ブロックチェーンの体系的な学習で見える面白さと大変さ – FLOC松田氏/赤澤氏

FLOC松田/赤澤

暗号通貨・ブロックチェーン業界に興味がある方のために、業界で必要な知識をどうやって身につけていくかを探る特集記事。

今回はブロックチェーンの学習スクール「FLOCブロックチェーン大学校」を運営する株式会社FLOCの松田壮一郎氏、赤澤直樹氏にインタビューしました。

松田 壮一郎(まつだ そういちろう)氏
株式会社FLOC カリキュラム部マネージャー、FLOC LOG編集長。

東京大学で生命科学を学んだのち、科学雑誌の編集記者を経て、テクノロジー、金融経済、法律、サイエンスなどを横断する”学問の総合格闘技”としてのブロックチェーンに惹かれ、FLOCに参画。現在、FLOCブロックチェーン大学校 全カリキュラムの企画制作を統括。

赤澤 直樹(あかざわ なおき)氏
FLOCブロックチェーン大学校講師、エンジニア、株式会社FLOC カリキュラム部。

フリーランスエンジニアとしてシステム開発やデータ解析に従事する中で分散システムの奥深さに魅了され、教育を通じて共に活躍できるブロックチェーンエンジニアを輩出するべくFLOCに参画。現在、FLOCブロックチェーン大学校講師、各種執筆、新規教育コンテンツ制作に加え、広島大学大学院博士課程後期にも所属しテクノロジー活用をテーマに研究も行う。

ブロックチェーンの総合スクール FLOC

ブロックチェーンの総合スクール FLOC

ー まずは、FLOCブロックチェーン大学校について教えてください。

松田:日本で唯一、ブロックチェーンを体系的に学べる学校です。ブロックチェーンの総合スクールですね。

 

ー いつから始まりましたか?

松田:会社が立ち上がったのが2018年4月ですが、前身の「ブロックチェーン大学校」は2016年からです。現校長のジョナサン・アンダーウッドが、寺子屋のように活動していました。

そんな中、”お金の学校”であるFinancial Academyの代表の泉が、「信用の見える化という点でお金と共通点をもつブロックチェーンこそ、社会に発信していくべきものだ」と思いビジョンが一致し、FLOCが立ち上がりました。

 

ー いまFLOCはどれぐらいの方々が来られているのでしょうか?

松田:今はコースが3つあり、それぞれ約200名で、合わせて600名超が実際に通われている受講生の数です。無料セミナーは5000名超の方々に受講していただいています。有楽町、新宿、大阪にスクールがあります。

最新技術への関心と教育との出会い

最新技術への関心と教育の出会い

ーお二人はいつ頃からFLOCに関わっていますか?

松田:私は2018年秋からです。

赤澤:私も2018年の10月ぐらいからで、正式に入ったのは先月(2019年7月1日)からですね。正式入社の前までも、カリキュラムのブラッシュアップや講師として関わっていました。

 

ーどういった経緯で関わり始めたのでしょうか?

松田:私はブロックチェーンとはALISのICOで出会いました。もともとメディアにいたので、メディアでブロックチェーンを使うことに新しさを感じ、そこから勉強し始めました。そのあとFLOCと偶然出会ったのですが、もともと教育にも強く興味があったのでピッタリだと思いFLOCに入りました。

赤澤:私は、データサイエンスとか人工知能のエンジニアリングをやってました。新しい技術に関心があり色々と調べているうちに、Satoshi Nakamotoの論文(ビットコインを発表した論文)に出会いました。ほんの数枚の論文でこれだけのことを論じているのはすごいと思い、さらに勉強しながらEthereumのトークンを作ったりしていました。

そこからエンジニアとしてブロックチェーンの仕事も受けていく中で、FLOCがいろんな教育や発信をしているのを知りました。自分が作るのも面白いけれど、作れる人間を育てるのも教育の魅力だと感じ、関わり始めました。

”学問の総合格闘技”と呼ばれるブロックチェーン学習の面白さと大変さ

”学問の総合格闘技”と呼ばれるブロックチェーン学習の面白さと大変さ

ー ブロックチェーン業界ではかなり知識量が求められると思いますが、お二人はどのように学習しましたか?

赤澤:私は完全に独学です。ブロックチェーンは特にコミュニティがしっかりしていて、ネット上に議論する場や論文があります。BitcoinならBIP(Bitcoin Improvement Proposals)などがありますね。最初はそれらを読みながら、実際に作れなくてもひとまず手を動かしてみました。頭でわかるだけではだめなので、とにかく汚くても動かなくてもコードを書いてみたり、写経してみたり。当社は書籍がなかったので、海外のブログや公式ドキュメントをみて、断片的な情報を自分の中でまとめていきました。やり始めたのは2〜3年前ぐらいからですね。

最近では書籍も出てきて取っつきやすくなったので、あとは気合いだけです。

そんな中で、英語はかなり重要でした。私は元々英語論文などを読む機会があったので慣れていましたが、時間が無いときはGoogle翻訳も活用します。

松田:私はエンジニアではないのですが、もともと大学院で生命科学をやっていて、英語論文を読むスキルはありましたが、次の3つの学習方法を使いました。

1つめは日本語の書籍を読むこと。2つめは仮想通貨に投資している人たちのコミュニティに触れること。3つめはGoogleアラートを使った情報収集です。

 

ー 仕事でブロックチェーン業界に関わるようになってから学習効率は上がりましたか?

松田:FLOCの場合は、現場でやってる講師たちがいること、そして皆んなそれぞれ方向が違うことで、すごく学習になります。

ブロックチェーンは”学問の総合格闘技”などと言われているけれど、これは業界に入らないと分からないと思います。

一方で、我々は一次情報を生産しているわけではありません。実際にブロックチェーンビジネスや技術開発している人たちがあくまで一次なので、我々は1.5次ぐらいの情報を提供しようと心がけています。

 

ー 業界の面白さと大変さとは?

松田:学問の総合格闘技であることに尽きると思います。ここまで多様な知識を求められるジャンルは滅多になく、技術・法律・経済・金融などの多方面の知識が求められます。さらには信用やコミュニケーションといった人間性の面も重要です。

それらに太刀打ちするためにまず「全方位ある」ということを知らないといけない。知った上で、それらを埋めていかないといけないという二重の壁が、面白くもあり大変さでもあると思います。

赤澤:1つひとつの技術は難しくないと思っていますが、それらを組み合わせてブロックチェーンとして世に送り出すこと。枯れた技術を使って活かすというのは美しいと思っています。Satoshi Nakamotoの論文で最初にそれを思いました。発想の力です。

また、そういった枯れた技術の組み合わせにも関わらず、いままでの技術基盤を丸ごと取っ替えてしまうほどのインパクトが面白いです。

一方で、エンジニアという目線だと、いままでの延長線上にブロックチェーンを置くと大変です。いままでのサーバーを単純にブロックチェーンにリプレイスすれば良いとは限らない。1つひとつの案件に対して、ブロックチェーンがふさわしいかどうかの判断に力量が試されると思います。

それが私にとっては面白いけれど、人によっては面倒臭いことかもしれません。

松田:私はもともと雑誌の編集者をやっていたので、ブロックチェーンには「何が正しいか?」の判断軸が多すぎることも大変です。技術面だとこれが正しい、法律面だとこれが正しい、といった視点がたくさんあるので難しい。印刷すると書き換えられないですしね。

様々なバックグラウンドから活躍の場を探せる業界

様々なバックグラウンドから活躍の場を探せる業界

ー どんな受講生の方々が来られていますか?

赤澤:極めて多様です。

松田:金融業界はもちろん、様々な業界で新規事業に活用したい人、学生、イノベーションを起こしたい人。本当に多様ですね。

赤澤:ベーシックコースを学んだあとに、「これからプログラミング勉強してエンジニアになる!」と言ってくれる若い方もいれば、定年後に頭の体操として学びに来る方もいて、ブロックチェーンの裾野の広さを実感します。

エンジニアの中でも、業務でアプリ開発している人からインフラ運用をしている人まで来ます。ブロックチェーンの学習範囲は広いので、それぞれ違ったバックグラウンドがあるからこそ、行き着く場所も多様なのかと思います。

 

ー FLOCにはどんなコースがあるのですか?

松田:3つのコースがあり、ベーシックコースは教養として学んでいただけます。エンジニアコースとビジネスコースは、実際にそれで何かプロダクトを作ったりビジネスを作ろうとしている方々に向けて作っています。

 

ー 実際、FLOCのカリキュラムで学べる内容だけが全てではないと思いますが、卒業生はその後の学習はどのように進めていかれるのでしょうか?

松田:実は、まだ卒業生はいないのです。初の授業が2018年にスタートして、まだ全員が受講期間中であるためです。受講期間の1年間の間は何度でも受講できますし、その都度最新の事例を学べます。

さらにこれから、FLOCでゼミもオープン予定です。9月からはブロックチェーンゲーム開発ゼミを開始予定ですし、どんどん実践もできるようにしていきます。

最近は学んだ方々のコミュニティもあり、セミナーを開催したり受講生同士の情報交流も出来るようになっています。

赤澤:エンジニアとして本当に大事なことは、公式ドキュメントを読むことです。不完全な情報だけでなく、公式の情報を参照することで正しい情報が分かる。英語はGoogle翻訳で大体の情報は手に入れられるし、分からないことはFLOC内でも聞いてもらえます。

それである程度できるようになったら、次はアウトプットです。仲間同士でお互いに意見交換し合ったり、アプリケーションを作ってみる。モノにするにはアウトプットが必須です。

ブロックチェーンは楽しいけれどラクではないと思います。

大波は乗り始めると気づかない

ー 最後に、これから学習する人へのメッセージをください。

赤澤:楽しいけどラクではないと言いましたが、FLOCでの学習ももちろんラクではないです。

ですがFLOCでは、ブロックチェーン大学校校長のジョナサンや志茂(コンセンサス・ベイス代表取締役)など、業界でちょっと先の道を歩いている人たちがたくさんいるので、エンジニアであれビギナーであれ、そんな道のガイドになれます。今のバックグラウンドは気にせずに、どういう道を歩みたいか考えてもらい、少しでも興味を持ってもらえたら、FLOCでは随時無料体験をやっているので、是非覗きに来てください。

松田:あとTwitterを見て欲しいです。うちの特性として、ただ最先端なだけではなく、教える技量を持っている講師たちを選んでおり、彼らの授業の切り出し動画をTwitterで出しています。

また、ブロックチェーンを”投機”ではなく”投資”として見られる方に来て欲しいです。今の目の前のチャンスだけでなく、長期的に見て我々の生活に入ってくることを感じてほしいです。

赤澤:Ethereumの大型アップデートや、Libraのスタートなど、この先2年とかでブロックチェーンは本格稼働してきます。ギアが変わる少し前の今だからこそ入って欲しい。この波に乗りたい人は、今からジョインして欲しいです。

松田:大波は乗り始めると気づかないと言います。このチャンスを見逃さないで欲しいです。

ブロックチェーンの体系的な学習で見える面白さと大変さ