「ウォレットこそが社会インフラになる」──万博、KDDI提携を経てフェーズが変わったHashPort。勝てる市場を選ぶ“タイムマシン経営”と組織の強さ

前回のインタビューから早3年半。大阪・関西万博へのシステム提供や、KDDIとの戦略的提携といった巨大プロジェクトを通じ、ブロックチェーンの「社会実装」を最前線でリードし続ける株式会社HashPort。かつての「実験室」フェーズから、1,000万人規模が利用する「社会インフラ」の構築へと羽ばたこうとしている同社は、今どのような地平を見据えているのか。改めてHashPortの方々にお話を伺いました。

【第一部】

吉田 世博(よしだ せいはく)氏
株式会社HashPort 代表取締役CEO
2013年慶應義塾大学法学部卒後、2016年ボストンコンサルティンググループに入社。同社のデジタル事業開発部門であるBCG Digital Venturesにて、東京オフィス最年少のVenture Architect(投資・事業開発担当者)として日本及び中国でのプロジェクトに従事。2018年に株式会社HashPortを創業し、代表取締役に就任。また、日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)理事、慶應義塾大学グローバルリサーチインスティテュート「暗号資産研究プロジェクト」共同研究メンバーを務めている。

時田 一広(ときた かずひろ)氏
株式会社HashPort 取締役副社長COO
1995年インターネットイニシアティブ入社。日本初のネット専業証券トレードシステム開発など証券や外国為替証拠金(FX)取引システム及び、法人向けITサービス事業を統括。2005年取締役、2012年専務執行役員。
2018年ディーカレットを設立、代表取締役社長に就任し、2019年に暗号資産交換業登録、サービスを開始。2024年6月よりディーカレットDCP副社長執行役員COOとして、同年夏に日本初の預金型トークンのプラットフォームサービスをリリース。

事業環境が激変する中でも、変わらないHashPortの軸

──前回のインタビューから3年半が経過しました。市況や業界を取り巻く環境は大きく変化しており、御社の業務領域も、今や大きく進化を遂げているのではないでしょうか。改めて、現在のHashPortがどのような事業を主軸に置かれているのかお聞かせください。

吉田氏:前回のインタビューはPalette Chain(パレットチェーン)をローンチした翌年でしたね。この3年間で、事業の規模も、私たちを取り巻く環境も大きく変わりました。一方で、HashPortが目指すビジョンそのものは一切変わっていません。
コーポレートミッションである「まだ見ぬ価値を暮らしの中へ」、そしてコーポレートビジョン「Web3が生み出す価値に全ての人がアクセスできる社会を実現する」。この2つは、当時から現在に至るまで一貫して掲げ続けています。

実はHashPortは、ウォレットという領域に関して、3年前からすでに取り組みを始めていました。2021年1月に、当時、日本で長年にわたり実績のある独立系ウォレットベンダーであったフレセッツ社(ウォレット開発を主軸とする企業)を買収したことを皮切りに、前回のインタビューの時点でも、ウォレット領域にはすでに注力していたのです。

その後、ウォレット、チェーン、そしてコンテンツという三つの領域にまたがる形で、事業を展開していきました。まさに3年半前は、その三領域を同時並行で広げていったタイミングだったと捉えています。

そこから事業を進める中で、これら三領域を改めて整理していった結果、「HashPortはウォレット領域に最も注力していく」という方針を定めたのが一昨年でした。

やはり大きな時代の流れとして、グローバルでも日本でも、ブロックチェーン領域の金融化が大きなテーマになっており、米国ではビットコインETFが始まり、GENIUS Act(ジーニアス・アクト、GENIUS法)、そして日本でも現在まさに金融庁・金融審議会で暗号資産を巡る制度整備に向けた議論が活発に行われており、ブロックチェーンを金融の枠組みの中に組み込む動きが急速に進んでいます。昨年は、その方向性がより明確になった年だったと感じています。

日本においても、昨年初め頃から暗号資産規制の金商法移行の議論が始まりましたが、この流れ自体はそれ以前から幅広く議論されていたものだと認識しております。

そうした流れの中で、暗号資産・ブロックチェーンの金融化が進めば進むほど、ウォレットこそが、ブロックチェーンらしさが最も色濃く残る社会インフラになるのではないか、と強く考えるようになりました。

3つの領域から「ウォレット」へ──金融化するチェーンと万博での手応え

吉田氏:そして、このウォレット領域における大きな飛躍のきっかけとなったのが、昨年開催のEXPO2025大阪・関西万博です。万博を通じて多くの方にウォレットを触っていただく機会を創出できたことは、大きな進化だったと考えております。
そういった意味で、ウォレット、チェーン、そしてコンテンツの三方向での社会実験から、ウォレットに注力した社会実装へとフォーカスを絞ったことが、この3年における、HashPortの最も大きなアップデートだったと感じています。

──ありがとうございます。では、時田さんにも同様の質問をさせてください。

時田氏:私はこれまで、暗号資産の交換業やデジタル通貨事業を手がけていたディーカレットという会社で経営に携わってきました。そして昨年4月から、HashPortに正式にジョインしています。

吉田が話したとおり、HashPortはウォレットの技術において非常に強みを持っています。
これからブロックチェーンやデジタル資産を、多くの人が日常的に扱うようになる中で、最初に必要となるのはやはりウォレットです。その「最初の入口」となるウォレットを、日本において多くの人に使ってもらえるサービスとして提供できるポジションを、HashPortが確立しつつある。そこが、今日時点での大きな進化であり、現在の立ち位置なのではないかと考えています。

そういう意味では、大阪・関西万博でのデジタルウォレット提供は非常に大きな機会でした。HashPortが今のポジションを築くうえで、極めて重要なポイントだったと思います
今後、デジタル資産を個人も法人も保有するようになっていくと、必ずウォレットが必要になります。そして次に重要になるのは、そのウォレットにある資産を「どう使うか」「どう活用していくか」という点です。そこが、ウォレットの次に求められる、非常に重要な機能やサービスになっていくというのが、私の印象です。

──HashPortさんが元々持っていたウォレット事業が、万博を経てさらに変化していったという流れがありますよね。これは、最初からそのような展開を想定していたのか、それとも時代の流れに合わせて事業の方向性が変化していった結果なのでしょうか。

この数年の動きを見ていると、まさに現在のトレンドを的確にキャッチアップされている印象を強く受けます。3年前にお話を伺った際には、「Web3の壮大なラボである」という表現をされていましたが、そこから一気に社会実装の本番ステージに到達している。その進化のスピードに驚いています。その辺りについて、どのような考えのもとで事業を進めてこられ、結果として現在のような状況に至ったのか、お聞かせいただけませんか。

吉田氏:もともとHashPortとしては、ウォレット、チェーン、コンテンツの三つが勝ち筋になると考えていました。特にウォレットとチェーンの二つは、ブロックチェーンのインフラとなる領域です。
その上にどのようなサービスが乗ってくるかは変化していくと思いますが、基盤となるチェーンそのものと、ユーザーインターフェースとしてのウォレットは、変わらず重要であり、プロダクトとして残り続けるだろうと当初から強く意識していました。

コンテンツについては、日本ならではの強みを考えたときに、間違いなく中核となる領域だと捉えていました。そうした背景から、ウォレット、チェーン、コンテンツというポートフォリオでビジネスを展開してきた、という経緯があります。

こうした前提のもとで、私たちはウォレットという領域は「日本にもいずれ必ず来る」と2021年から捉えていました。だからこそ、逆に「なぜ、まだ日本では本格的に来ていないのか」という問いを立てていたのです。

そしてその理由は大きく二つあると考えていました。
一つ目は、ステーブルコインの存在です。ウォレットは、NFTを保管するだけではビジネスとして収益を生みません。ステーブルコインや暗号資産がウォレット上で実際に利用されて、初めて収益が生まれると考えています。しかし当時は、米ドル建て、日本円建てのいずれのステーブルコインも存在しない状況で、ビジネスとして成立しにくいという感覚がありました。

もう一つは、ウォレットというプロダクト特有の構造的な課題です。ウォレットは非常に強いネットワーク効果が働くプロダクトであるため、「誰も使っていないから、誰も使わない」という状況が起きやすい。電話と同じで、通話する相手が少なければ、そもそも電話というサービス自体が使われません。
ネットワーク効果が立ち上がるための臨界点を超えられない、という課題があると分析していました。

一方で、規制環境と市場環境に目を向けると、日本においては今後マーケットエントリーのウィンドウが開くことは明らかであるとも考えていました。ウォレットが本格的に普及するためには、ステーブルコインの普及と、ネットワーク効果の臨界点を超えるような大規模な社会実装、この二つの条件が揃う必要がある。そのタイミングはすぐ近くまで来ている。そのように見ていたのです。

2024年に入り、その状況が大きく動き始めました。万博に向けて、国際博覧会協会と本格的なウォレット提供が可能となる契約を結べたこと。さらに、資金決済法の改正などを背景に、日本国内でも1年以内にステーブルコインが登場する見通しが具体化したこと。これらが重なったことで、ウォレットビジネスが本格的に立ち上がる流れは、もはや不可逆だと考えるようになりました。

そして、2025年、私たちは万博という「ネットワーク効果の臨界点を超える」ための、非常に強力な武器を手にしています。そうした環境が整った今、ウォレットというブロックチェーンのコアインフラにおいて、国内ナンバーワンを目指せる。そう判断したことが、HashPortとしてウォレットにフォーカスするという意思決定につながったのだと思っています。

もちろん、HashPortが掲げてきた「ラボ」としての役割が失われるわけではありません。最近ではKDDIさんとの協業も発表しましたが、企業パートナーの皆さまと共に新しいブロックチェーンのイノベーションを生み出し、それらを社会実装していく。この姿勢は今後も変わらず、HashPortにとって重要なビジネスであり、同時に重要なミッションであり続けます。

時田氏:社会実装の一つの形として、先日発表したKDDIさんとの資本業務提携の取り組みがあります。Pontaポイント、いわゆるPonta資産を我々のウォレットに移し、それをトークンに交換できるオンランプ機能、そしてウォレット内の資産をau PAYのギフトに交換できるオフランプ機能を提供しています。
従来型の資産と、私たちが扱うWeb3のデジタル資産を橋渡しする仕組みです。

これにより、既存の資産とデジタル資産がつながるという、新しい体験をウォレットから提供できるようになりました。たとえば、一般のユーザーがPontaポイントを持っていれば、そのポイントを活用することで、自然な形でデジタル資産やWeb3の世界に入っていくことができます。そうした環境の整備が、いよいよ始まったという位置づけです。

この取り組みは、KDDIさんやPontaポイントに限った話ではありません。今後、さまざまな既存資産やデジタルサービスとつながっていく世界があり得ると考えています。既存の資産とWeb3の資産を、ウォレットを起点にシームレスに行き来できるようにしていく。
それが、HashPortが目指している方向性です。

万博でも同様の仕組みを提供していましたが、そこから一歩進み、実際のサービスとして実装し、より広い環境に向けて提供を始めています。“万博のウォレットから、HashPortウォレットへ”社会実装を本格的に進めている、現在のフェーズを象徴する取り組みだと考えています。

──JPYCさんがステーブルコインを発行できたことに加え、万博を通じて「ウォレットとは何か」を多くのユーザーが体感できたことも含めて、非常に良いタイミングが重なった印象があります。先ほどのお話にあった「なぜウォレットは使われてこなかったのか」という課題に対して、さまざまな条件が今まさに揃い始めたことで、実際に“使われるフェーズ”に入ってきている、という理解でよいのでしょうか。

また、御社を見ていると、とにかく展開スピードが非常に速いという印象があります。気がつくとHashPortウォレットには、DEXを含めてさまざまな機能や接続先が揃っていて、あらゆるものとつながっていく雰囲気がある。このスピード感は本当に素晴らしいと感じていて、なぜそこまで迅速に展開できているのか、その理由をぜひ伺いたいです。

下りエスカレーターは登らない、「市場選択」と「成功モデルの輸入」

吉田氏:一番の理由は社員の一人が「HashPortは精神と時の部屋」と自嘲するぐらい高いモチベーションで動いてくださっていることですが、あえて行動様式を抽象化すると、HashPortのビジネスにおいて大事にしているポイントが三つあります。

まず一つ目は、シンプルですが、「成長する市場を選ぶ」という考え方です。軍事思想家クラウゼヴィッツは「戦略の失敗は戦術で補うことはできない」という名言を残しています。市場の選択という戦略レイヤーの意思決定で間違いを犯すと、戦術や努力ではカバーできない。つまり、マクロトレンドとして下り坂にある市場を選んでしまうと、構造的に不利な状況でビジネスをすることになり、どんなに正しい戦い方で努力しても失敗確率が高まってしまう、ということです。これはHashPortでよく話している「下りエスカレーターを登らない」という考え方にも通じます。

例えば、年率20%で縮小していく市場において、自社のシェアが年率15%で拡大したとしても、売上としてはマイナス成長になってしまいます。市場そのものが、社会の流れやユーザーの利用動向に合っていなければ、どれだけ努力しても成果が出にくい。だからこそ、自分たちが選んでいる市場は本当に正しいのか、常に問い直す必要があると考えています。

キャッチーに言い換えれば、「市場選択がすべて」。優秀な人材を、成長余地の乏しい市場に投入してしまうと、その才能を無駄遣いしてしまいます。だからこそ、どの市場で勝負するのかという判断が、極めて重要だと考えています。

二つ目は、「成功モデルを真似る」という考え方です。私はコンサルタント出身ということもあり、こうした発想をよくしますが、世の中で誰も思いついていないアイデアというのは、往々にして“良くないアイデア”であるケースが多いと考えています。

グローバルに目を向けるとすでに明確な成功事例が存在しているが、日本では規制や市場環境の違いによって、まだ実現できていないプロダクトは常に存在します。私たちの仕事は、そうした「海外では成功しているが、日本にまだないプロダクト」を見つけ、日本で実現することだと考えています。

例えば2019年頃には、FlowやKlaytnといった新興チェーンが次々と登場し、特定の地域で強いリージョナルチェーンとして成長していきました。その成功要因の一つがIEOです。FlowはIEOをきっかけに大きな注目を集め、成長していきました。一方、日本ではIEOは法律的には可能であるものの、事例がなく、「結局日本ではできない」と言われていた時期がありました。

そこで私たちは、グローバル水準で性能の高いチェーンを構築し、きちんと日本でIEOを実施することができれば、海外の成功モデルを日本に持ち込めるのではないかと考えました。その文脈の中で生まれたのがPalette Chainです。

ウォレットについても考え方は同じです。一定のユーザー数を超える臨界点までしっかりと普及させ、そこにステーブルコインの普及のタイミングが揃えば、ウォレットを介した取引が、取引所を介した取引を上回るようになることは、これまでの歴史が証明しています。つまり、ウォレットビジネスの成功要因を正しく押さえ、タイミングを見誤らなければ、必然的に成功確率は高まる。
「使ってもらえるかわからないもの」をどう使ってもらえるかを考えるよりも、「必ず使われるが、日本ではまだ実現しづらいもの」を日本でどう実現するかを考えるほうが、結果として打率は高い。私たちはいわば“タイムマシン経営”のように、海外で確立された成功モデルを日本に輸入することを、非常に重視しています。

三つ目は、「旗を揚げる」ということです。何か新しい取り組みを始めるときに、「これをやる」と明確に宣言すると、それに共感する人や関心を持つ人が自然と集まってきます。例えば、JPYCの岡部さん(岡部典孝氏)は、その象徴的な存在だと思っています。

HashPortでは「クイックアンドダーティ(Quick & Dirty)」という言葉をよく使っています。最初から完璧なものを目指すのではなく、多少粗削りでもいいから、まず形にして世の中に出してみる。そうやって早く旗を揚げることで、情報や人材といったリソースが集まり、次のステップへと進みやすくなると考えています。

ウォレットの旗を揚げるのは決して早いとは言えませんが、2023年に「Web3ウォレットを万博で使う」という構想を掲げたことには、大きな意味がありました。クイックアンドダーティであっても構わないからこそ、早く旗を掲げる。そのスピード感が重要だったと思っています。

ここまでの話を総合すると、私たちの中には、ある程度再現性のある“勝ちパターン”が存在していると考えています。まず成長する市場を見極める。市場選択はほぼすべてで、間違った市場を選んでしまうと、後から修正することは難しい。次に、海外ではすでにプロダクトマーケットフィットが証明されているものの、日本ではまだ実現できていないプロダクトを見つけ、日本で成立するモデルをつくる。そして、やると決めたら早く旗を揚げ、「この指止まれ」をする。
この三つを再現性のある形で繰り返していくことで、人材もビジネスも好循環が生まれていく。そのように考えながら、私たちは事業を進めています。

──そしてHash Wallet(ハッシュウォレット)ですね。このHash Walletが万博のウォレットにつながっていくというのは、当初から「万博ではウォレットが必要になる」という需要が見えていたということなのでしょうか。

吉田氏:いえ、むしろウォレットをやりたいという思いが先にあり、私たちのほうから万博協会に売り込みました。こういう使い方ができる、こういう体験が実現できる、といった具体的な活用イメージを提案していった形です。

──当時は、まだステーブルコインがどうなるか不透明な状況だったと思います。結果的に、現在ではJPYCさんのウォレットとしても最大規模になっていますが、そこまでの流れは、当初からある程度イメージされていたのでしょうか。

吉田氏:そうですね。ステーブルコインについては、金融庁による承認が2025年中に行われるだろうという見立ては、2024年当時すでに立っていました。規制というのは、ある日突然決まるものではなく、各種審議会等で議論され、法律が国会を通り、パブリックコメントの募集を経て、政令が出される、というプロセスを必ず踏みます。その公開情報を丁寧に追っていけば、2025年中、遅くとも2026年3月までには、日本円もしくは外貨のステーブルコインが何らかの形で登場するだろうということは、きちんと分析している人は予見できるスケジュールだったと思います。

大阪・関西万博は2025年10月に終了しますので、10月に間に合えば理想的ですし、仮に間に合わなかったとしても、その後3〜6か月以内にはステーブルコインというウォレットにとって最も重要なパーツが揃うだろう、という見立てはしていました。
万博が始まる前の2025年3月にUSDCが承認され、さらに当社ウォレットのリニューアル4日前の10月にJPYCが発行されたというのは、正直なところ“運が良かった”という感覚ですね。

ネット証券の黎明期と同じ空気がここにある

時田氏:吉田が話した“タイムマシン経営”の分かりやすい例として、私自身が関わってきた分野の話をすると、日本では今から25年前、ネット証券が登場しました。背景にあったのは、1999年の株式売買手数料の自由化です。当時は「金融ビッグバン」と呼ばれ、金融分野の規制緩和が一気に進んだ時期でした。

その頃、アメリカではすでにネット証券が一般的になっており、インターネットを通じて株を売買する人が1,000万人以上いました。最大手のチャールズ・シュワブには300万人超のユーザーがいて、E*TRADEなども数百万人規模のユーザーを抱えるなど、市場は非常に活況でした。

一方、その当時の日本ではインターネットで株を売買する人はほとんどいなかった。重要だったのは、「制度変更が起きたときに、アメリカのようにネット証券が日本でもコンシューマー市場の主流になる」という未来を想像できるかどうかでした。

このタイミングで参入したのが、現在の楽天証券の前身であるDLJディレクトSFG証券です。アメリカのDLJディレクトと住友銀行を中心とした合弁会社で、私もそこに参画しました。また、孫正義さんが米国のE*TRADEを日本に持ち込み、イー・トレード証券を設立し、これが現在のSBI証券になります。さらに、松本大さんがマネックス証券を立ち上げ、松井証券は店舗をすべて閉じてネット専業に転換、カブドットコム証券は伊藤忠商事の支援を受けて誕生しました。

結果として、20年以上経った今でも、この5社がネット証券の大手として残っています。
当時、既存の大手証券会社は、「日本人はインターネットで株取引などしない」という常識に縛られていました。アメリカでは当たり前に使われていたにもかかわらず、日本の“常識”がそれを否定していた。この認識の差こそが、“タイムマシン”の正体であり、結果として勝敗を分けた要因だったと思います。

当時は、日本でもインターネットが一般化し始めたばかりの時期で、楽天がECモールを立ち上げるなど、新しいサービスが次々と生まれていました。まだすべての人がインターネットを使っていたわけではありませんが、「これからそうなる」という兆しは確実にあり、そこに大きな規制緩和が重なったことで、ネット証券は一気に普及していきました。

銀行のインターネットバンキングも、当初は「危ない」「信用できない」と言われていましたが、今ではインターネットバンキングがなければ、銀行の店舗やATMそのものが維持できません。社会インフラは、こうした認識の転換を経て形づくられていくものだと思います。
そういう意味で、クリプトやブロックチェーンも、まさに今、同じ局面に差し掛かっています。吉田が話したように、ステーブルコインの法整備が進むこと自体は、時間軸を追えば読める話でした。アメリカでは当たり前に使われている一方で、日本では「使われていなかった」のではなく、「使えなかった」。金融庁が“法定通貨建ては暗号資産ではない”と整理したことで、入口が閉じられていたわけです。

その後、法整備が進み、環境が整ってきた。このタイミングで、大阪・関西万博という場があったことは、HashPortにとって非常に大きなチャンスでした。Web3を特別に意識していない世代の方々も含め、性別や年代を問わず多くの人にウォレットを使ってもらえた。これは、単なるプロダクト提供ではなく、極めて大きな社会実験になったと感じています。

KDDIとの提携で進む社会実装、AIエージェントがウォレットを制御する未来

──少し話が前後しますが、KDDIとの協業について伺います。auのPontaポイントとの連携など、既存サービスとの接続が徐々にオープンになってきていますよね。今後、この領域はどのように展開していくのでしょうか。

吉田氏:大きく分けて、二つの方向性があると考えています。

一つ目は、連携機能のさらなる充実です。新しいWeb3サービスを使う際に、本質的ではない部分、たとえばウォレットコネクトの手続きやガス代の支払いといった点でつまずき、離脱してしまうケースは非常に多い。これはとてももったいないと感じています。
そこで私たちは、ユーザーが迷わずWeb3サービスを使える体験をつくることを重視しています。具体的には、UI/UXをしっかり整え、Web3サービスであると意識せずに使える状態を目指しています。ここは大きな目標の一つです。

もう一つは、AIエージェントとの連携です。実はすでに、HashPortのウォレットをAIエージェントが制御する実証実験を、社内やパートナー企業との共同で数多く行っています。
AIエージェントとウォレットの相性が良い理由は、ウォレットの中にあるすべてのデジタル金融資産がトークンとして保管・管理されているからです。AIエージェントがウォレットを制御できれば、資産の種類を問わず、人間の代わりに取引を行えるようになります。これは非常に大きなイノベーションです。

一方で、既存の金融サービスの場合、例えば銀行APIでは、残高の確認を行う「参照系API」はあっても、残高を動かす「更新系API」は開発されていない銀行があるなど、さまざまな制約があります。そうした制約のある既存の金融サービスと比べると、AIエージェントが直接扱えることは、ウォレットならではの強みだと言えます。

つまり私たちが目指しているのは、

  • ユーザーが迷わず使えるよう、連携機能を拡充すること
  • その上で、AIエージェントが取引を担い、活用できる状態をつくること

これを両輪として、プロダクトを進化させていくことです。

時田氏:ご存じの通り、KDDIさんは日本において非常に重要な役割を担う、巨大な社会インフラ企業です。個人・法人向けの携帯電話サービスをはじめ、金融サービス、法人向け通信インフラなど、幅広い領域で事業を展開されています。

そうした企業と連携する中で、私たちが提供するWeb3ウォレットや関連サービスが、社会基盤の一部として組み込まれていけるかどうか。これは、ウォレットの社会実装を進めていくうえで非常に重要なポイントだと考えています。KDDIさん自身のサービス、あるいはKDDIさんが外部に提供するプラットフォームの中に、私たちの技術が自然に組み込まれていく。そのプロセス自体が、社会への浸透を示す一つの指標になるはずです。

また、先ほど吉田が触れたAIエージェントの話にも通じますが、KDDIさんは先端技術への取り組みにも非常に積極的です。ドローンや自動運転を支える高速モバイル通信、そしてAIなど、多岐にわたる分野でチャレンジを続けられています。
こうした先端技術の先には、必ず生活やビジネスの現場があり、そこでは決済や資産の移動といった行為が不可避に発生します。そう考えると、そうした領域にウォレットが入り込んでいく可能性は十分にある。私たちはそう見ています。

これらの分野で実装を進めていけること自体が、KDDIさんとの協業におけるHashPortの大きなチャンスですし、実現できれば、社会に対して明確なリファレンスとして示すことができる。非常に価値のある取り組みだと考えています。
あらゆる事業のベースとなる「ウォレット」という存在を、社会の中で形づくっていく。その第一歩を、KDDIさんと共に踏み出せていると感じています。

エンタープライズとの共創と、ガスレス化でユーザー体験を向上

──次に、エンタープライズとの協業について伺わせてください。
先ほどのお話にあったKDDIさんとの協業は、その象徴的な事例だと感じていますが、今後、ほかにも協業を進めていく予定の企業や、取り組みの方向性についてお聞かせいただけますか。

時田氏:具体的な企業名はお話しできませんが、金融、小売、製造など、さまざまな業界において、KDDIさんとの取り組みと同じような協業の可能性は十分にあると考えています。

私たちが重視しているのは、単に個別の開発を請け負うことではなく、社会実装につながるリファレンスを企業と共に作ることです。この領域ではタイミングが非常に重要で、適切なタイミングで適切な形の実装を出せれば、それが“未来の当たり前”として広がっていきます。

エンタープライズと協業しながら、ガスレス化を含むユーザー体験の改善を進め、Web3やウォレットを意識せずとも自然に使われる世界を実現していく。そのために、価値観を共有できる企業と共にマーケットを切り開いていきたいと考えています。

吉田氏:補足すると、HashPortのクライアント様には、ウォレットやステーブルコイン関連のシステムの開発を委託したいという企業が多くいらっしゃいます。一方で、それ以上に特徴的だと感じているのは、HashPortと共同で事業をつくりたい、たとえばジョイントベンチャーの形で一緒に取り組みたい、というご相談の比率が、一般的なスタートアップと比べてかなり高いことです。

単に「プロダクトを一緒につくる」という話にとどまらず、市場に入るべきかどうかの見極めや、どのタイミングでどう踏み出すべきかといった、もう一段踏み込んだ推進力の部分まで含めて期待していただいている。その点が、HashPortのエンタープライズビジネスの強みだと感じています。

──メガバンク各社もステーブルコインの発行を検討されていますが、そういった金融機関との連携については、どのように考えていますか。

吉田氏:はい。メガバンクさんに限定するとお話ししづらい部分も多いのですが、私たちとしては、あくまでウォレットという領域にフォーカスしています。
そうした意味で、特定の金融機関に限らず、すべてのステーブルコイン発行体の皆さまは有力な協業先になり得る存在だと考えています。私たちは特定のプレイヤーに寄るのではなく、フラットに、広く可能性を連携していくというスタンスです。

──現在はBaseやEthereum Mainnet、Polygon Mainnet、Avalancheなどが中心ですが、対応するブロックチェーンは、いわゆる確実性の高いチェーンを軸に広げていく方針なのでしょうか。

吉田氏:そうですね。率直に言うと、明確な基準を設けているわけではありません。
どちらかというと、ユースケースが多く、ユーザーのニーズが高いチェーンを優先的に実装していく、という考え方に近いです。
当然ながら、今後ユースケースの多い新しいチェーンが登場すれば、順次対応していくことになります。対応するチェーンは、今後も増えていくと考えています。

──EIP-7702への対応についてもお聞きしたいです。2026年に対応予定というお話がありましたが、これはガスレス対応になるのでしょうか。

吉田氏:はい。EIP-7702への対応によるガスレス化を直近で開始する予定となります。(インタビューは2026年1月26日)ガス代については、HashPort側でスポンサードする形になります。ユーザーの皆さんが、ガス代を意識せず、より直感的にウォレットを使える環境を整えることを目的としています。

求めるのは「論理・定量・仮説」の3要素。そして未知の領域を「学ぶ力」

──これを読んでくださっている方に向けて伺いたいのですが、「自分にどんな知識があればHashPortに向いているのだろう」と気になっている方も多いと思います。ブロックチェーンに関する専門知識は必須なのでしょうか。それとも、より重視しているポイントがありますか。

吉田氏:ありがとうございます。私の感覚では、特定のブロックチェーン知識そのものよりも、「論理思考」「定量思考」「仮説思考」の三つの思考方法ができる方が、HashPortには合っていると思っています。

まず一つ目の「論理思考」は、「筋道を立てて整合性をもって物事を考えること」です。HashPortでは、感情的で恣意的な意思決定を極力排し、常に複数の選択肢を洗い出したうえで、「今この瞬間に最も効率の良い手は何か」を客観的に考えます。そのため、「これが良いと思う」といった感覚的な意見に対しては、「なぜそう言えるのか」を必ず問います。論理的に説明できないと、個人も組織も前に進めません。

二つ目の「定量思考」は、「数字・データに基づいて考えること」です。たとえば「すごくニーズがある」と言われたら、「その“すごく”とはどれくらいの金額が動くのか」と掘り下げます。「みんな使う」という話になれば、「みんなとはどの規模のユーザーが、どんな頻度で、どれくらい使うのか」と数字で議論します。HashPortでは、常に数字で議論することが前提になります。

三つ目の「仮説思考」は「情報が十分にない段階で仮の答えを設定し、それを検証しながら考えること」です。私たちは、まだ答えが存在しない領域に取り組むことが多いため、自分で仮説を立て、その仮説を検証できる力を重視しています。特に重要なのは“反証可能性”です。
「そうである理由」だけでなく、「そうでない理由」も同時に考え、その両方を比較したうえで結論を導けるかどうか。こうしたクリティカルシンキングを、自分の頭の中で回せる方に来ていただけると非常にありがたいと考えています。
この「論理思考」「定量思考」「仮説思考」の三つが、HashPortにフィットする重要な要素だと思っています。

時田氏:今の吉田の話に補足すると、「論理・定量・仮説」を回せるかどうか以前に、そもそも“そうしたことができるための学び方を知っているかどうか”、そして「自分がどう学んでいけばいいかを理解しているかどうか」が、HashPortに合うかどうかの大きなポイントだと思っています。

新しい分野に挑戦しようとすると、その業界の中にいないと分からないことが必ずあります。たとえばクレジットカード業界のように、多くのプレイヤーが関わり、構造が非常に複雑な領域では、業界の中にいても理解が難しいことが少なくありません。そうした場合、その業界の歴史を学び、現在のトレンドを押さえ、ルールやガイドライン、必要なハードスキルを一つずつ理解していく必要があります。

そうした知識を貪欲に、かつ正確に学べる人ほど、物事を正しく捉えられるようになります。結果として、吉田が話したような仮説を立てる際にも、その立て方や検証の精度が大きく変わってきます。同じ知識を扱っていても、正確に理解している人と、表面的に捉えている人とでは、アウトプットの質はまったく異なります。これは、仕事のパフォーマンスや品質に直結する部分です。

だからこそ、「学び方を知っている人」は非常に重要だと感じています。私たちは新しい分野で事業をつくっていますが、決して“誰も考えたことのないものをゼロから発明する”わけではありません。必ずどこかにヒントがあり、そのヒントをどれだけ正確に捉えられるかが問われます。

そのような意味で、自分なりの良い“知識の吸収の仕方”を持っている人こそが、HashPortで活躍できる人材だと考えています。

資本・人材・事業のすべてが揃った「今」が一番面白い

──最後に、御社からこれだけはいっておきたいことがもしございましたら、お願いします。

吉田氏:HashPortは現在、日本で最もユーザー数の多いウォレットを持ち、十分な資金調達を行い、KDDIグループをはじめとする大手企業とのアライアンスも進めています。そういった意味で、今まさに非常に面白いフェーズにあると自負しています。

これまでの話にもありましたが、最終的には「市場選択がすべて」だと考えています。さまざまな選択肢がある中で、確実に成長している市場をHashPortが選んでいるという点については、自信を持っています。このフェーズのHashPortで成長したいという意欲をお持ちの方にとっては、非常にチャレンジングな体験ができると思っています。

時田氏:本当に今、HashPortは“いい時期”にあります。資本・人材・事業フェーズのすべてが整い、これまで積み上げてきたものが実り始めている、会社として非常に良いコンディションだと感じています。

創業者である吉田は、常に新しい事業を構想し、戦略的に意思決定を進めています。その吉田と一緒に働けるという意味でも、今が一番面白いタイミングだと思います。この環境での経験は、必ず個人の成長につながります。

またHashPortは、年齢に関係なく、能力と意欲のある方には責任ある仕事を任せる会社です。スタートアップならではのスピード感に加え、社会的インパクトの大きい事業に直接関われる点も特徴です。
そうした挑戦を楽しめる方、気概を持って取り組める方には、ぜひ仲間になっていただきたいと思っています。



ここまでお話を伺ってきた通り、HashPortは事業フェーズ・資本・アライアンス、そして意思決定のスピードという点で、非常に恵まれた環境にあります。
では、こうした環境の中で実際に働く人たちは、どのような成長を遂げているのでしょうか。

次の第二部では、HashPortに参画後、短期間で重要なポジションを任され、キャリアを大きく前進させてきたメンバーにフォーカスします。
どのような考え方で仕事に向き合い、どんな機会を掴み、なぜ早期に抜擢されたのか。
「この会社だからこそ起きているリアルな成長のプロセス」を、具体的な人物を通して見ていきたいと思います。

【第二部】

籔 祐人(やぶ ゆうと)氏
株式会社HashPort
 執行役員VPoB(Vice President of Business)
大学卒業後、新卒でデロイトトーマツコンサルティング合同会社に入社し、デジタルを活用したエンタープライズの新規事業開発支援やM&A・アライアンスのアドバイザリーに関する案件を推進。2022年にHashPort入社。Web3やブロックチェーンなどのコンサルティングサービスやアライアンス等の役割に従事し、2024年には当社ウォレットプロダクト部・ウォレットマーケティング部長に就任し、Web3ウォレットを中心とした事業開発・ビジネスアライアンスの分野をリードしてきた。

野村 駿平 (のむら しゅんぺい) 氏
株式会社HashPort ビジネス開発部マネージャー

新卒で外資系のコンサルティング会社に入社後、組織・人事領域のチームで、組織再編や人事戦略設計、人事系システム導入のプロジェクト等に従事。DAO(分散型自律組織)に関心を持ち、Web3・ブロックチェーン領域に軸足を移し、HashPortに入社。以降、EXPO2025デジタルウォレット(大阪・関西万博のウォレットアプリ)の開発・運営をはじめとする複数プロジェクトで事業企画、プロダクト開発、官民・グローバル連携までを包括的に推進。
戦略提案〜実行支援まで幅広く担当することが可能であり、大阪支社唯一の常駐メンバーとして、複雑なステークホルダー調整とプロジェクトマネジメントを担当した。 現在は東京・大阪両方の大手事業者向けのビジネス開発支援に従事。
国家資格キャリアコンサルタント及び国家資格社会福祉士。

抜擢人事の実例①

──籔さんは入社3年で執行役員に就任されるなど、スピード感を持って経営の中枢に関わられていますが、ご自身の経験から、HashPortで「活躍できる人」「評価される人」とはどのような人物だとお考えですか?

籔氏:まず一つ目は、役割や肩書きにとらわれず、「事業全体にとって何が最優先か」を起点に考え、行動できることです。HashPortは事業環境の変化が激しく、正解が決まっていない状況も多いため、「自分の担当範囲」よりも「今この局面で会社として必要なことは何か」を考え、自ら手を挙げて動ける人が結果的に大きな価値を発揮していると感じます。

二つ目は、仮説思考で物事を進めることができることです。分からないなりに仮説ベースでもまず動き、意思決定を前に進める一方で、その結果に対してきちんと責任を持ち、必要であれば軌道修正できる。この姿勢は、スタートアップフェーズのHashPortにおいて特に重視されている点だと思います。

抜擢人事の実例②

──野村さんは2022年卒で、入社2年弱で責任ある立場を務められていますが、前回のwithBの記事が転職のきっかけだったと伺いました。ご自身が感じる「HashPortという環境の魅力」と、若くして責任ある立場を任されることへのやりがいについてお聞かせください。

野村氏:私は前職のコンサルティング会社から転職し、入社から約半年で大阪に赴任しました。唯一の大阪支社常駐メンバーとして、主に万博事業や大阪のお客様、行政との関係構築に注力し、その後は東京・大阪のお客様の事業開発支援に携わっています。

HashPortの環境の魅力は、大きく分けて二つあると考えています。
一つ目は、圧倒的な事業機会の多さです。HashPortは大企業や公的機関との取り組みが多く、日本最大級のユーザー数を誇るWeb3ウォレット「HashPort Wallet」を運用しています。プロダクトを活用した提案が出来たり、プロダクトの運用から得た知見を顧客支援に活かすことが出来る点は、他のコンサルティング会社との差別化ポイントだと思います。また、昨今は海外のチェーンやプロトコルレイヤーのパートナーとの協業も増えており、グローバルに活躍したい方にも豊富な機会が存在します。

二つ目は、人材の層の厚さです。特に事業開発領域においては、時田の参画をはじめ、その前後で金融・決済領域の法人営業や事業開発、コンサルティングに豊富な経験を持つメンバーが次々と参画しています。こうしたメンバーとアイデアを出し合いながら新しい事業を創出できる点も、HashPortの大きな魅力の一つです。

責任ある立場を担うやりがいは、業務とヒトのマネジメントの両方に携わりながら「組織を作る(プロデュースする)」ことができる点にあると考えています。

個人のパフォーマンスは、AIの活用により引き上げやすくなりました。しかし、マネージャーに求められるのは、ミニプロデューサーとしてチームの成果を最大化することであり、1人が高いパフォーマンスを出していても、チームとして結果が出せていなければ評価されません。

Web3領域という不確実性の高い環境の中で、メンバーの特性、お客様のニーズ、HashPortのアセットなどを掛け合わせたり、組み合わせたりして、事業全体にとっての最適解を模索する。さらに、事業環境を見ながら「チームに必要な人材は何か」を定義し、実際に採用活動につなげて組織を作っていく。この一連のプロセスへの挑戦が、HashPortで責任ある立場を担うやりがいとして魅力的な部分だと感じています。

HashPortが求める人物像(どんな人がこの業界に向いているか)

──現在のHashPortは、ベンチャーのスピード感と、大企業の資本・アセットの両方を持った稀有な環境になってきていると思います。今、どのようなマインドセットやスキルを持った方に仲間になってほしいですか?また、変化の激しいこの分野が求める人物像、どんな人が向いているか、またはどうしたらこの分野で活躍できるかなど、御社で働いてみたいと思う人に向けた意見を伺えたらと思います。特別なスキル・知識は、必要でしょうか。

籔氏:現在のHashPortは、スタートアップならではのスピード感と、上場企業グループとしての資本力やアセットの両方を併せ持つ、非常にユニークなフェーズにあると感じています。その分、求められる人物像も「どちらか一方に慣れている人」ではなく、変化を前提に考え、環境を自分で使いこなそうとする人だと思っています。

まず大切なのは、不確実性を楽しめるマインドセットです。この業界は、正解が決まっている仕事よりも、「まだ答えのないテーマにどう向き合うか」が問われます。新しい技術や規制、事業モデルが次々に現れる中で、「変化が多くて大変そう」と感じるか、「面白い」と感じられるかは、大きな分かれ道になります。

次に重視しているのは、自分の旗(専門性や強み)を持ちながらも、事業全体への関心を持てることです。HashPortでは、エンジニアであっても、ビジネスサイドであっても、「これは本当に事業にとって意味があるのか」「どうすれば価値を最大化できるのか」を考える機会が多くあります。専門性に加えて、視野を広げようとする姿勢が、成長スピードを大きく左右すると感じています。

一方で、最初からWeb3やブロックチェーンに関する深い専門知識が必須かというと、必ずしもそうではありません。もちろん知識があるに越したことはありませんが、それ以上に重要なのは、「新しい領域を学び続ける力」と「分からないなりに仮説を持ちながら物事を進めようとする姿勢」だと思います。実際、異業界から入って活躍しているメンバーも多くいます。

この分野で活躍するための一つのヒントを挙げるとすれば、自分の強みを“この業界でどう使えるか”を考え続けることです。技術、事業開発、法務、マーケティングなど、Web3は多様なスキルの掛け算で成り立っています。「Web3の専門家になる」よりも、「自分の専門 × Web3」で価値を出す意識を持つと、活躍の幅は大きく広がると思います。

HashPortは、年次や肩書きに関係なく、手を挙げた人にチャンスが巡ってくる会社です。変化の激しい環境の中で、自分自身も進化し続けたいと考えている方には、非常に刺激的なフィールドだと思います。withBの読者の皆さんの中で、「まだ完成していない産業を、自分の手でつくっていきたい」と感じる方がいれば、ぜひ一度、HashPortという選択肢を覗いてみてほしいです。

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