予想を超える速さで動くブロックチェーン・暗号資産(仮想通貨)業界とメディアのあり方

業界で活躍する方にお話を伺い、ブロックチェーン・暗号資産(仮想通貨)業界に関わる人々の姿をお届けするインタビュー。

今回はN.Avenue株式会社 CEOの神本侑季氏にお話を伺いました。ここ数年のブロックチェーンを取り巻く環境、そして同氏が考えるブロックチェーン業界で働く醍醐味とは?

神本侑季(かみもと ゆき)氏
N.Avenue株式会社 CEO

2013年にヤフー株式会社(現Zホールディングス株式会社)に入社。Yahoo!ニュースを中心にメディア・広告のビジネス開発に従事した後、海外のテックベンチャー企業と共に新規事業立ち上げを担当。2018年より、グループの投資ファンドであるZコーポレーション株式会社にてブロックチェーン領域のリサーチ、事業開発に従事。

2018年より、同社の出資により設立した次世代金融領域の情報発信を行うメディア企業、N.Avenue株式会社の立ち上げを担い、現在は代表取締役社長。世界有数のブロックチェーン・暗号資産メディアCoinDeskの日本版「CoinDesk Japan」や、国内最大級のブロックチェーンカンファレンス「btokyo」などを運営する。

メディアに気づかされた、ブロックチェーンの面白さ

2013年に新卒でヤフー株式会社に入社し、Yahoo!ニュース等のメディア事業の企画・事業開発を行っていました。その中で、様々な媒体と関わる機会があったのですが、そのうちの一つでもあったWIREDから、暗号資産を特集した号が出たことがあり、内容がとても面白かったんです。

その号の中で述べられていた、長い間大きく変わることのなかったお金というものが、テクノロジーによって変貌を遂げようとしていること。それによって、私たちの生活は激変するということに衝撃を受けました。まさにメディアによって、ブロックチェーンやビットコインの凄さに気づかされた瞬間でしたね。

ジャーナリズムの重要性

私自身メディアが好きで、雑誌もよく読みますし映画やドラマといったコンテンツもよく見ます。また、ヤフー時代に様々な媒体と関わる中で、ジャーナリズムの重要性を叩き込まれていたので、メディアに対する想いは人一倍強いものがあります。

何か行動を起こそうと思った時にまず情報を得て、その情報から考えてアクションを起こしますよね。その個々のアクションの集合体が社会全体だと考えると、情報は全ての根源となる非常に重要なものです。その情報を伝えるメディアは、それだけ責任のあるものだと考えています。

N.Avenueの創業と、CoinDesk Japan

神本氏写真

N.Avenueを創業した2018年、ブロックチェーンに関する情報は最新のものや正しいものがどこにあるのかなかなか見えない状況でした。そこで、健全な市場拡大に貢献するため、国内で信頼できるブロックチェーンの情報を発信するメディアを作ろうということで立ち上げたのです。

創業当時と比べると状況はかなり変わりました。ちょうど昨日(取材日は2021年2月17日)ビットコイン価格5万ドル超えの速報が各メディアから出ていましたが、大手メディアがこの領域に記者を張って情報を追うようになったというのは大きな違いですね。

次世代金融メディア、CoinDeskとは?

CoinDesk(コインデスク)は2013年にニューヨークでスタートした、ブロックチェーン・暗号資産・デジタル通貨を中心に次世代金融情報を発信する世界最大の報道機関です。ブルームバーグ出身者を中心としたメンバーで構成されており、この領域において最も信頼されるメディアの一つとして、情報の正確性に重点を置いて発信を行ってきました。2021年1月には、暗号資産のデータベースや独自のインデックスを機関投資家向けに提供するTradeBlock(トレードブロック)を買収し、さらなるメディアサービスの拡充を図っています。

そんなCoinDeskの日本版であるCoinDesk Japanの独占ライセンスを持っているのが私たちN.Avenueです。そのため、本領域の情報源としては信頼度の高いソースを持っていると言えます。

ブロックチェーンがもたらす価値革命の時代

2019年に実施した、初のカンファレンスで開会スピーチを務めていただいた慶應義塾大学の村井純教授が『これからは情報革命から価値革命だ』とおっしゃっていました。インターネットの発明によりもたらされた情報革命から、ブロックチェーンの登場に代表されるように、金融やデータのあり方が大きく変わる「価値革命」という新しいフェーズへと向かっているというのです。

私たちN.Avenueはこの『価値革命時代の地図とコンパスになる』ことをミッションとしています。地図として、CoinDesk Japanというメディアで正しい情報を発信しつつ、コンパスとしてカンファレンスなど各種イベントを開催しています。これは、業界の方向性はリアルな人のコミュニティや議論の中から生まれてくるものだという考えからです。

3つのテーマからブロックチェーンの最新動向を読み解く

2021年3月1日~3月2日の2日間にわたってbtokyo ONLINE 2021と題した国内最大級のオンラインブロックチェーンカンファレンスを開催します。

今回のイベントには3つのテーマがあります。まずは『インダストリー』。金融領域と相性が良いと言われるブロックチェーンですが、その他の産業でも実用化していく段階へと移ってきています。今回はP&G、ネスレ、TOYOTAといったグローバルブランドからスピーカーの方々をお招きし、どのようなブロックチェーンのユースケースがあるかをご紹介していきます。

2つ目は最もブロックチェーンの活用が進んでいる分野と言える『フィンテック』です。イーサリアム創業者の一人であるジョセフ・ルービン氏に加え、スイス証券取引所(SIX)やJ.P.モルガンといった世界的な金融機関からもスピーカーをお招きし、金融のプロの視点から議論します。

最後のテーマは『フューチャー』です。OECD(経済協力開発機構)などのグローバルな公共機関からスピーカーをお招きし、ブロックチェーンを取り巻くルールに関して、どんな未来が形作られようとしているのかを読み解きます。

初心者からリーダー層まで幅広く楽しめるコンテンツ

今回は無料で視聴可能なフルオンラインイベントとなっています。参加者の皆様にはネットワーキング機能もご利用いただくことができ、協賛者の方々とはもちろん参加者同士でもコミュニケーションを取っていただけることもポイントの一つですね。

当日は、ブロックチェーンに興味を持ち始めたばかりの方でも楽しんでいただける初心者向けのものから最先端のものまで様々なセッションをご視聴いただくことができます。現在の知識レベルにかかわらず幅広い方にご参加いただきたいイベントです。

2021年3月1日~3月2日の2日間開催!
btokyo ONLINE 2021へのお申し込みはこちら(本イベントは既に終了しております)https://navenue.jp/btokyo2021/

なぜブロックチェーン業界で働くのか?

ブロックチェーン業界は、技術・ビジネス・ポリシーメイキング全ての面でまだまだ黎明期で、自分の手で未来を作っていこうという人たちがウォッチしている領域です。そのため、行政・スタートアップ・大企業といった幅広い組織でアンテナを張っているリーダー層の方々が多くいらっしゃり、彼らと直接意見交換ができるというのは大きな魅力ですね。

メディアである私たちはそういったリーダーたちが発信できる場を作るなどして貢献することもできます。これこそがブロックチェーン業界でメディアをやることの面白さだと考えています。

ブロックチェーン業界ならではの難しさとは?

もちろん、大変なこともあります。ファクトチェックはこの業界でメディアをやる中で難しさを感じることの一つですね。お金が絡んでくる話でもありますし、分散型という特徴も影響します。例えば、ビットコインには責任者のような人がいるわけではないですよね。つまり、報道機関としてどこを押さえたら真実を報道できるのか見極めが難しいのです。

CoinDesk Japanでは、金融に関する情報発信におけるファクトチェックのポイントを押さえた上で報道するのはもちろん、世界中にいるCoinDeskの記者たちが様々なコミュニティに入り込んで情報を吸収することによって、内容の整合性を保つ努力を行っています。

予想を超えたスピードで進むブロックチェーン

ブロックチェーンは新しい領域であるため、正解がない中でビジネスを作っていかなければなりません。変化も激しく、創業して2年と少し経つ間にも全く予想していなかったことが次々と起きています。

2017年の暗号資産バブルが終わり落ち着きを見せるかと思いきや、Facebookのリブラ(のちにディエムに改名)の登場、中国のブロックチェーン国家戦略化宣言、法律整備の前進、CBDC(中央銀行デジタル通貨)の議論など、話題が尽きることはありませんでした。そして昨日、ビットコイン価格5万ドル突破のニュースが飛び込んできましたね。

正直、ここまで大きな話になるのはまだまだ先だと思っていました。ブロックチェーンは予想していたよりもずっと早いスピードでメインストリームになりつつあるのです。それほど目まぐるしく動いているブロックチェーン界隈の最新動向をチェックするためにも、前述のイベントやCoinDesk Japanの情報をぜひご活用いただきたいですね。

N.Avenueのこれから

神本氏写真2

創業から2年経ってやっと私たちの存在意義や、やっていることに対しての評価をいただけるようになってきました。会社として1つ目の段階が終わって、これから第2章に入るタイミングだと認識しています。だからこそ、このまま安定的にやっていくのではなく、もう一段階攻めたいですね。今やることの強化に加えて、新しい事業にも挑戦していきたいと考えています。

前述の通り変化の激しい業界ですので、決まり切ったことをやることはないと断言できます。大きな企業のグループ会社になっているので支援がもらいやすかったり、リーチが広かったりとチャンスは多いのですが、会社自体はスタートアップです。これから自分の成長と会社の成長を重ねて、変化を楽しめるチャレンジャーにぜひジョインして欲しいですね。

これからブロックチェーン業界を目指す方へ

改めて、私たちN.Avenueが会社として課題解決をしていくベースにあるのは、情報革命時代の次となる、価値革命時代です。今まさに私たちは、ブロックチェーンをコアにしながら金融が大きく変化していく20~30年の真っ只中にいるのです。

このことに気づき始めると、ブロックチェーンの面白さに一気に引き込まれていきます。もともと技術や金融周りの情報を追っていた人や、逆に今までそういったことをしてこなかった人でも、この時代に1番面白いのは価値革命領域だと思っているので、そのど真ん中にあるブロックチェーン業界へぜひ飛び込んでみてはいかがでしょうか?

2021年3月1日~3月2日の2日間開催!
btokyo ONLINE 2021へのお申し込みはこちら(本イベントは既に終了しております)https://navenue.jp/btokyo2021/

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