〜暗号通貨のビック・バンを理解しよう〜』では、漫画作品で楽しみながらビットコイン論文について知ることができるので、まずは気軽に学びたい方にオススメです。
更に『デジタル・ゴールド ─ ビットコイン、その知られざる物語』では、ビットコインが誕生するまでのストーリーが、それに関わるパイオニアたちの名前と共にリアルに描かれています。ゼロから1が生まれていく劇的な物語には誰もが興奮を覚えるのではないでしょうか?
ビットコインの信用基盤はブロックチェーン
まだまだ世間的には、暗号資産は怪しい、信用できるの?盗まれるのでは?といった考え方が一般的かもしれません。
日本円やアメリカドルなどの法定通貨や株といった金融商品は、国や企業の信用を基盤としています。それが、ビットコインの場合はブロックチェーンという仕組みが信用基盤となっているんです。
みなさんが何気なく利用している銀行、今急激に普及し始めている〇〇Pay系のサービスも、支払い手段としてはかなり便利ですが、かなりの個人情報を渡し、すべてを管理・監視されています。それに関して、「滅多にトラブルも起こらないし、不便も感じていないし特に問題ない」と思う人がほとんどでしょう。しかし、銀行が倒産すれば資産が失われる可能性もありますし、プライバシーの問題など目に見えないリスクが多く潜んでいるのも事実です。
一方ブロックチェーンは、その性質上、相手に秘密鍵が知られさえしなければ資産が失われることはありません。自分の資産の管理者はあくまで自分自身です。個々の自己責任能力を問われるその仕組みは、一見厳しいもののように言われがちですが、逆に言えば、自分さえ気をつけていれば、『他人にはどうすることもできない』という安心感をもたらしてくれます。
最近では、ブロックチェーンや暗号資産の仕組みをわかりやすく説明してくれているメディアやブログもたくさん出てきています。
怖いなとかよくわからないから危ないと決めつけてしまう前に、ブロックチェーンの基本的な部分を知って欲しいですね。もちろん、企業としてもそういった部分を発信できるようにしていきたいです。
これからのBTCボックス
ここ数年は法令順守対応が中心で、サービスを広げることができていませんでした。今後はユーザーの皆様のため、そして暗号資産の普及のためにも、これまでの枠にとらわれない幅広いサービス展開をしていきたいと思っています。
会社としては『暗号資産で決済ができる世の中』にしたいというビジョンがありますので、まず暗号資産決済を導入してくれる店舗を開拓するのはもちろん、ユーザー側のインターフェースとしてウォレットの開発も必要になります。
また、暗号資産はゲームとの親和性も高いと考えているので、ゲーム内で暗号資産をチャージしてアイテムの購入などでも使えるようにする案もあります。
具体的にどういったアクションをとっていくのか、社員一人一人のアイディアを活かせるチャンスを会社として十分に用意しています。知恵を出し合って、業界及び会社の発展に繋げていきたいですね。
ビットコインのDNAを受け継ぐサービス展開
BTCボックスは社名にビットコインの名前が入っている数少ない取引所です。ビットコインの思想の中心的な部分でもある開放性、パブリックチェーンであることの魅力が活きる形でのサービス展開を行っていきたいですね。
また、BTCボックスにはニゴロくんというオリジナルキャラクターがいます。このキャラクター名もビットコインにちなんだものになっていて、ビットコインで使われているハッシュ関数のSHA-256(に・ご・ろく→にごろ)から名付けられました。弊社のホームページでも至る所に登場しており、会社の顔として頑張ってもらっています。
ブロックチェーン・暗号資産業界を目指す方へ
この業界で周囲を見渡すと、常に高いアンテナを張り続け、インプットとアウトプットを積極的に行っている方がとても多いんです。私自身、そんな方々から日々いい刺激をもらっていますし、そんな環境もこの業界の魅力の一つだと感じています。
仕事をしていく中で、ブロックチェーン技術の存在意義や魅力について知る機会は多く、情報もキャッチしやすい中にいますので、専門的になりすぎることなく、誰にでもわかりやすい言葉で私自身も積極的に情報発信していきたいですね。
今後この業界について少し調べてみよう、この業界に足を踏み入れてみようと思われている方々には、この業界はもうすでに、以前あったある種「サバイバル」のような時期は過ぎているということをお伝えしたいです。新しい金融サービスとして、金融庁はじめ自主規制団体等との取り組みにより、しっかりとした規制が概ね整いつつある状態にあります。
そして12年間ビットコインが新しいユーザーをグローバルに増やしながら存在し続けているという事実も、大きな安心材料ですね。無限の可能性を秘めたブロックチェーン技術がどのようにして発展し得るのか、将来どんな世界を創り得るのか、そんな想像力を掻き立ててくれるような業界、時代の最先端に身を置く醍醐味を感じさせてくれる職場は他にそうないと思うので、ぜひ前向きに検討してみてください。
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