2021年6月10-11日に開催された「Non-Fungible Tokyo2021」DAY2のセッション“NFTが実現する更なるDAOの可能性 More DAO possibilities realized by NFT”をレポートします。
Benjamin Rameau(ベンジャミン・ラモー)氏
Founder of Jenny Metaverse DAO
Jenny Metaverse DAOはUniclyプロトコル上で最大のコミュニティ。Uniclyは、執筆時点で1日約250万ドルを扱う世界最大NFTマーケットプレイス。Uniclyは、コミュニティおよびコレクターがNFTを分割することを可能にする。
Suji Yan(スジ・ヤン)氏
Founder and CEO of Mask Network
Dimension & Mask Networkの創業者兼最高責任者。起業するため、イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校計算機工学部を中退。元 QdailyとCaixin Mediaのフリーレポーター、自動運転に関する会社の元エンジニア。現在は、RadicalxChange Fellowshipのメンターであり、アマチュアと “Radical Market” / RadicalxChange、 Data Law Group、および経済学者や法学者と記事を共同執筆している。ワイアード、サウスチャイナ・モーニング・ポスト、ウォール・ストリート・ジャーナル、ニューヨーク・タイムズ等に掲載されたこともある。現在は、オープンソース、暗号化、および個人情報保護に集中。(自社製品、mask.io/tessercube.com)
鈴木 雄大 (すずき ゆうだい) 氏
Fracton Ventures株式会社 Co-Founder
2017年スタートアップインキュベーターにてブロックチェーン分野での講演などを開始。2019年からは株式会社マネーパートナーズにて暗号資産・ブロックチェーン分野のリサーチ及びグループ戦略に貢献。2021年1月末にFracton Ventures株式会社を共同創業。Web3.0社会、DAOの普及・到来に向けて啓蒙を含めた活動を行う。
著書:インターネット白書2021(インプレスR&D社)
絢斗 優 (あやと ゆう) 氏
CryptoArtist / Kizuna BlockchainPROseed
メディアアーティストとしてのバックグラウンドと、ブロックチェーン業界の知見を生かし、業界間の橋渡しとして活動している。MissBitcoinの藤本氏と共にKizunaNFTチャリティーキャンペーンを推進。2006年よりメディアアーティスト、トラックメイカーとして活動開始。ユネスコダンスコングレスや文化庁芸術祭など国内外で作品を発表。インタラクティブコンテンツやVRライブのクリエイティブディレクターとしての活動を経て、CryptoArtistとしてもFoundation等で精力的に活動中。
NFTバブルは終わらない
絢斗氏:皆様、本日はこちらのセッションにご参加くださりありがとうございます。最近、「NFTバブルは終わったのではないか!?」という話が多いのですが、私はまだ始まったばかりではないかと思っておりまして、直近のNFTやDAO、DeFiのプロジェクトの距離は縮まり、面白いタイミングになっているのではないかと思います。本日は、世界中からゲストの皆様をご招待してお話させていただければと思っております。それでは皆様、自己紹介をお願いいたします。スジさんからお願いします。
スジ氏:初めまして。私はスジと申します。Mask Networkの代表者兼CEOをやっておりまして、もう一つ、エクイティの会社、Sujitechという会社も運営しております。
私たちが今やろうとしていることは、Web3.0とWeb2.0をブリッジさせるようなことで、2015年ぐらいから、クリプト・アナーキーという概念に注目していました。これはDAOという概念とすごく似通ったもので、特定の誰かが中央にいなくとも、人々が集まって何かしらのガバナンスを行い、自律的に動くような仕組み(組織)を作る、という考え方ですが、とても興味深いコンセプト、概念だと思い、こういった領域に取り組んでいます。進捗は少しずつですが、長く取り組みを続け、このようにWeb2.0とWeb3.0をつなげる活動を頑張っているところです。
ベンジャミン氏:ご招待くださりありがとうございます。今回のトピック、NFTのバブルの話ですが、まだ終わっていないという点に、私は100%同意しています。今後まさに1兆円マーケットないしは数兆円、それぐらい大きなマーケットに、数年から十数年ほどかけてなっていくのではないかと思っています。
ただ、そういった大きなマーケットに成長するにあたり、まだ足りていない点は、インフラという部分だと思います。現状のNFTのインフラで言うと、2017年の暗号資産(仮想通貨)世界にすごく近いのではないかとみています。トークン自体を持っていても、それを使って目的を果たすことが難しいため、実際には売ることしかできない状態かと思います。
暗号資産は実際に数兆円まで高騰したものの、2018年、2019年で価格が急激に下落し、その間にちょうどDeFiというものが新たにできたと思います。DeFiをレンディング、ステーキング、アグリゲーションしたり、合成したりすることで、お金稼ぎの方法ができ、大きなセカンドウェーブが来たのではないかと思っています。
私は今Jenny Metaverse DAOのファウンダーを務めています。Jenny Metaverseは分散的にNFTを保有することができるプラットフォームで、加えて、Uniclyというもう一つのプラットフォームがあります。これはNFTをフラクショナライズ、分散化させることができるものです。今後、フラクショナライゼーションは、すごく重要なゲーム理論上の問題を解決できる技術として注目されるようになるのではないかと思っています。
Jenny DAOは資金を管理するファンドで、どのNFTを買うかなどの意思決定を行う、分散的な組織です。こういった購買に関する意思決定は、皆様の投票によって行われるという仕組みで、トークンを持っているどなたでも、こういった投票に関わることができるようになっております。
ファンド、資金そのものはマルチシグで運営されていますので、コミュニティの意思によって購買の意思決定は行われ、いろいろなレイヤーにおいて分散的に放置されるものになっています。こういったNFTの購買や難しい意思決定について、人々がどのように分散的に意思決定するかというところが、すごく面白い領域になるのではないかと思っています。
絢斗氏:続いて鈴木さん、お願いいたします。DAOに興味を持っている理由などについてお伺いしてもよろしいでしょうか?
鈴木氏:本日はご招待くださりありがとうございました。私は鈴木と申します。Fracton Venturesの共同創業者を務めています。日本にあるベンチャー企業でして、コミュニティ運営をしたり、Web3.0について教育を行ったり、独自のDAOエコシステムを保有するなど、こういった活動を行っているところです。あとはインベストメントDAOというものを持っていて、DAO内の資産、ガバナンスに関する研究を行っているところでございます。加えて、トップティアのNFTアーティストや、NFTに関わる皆様をお招きするような会合の運営などをさせていただいております。
個人として私がDAOに興味を持ったのは、イーサリアムに起きたThe DAO事件に遡ります。DAOの歴史において大きな意味を持つ出来事であったと思っておりまして、そこから数年かけて、特に昨年、大きなDeFiのバブルが起きたり、DeFiのブームが発生した頃でした。ちょうどその裏側で、DAOのガバナンスに関わる機能の改善が続いてきた時期で、新たな提案が行われたり、改善に関する検討が進んでいたタイミングに、私個人としてもDAOの改善にコミットするような関わり方をしているところでした。
DAO文化を加速させるNFTの役割とは
絢斗氏:直近まさにDAOとNFTの距離が縮まり、NFTがDAO開発、コミュニティ運営の中でより大きな意味を持つようになっているのではないかと思っています。NFTがDAO文化を加速させるところで、どういうふうに役立つのかという点についてお伺いしてもよろしいでしょうか?
ベンジャミン氏:個人的にDAOの上でNFTを運営するのはかなり難しいと思います。NFTを買うということは、通常のERC20を買うことに比べ、かなり難しい活動だと思っています。
例えば、1億円分のERC20アルトコインを買おうとするのと、特定のNFTを買おうとするのでは、事前に必要な知識やリサーチの量が桁違いになると思います。DAOを使うアドバンテージで言うと、自分が持っていない知識にアクセスできるというか、NFTに関するレアリティや、ニッチな知識を自分で手に入れずとも、コミュニティの力に頼ることができるという点がメリットです。
一方デメリットとしては、NFTの購入の活動について、カバナンスにおける提案をすべて通過し、購入に関する意思決定を行わなければいけないというところです。そもそも購入にいたるところまで少し時間を要したり、また、この価格でNFTを買おうとしているという意志をマーケットに伝えてしまうので、フロントラーニングの問題を防ぐのが難しかったり、購買に関する意思決定について、自分の理想の価格から離れてしまう可能性があるという点が難しいと思います。
そうなると、最終的にプライベートセールの段階でNFTを買うのが一番簡単になるのではないかと思います。確かに、自分で買うのは結構難しく、こういったアドバンテージとディスアドバンテージを吟味して、トータルで見たとき、コミュニティの力を使ってNFTを購入するというのが、最終的にはよりよい選択肢になってくると思っています。
スジ氏:ここでは、デヴィッド・ボウイの話を引用したいと思います。ご存知かと思いますが、90年代のとても有名なロックスターで、その時点で、ボウイさんはボウイ債というボンドの発行を行っていました。実際に銀行などで買えるような、普通に規制の下で発行された特殊な証券で、これは、デヴィッド・ボウイのアルバムの売上や、著作権の収入に応じて利益が入るようなプロジェクトになっていました。
実際これが上手くいったかというと、P2P技術が90年代から発展し、CDの売上は下がり、レコードの売上も下がっていたので、直近のボウイ債のパフォーマンスはよくなかったのですが、そこから10年、20年が経ち、Netflixなどのストリーミング系のサービスが立ち上がったりして、長期的に著作権管理の収益が上がってきたため、デイヴィット・ボウイ債の損失というか、短期的に悪かったパフォーマンスが長期的に回復した、という背景になっています。ということで、NFTが出る前ではありますが、証券というかたちで、特定のプロジェクトの成果に応じて報酬が入るという仕組みは昔から存在していました。
私個人の意見として、DAOやNFTといった仕組みは、ただの投資のビークルとして見るというよりは、直近のすごい取組みになっていると思います。こうしたものは、特定のインフラや市場を意識する必要がなくて、自分が買いたいと思ったタイミングで好きなプロジェクトにいつでも関わることができたり、誰でもアクセスして誰でも買えるという点で、すごく優れた仕組みで、今後発展するのではないかと考えています。
例えば、自分が良いと思って保有している、マインクラフトの土地から得た収益がNFTになり、サイバースペース上で売買して利益を得ることができる世界ということで、ある意味DAOはサイバースペースにおける政府のような役割を果たすのではないかという所感を得ています。
例えば、自分が保有しているNFTはこの政府に紐づくもの、このNFTはこの政府、と物理世界における政府からもらうパスポートのようなかたちでNFTを持っていると、その特定の世界にアクセスできる、という世界観になっていくのではないかと思います。
Uniclyは、特にこういった領域において目覚ましい取組みを行っています。
一方で我々のMask Networkも、いろいろな取組みをしているところで、Web2.0の世界にいながらWeb3.0の世界に関わるような実験を行っています。
例えば、Twitterのツイートは、何かしらDAOの中におけるNFTのような、財産的な扱いができるのではないかということで、実際にValuablesが、ジャック・ドーシーさんのツイートを3億円で買収するというニュースがあり、まさか3億円で売れるとは想像だにしませんでしたが、こうした取組みが最近出てきていて、素晴らしいことだと思っています。
今後こういった取組みがさらに加速すると思っていまして、例えば、とあるインフルエンサーの持つツイートというか、各インフルエンサーがDAOを運営し、そのDAOの中でシェアを持っていると、例えばツイートやインスタの投稿、動画の収益から発生した利益が、DAOの自分の持っているシェアに応じて分配されていく、というような世界があり得るんじゃないかと思っています。
今後デヴィッド・ボウイのようなメインストリームのアーティストが、こうした実験的な取組みをどんどん行っていっていくのは素晴らしいことだと思っています。
他の皆様と違う意見かもしれませんが、今後さらにこうした取組みが進み、政府や行政レベルで、我々のパスポートやIDカードがデジタルなトークン化され管理されていく、というような世界になるのではないかと考えています。
文化の観点からみたDAO
鈴木氏:私はDAOは文化の観点から回答したいと思います。DAOは何か特定のコミュニティに紐づくものではなくて、文化レベルでそれを越えるものになると思います。NFTはDAOを越えた存在になるのではないかというところで、特定のDAOに入るためのパスポートのような感じで使えるものになればと考えています。
例えば、そのNFTを持っている人であれば、特定のコンテンツを開けたり、ダウンロードできたり、何か特定のWebサイトにアクセスできたり、特定のNFTを持っている人であれば、そのDAOの中の活動でも、さらに一部の特別な活動にアクセスできるようになったり、ある意味DAOを分割ではありませんが、コミュニティの境目を作るような機能をNFTの中に持たせることができるのではないかと思っています。
今初めてアナウンスしますが、現在、MintGateというプロジェクトとパートナーシップを結ばせていただいていて、個人的には、NFTがDAOの文化を加速させるという点で、すごく意味があると思っています。これは何もアートに限った話ではなく、NFTの文化そのものを加速させるようなものではないかと思います。
DAOの中のパワーバランスはどうあるべきか
絢斗氏:皆様ありがとうございます。私はこのイベントを主催する藤本真衣さんと一緒に、KIZUNAファウンデーションというところでNFTを作ろうとしています。NFTホルダーに対しては特定の特典を得られるような設計を考えていて、短期的ではなく、長期的に続くような仕組みにしていければと考えているところではあります。
こうしたDAOに関する取組みが、テンポラリーな、短期的なものが良いのか、永続的な作りにするのが良いのか、悩んでいるところです。
例えばERC20は、大量保有者が発生してしまうと、その当該人物を避けて意思決定を行うことが難しくなるのではないかと思います。一方で、プロジェクトが短期でしか存続しない前提に立つと、そういった問題を無視することができるという点で、メリットがあるのではないかと思っています。
こうした問題をスキップできるというところで、DAOコミュニティ内のパワーバランスはどうあるべきかについて、皆様の意見をお伺いしてもよろしいでしょうか?
鈴木氏:とても大事なトピックだと思います。特にDAOプロジェクトにおいては重要な論点かと思っていまして、いろいろなDAOプロジェクトを私自身が見ていて思うのは、ガバナンストークンのアロケーションについて考えているプロジェクトがすごく多いのではないかという点です。特に投資家の目線で考えると、こういったガバナンストークンをより多く得るために、早い段階でいかにプロジェクトに関わるかと考える投資家が多いと思っています。
ただ、こうした投資家は、サフトなどそういった枠組みを使ってなるべく多くのトークンを得ようとしていますが、一方で、プロジェクトが長期的に成功するような持続可能性の目線で判断しているという方は、必ずしも多くはないと思います。
DAOのガバナンスを考えていく上で大事になるのは、オープンかつフェアであるというのが、Web3.0の考え方に照らし合わせてもすごく大事だと思います。既存のシステム上で行われる意思決定と比べても、こういったDAOを使った意思決定が、いつもより公平なものであるのかどうか、NFTホルダーに対してエアドロップを行うことなど、公平性に関する枠組みが大事になると思います。
ベンジャミン氏:現実世界では、例えば、民主主義化下での大統領選などは、1人1票を持つような仕組みになっていて、1人2票を持つような仕組みだと不公平性が発生してしまうと思います。
一方ブロックチェーンの世界では、こうした民主主義的な設計に関しては、上手くいっていないと思います。
例えば、ビットコインを例に上げてみるとわかりやすいと思いますが、これはあくまでも経済的なインセンティブに従って運営されるような仕組みになっていると思います。マイニングのコンセンサスであったり、ステーキングの投票であったり、全て経済的な合理性に基づいて判断されています。ステーキングも同様に、自分が持っているトークンの量に応じて投票ができるような仕組みになっています。
一方、Jenny DAOも同じように、1人1票ではなくて、1トークン1票という仕組みを採用しています。こういった仕組みに基づいていると、トークンをたくさん持っている人ほど、DAOの運営に関して、より多くの意思決定ができ、経済的な合理性に基づいて判断されるようになっています。この場合、自分の持つトークンの価値を保ちたいがために、コミュニティの中に人が留まるというような、良い意思決定が行われる仕組みになっているところが優れた点だと思います。
スジ氏:これは、民主主義の立ち上げのタイミングで、上手くいかないことが多いのではないかと思っています。今回、まさに2つお話したいことがあります。
1つ目は、理論的な枠組みのところで、ラジカルエクスチェンジ、ラジカルマーケットという考え方があり、ラジカルエクスチェンジファウンデーションという組織がこういった考え方に基づいた活動を行っています。こちらは、クアドラティックボーディング、二乗の投票制度という仕組みについて書かれた本です。簡単にご紹介しますと、トークンを1個持っていたら1票の投票券が得られ、100トークン持っていたら10票の票が得られるという具合に、自分が持っているトークンの量に応じて票が得られるという特殊な考え方になっています。
これが、特定のコミュニティでは上手くいったりいかなかったりするので、ユースケースがありますが、ちょうどこれと似たような事例で、2つのお話があったと思います。
1つ目が、ギットコインで、クアドラティックファウンディングの実証実験を始めたところでした。これは、例えば100台持っていると10票投資でき、9台持っていると3票投票できるという感じに、トークンを持っていればいるほど、たくさんの票を投票することができる仕組みになっています。今のところ、ある程度上手くいっていると思います。
一方で、こういったかたちの投票、特にDAOの投票においては、上手くいかないことがありまして、実際に起きた2つの例で問題点を挙げていければと思います。1つ目がギットコイン、GTCコミュニティで起きた問題でした。ちょうど先月、ヴィタリクが持っていたドージコイン、ドージ系コインと呼ばれるワンちゃんのコインを、特定の人物に大量に寄付するという問題が起きました。トークンが大量に売られてしまうと、価格が下がってしまうので悩ましいところですが、これを防ぐことができなかったため、問題になったのではないかと思います。
もう1つが、Mask NetworkにおけるITOの問題です。これは、イニシャルツイートオファリングと呼ばれるもので、特定のツイートを買うために投票するものですが、このタイミングで、フロントラーニングのボットが走っていて、悪さをしようとしていたところでした。
ここで問題なのは、人々がそんなに関心がない場合、全く投票しないという点でした。このフロントラーニングのボットが実際のITOの値段より安く買おうとしたり、利益を得ようとしていたところで、フロントラーニングボットの凍結をしようという投票が走るところでした。
仮にそういった資産を凍結したとしても、1ドル分の利益しか変わらないところだったので、結果的に、最低投票数に満たされず、フロントラーニングを許容してしまったという事件がありました。このように、人々にとって損失が軽微な場合、こういった不正を許容するというような選択肢も、実は合理性を持ち得てしまうというのが問題になっていると思います。
こういった話を踏まえますと、人々がボーティングや投票の概念を理解するという点で、自分の好きなものに対して投票をすることが頻繁に行われるのではないかと危惧され、こういった投票が、そもそものガバナンスに対する理解を深める点で、まだまだ大きな壁になっていると思っております。
PoWからPoSへの移行ですが、まだまだ理解が得られていないと思っていまして、誰かに自分の権限をデリゲートして投票するという行為が、上手くいっていないかと思います。
絢斗氏:皆様、本日はご参加くださりありがとうございました。まもなくセッションが終わりますので、最後に一言ずついただければと思います。
NFTの更なる可能性
ベンジャミン氏:日本でNFTカンファレンスをやるのは、とても有意義なことだと思いました。日本に私自身10年住んで思った感想ですが、日本人はモノを集めるのがすごく好きではないかと思いました。可愛らしいモノであったり、美しいモノであったり、そういうモノを集めるのがすごく好きな人たちではないかと思います。
加えて、NFTの早期のコミュニティも多くが日本から立ち上がったものだと思っています。
直近ではすごく有名で世界中で話題になっていますが、ここ数年は、実はそうではなかったのではないでしょうか。こうした点で、日本のユーザーの皆様から、世界に対してNFTに関するムーブメントを起こすことが可能ではないかと思っております。長年NFTに関わっていただけあって、すごく大きな動きができると思います。
スジ氏:日本人ならマウントゴックスの意味もわかると思いますが、昔はトレーディングカードの取引所だったところが、次にビットコインの取引所に変わり、さらに、現在、日本ではNFTのマーケットが誕生するところで、こうした進歩が起きていると思います。
もう少し日本のことについて触れると、VTuber、バーチャルYouTuberみたいな概念がすごく特殊ではないかと思います。
キズナアイなど、すごく有名なVTuberが日本にはいますが、こうしたものは仮想空間上におけるペルソナというところで、人格のようなものが、今は会社によって運営されていますが、こういったものは本来、DAOによって運営されるのが望ましいと思っています。
DAOによって運営されれば、ファンが彼女を王女として支援したり、コミュニティで活動を支援したり、活動が永続的に続くようになると思います。
こういったDAOを通した活動が、ロイヤリティを示すための手法として採用されるようになると、例えば日本の場合、アニメやアイドルなど、そういったところで既に同様の活動が行われているかと思いますので、ある種ファンを抱えるような存在であるDAOを使って運営するというのは、すごく面白い試みになるのではないか思っております。
また、攻殻機動隊のように、自分たちが電子的な存在になり、電脳空間に存在するようになったり、こういったコンセプトも日本から登場していて、長期的にはこのような世界にどんどんシフトしていくようになると思っています。
本日も、Linkerさんが参加されていらっしゃいますが、こうしたバーチャルな世界におけるDAOのような概念に関する実証や実験などをどんどん行っていくことも、とても興味深く面白いことになると思います。
絢斗氏:興味深いアイデアがたくさん聞けた一日になりました。最後、鈴木さんお願いします。
鈴木氏:そうですね、私もお二人の意見に完全に同意します。日本人としても、日本の文化はNFTと相性が良いものだと思っております。今日、新型コロナウイルスの影響で日本の観光業や文化に大きな影響を与えていますが、とはいえ、こういう時代であっても、NFTの技術を使うことで、日本に実際に来ることができない海外の方々が、NFTを通して直接プロジェクトの支援を行うことができるような素晴らしい時代が到来したと思います。特にハローキティやポケモンなど、とても有名な知的財産権、IPを保有している国でもあるので、こうしたNFTを使った活動は、日本と大変相性の良い考え方ではないかと思っています。
こうしたNFTを通した活動によって生まれる新しい価値の創造が次々に出現し、加えて、NFTを使用する際にコンテンツを一方的に消費するというだけではなく、自分の愛するコンテンツに対して、オーナーシップ、所有権を持つという新しい考え方ができるという点に、今までにはなかった全く新しいモデルが生まれると思っています。こうしたオーナーシップモデルの考え方が、新たな概念として、今後の世界において大きなムーブメントになっていくと期待しています。
ベンジャミン氏:今度のカンファレンスでは、こんまりさんを招待して、家のモノを全部片付けてもらい、それを全部トークンにして売っていただくというのも面白いかもしれないですね。
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