ブロックチェーンがアートを救う!スタートバーンが目指す世界とは?

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ブロックチェーン・暗号資産(仮想通貨)業界内で活躍する女性にスポットを当てた特集記事「ブロックチェーン女子部」。

今回はスタートバーン株式会社の高 仙雅氏にお話を伺いました。

アート×ブロックチェーンというユニークな切り口で事業を展開する同社が、解決に取り組む問題とは?

高 仙雅(こう そな)
東京外国語大学スペイン語学科修了。バルセロナのPompeu Fabra大学留学中、西洋近現代美術史を学ぶ。朝鮮半島にルーツを持ち日本語・英語・韓国語・スペイン語の4か国語を話す。

PwCコンサルティング合同会社において数十億円規模のソフトウェア開発など様々なプロジェクトのマネジメントに従事し、その後パーソルグループでは新規事業開発に携わり自社プロダクトの開発を牽引。

スタートバーンではプロジェクトマネージャー及びプロダクトオーナーとして、ブロックチェーン開発プロジェクトをマネジメント。趣味は10歳から始めた朝鮮舞踊。

アートからブロックチェーンへ

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私たち、スタートバーンではブロックチェーン技術を用いてアート業界が抱える様々な問題へのソリューションを提供しています。

以前より、趣味の朝鮮舞踊*を通じて、音楽・舞踊・美術など芸術全般に興味を持っていました。特に、現代バレエ振付家のモーリス・ベジャール氏と、舞踊家であり演出・振付家の金森穣氏の大ファンで、この二人について語り出したら止まらないほどです。笑

舞台の空間全てが精密に計算され、作り込まれた世界観は圧巻で、見るたびに圧倒され言葉を失います。

*韓国の伝統舞踊にバレエなどの要素を加え、舞台芸術としてより華やかに体系化した踊り。

パブリックブロックチェーンの衝撃

実は、ブロックチェーンについては、スタートバーンに興味を持ったことがきっかけで知りました。

アートに対してはずっと特別な想いを持っていたので、そのアートに関わる仕事がしたいと考えていたところ、現在働いているスタートバーンを見つけたんです。

ブロックチェーンについて知っていく中で、特にパブリックチェーンの思想的な新しさには強く惹かれるものがありました。

個々人のIDを国ではなくブロックチェーンで管理するといったアイディアがあったりしますが、中央集権ではなく分散型で物事が進んでいくというのは革新的ですよね。そして、それが広がった世界には一体何が待っているのか?そんな想像が掻き立てられます。

転職時は企業を”知る”ことを大切に

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正直に言うと、転職にあたって不安もありました。それまでは規模の大きい企業で働いていたんです。その中でも新規事業を取り扱う社内ベンチャーのような部門に携わったりはしていたのですが、完全にベンチャー企業で働くというのは初めてだったので『本当に大丈夫?』という気持ちが湧いてきました。

なので、その分『企業を知る』ことに注力しました。資金調達の状況やフェーズはどうなっているのか、また社内にはどんな方々がいるのかという部分については特によく確認しましたね。

幸い、すでにスタートバーンで働いている知人もいたので中の様子は詳しく聞くことができ、不安は解消されていきました。社内に優秀な方が多いというのも魅力的でしたね。

また、ブロックチェーンは今後なくなることはない技術だという確信が自分の中にあったことも後押しになりました。今の時点でこの新しい技術について吸収できるということは、自分にとっても価値が大きいと感じ入社を決めたんです。

アート業界が抱える問題をブロックチェーンで解決する「Startrail」

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一見華やかに見えるアート業界ですが、問題も抱えています。特に、過去データの不透明性は大きな問題と言えるでしょう。

作品が今どこにあって、どのような変遷でここまできたのか、それらを踏まえ作品の価値はどうなるのか、このようにアート作品の来歴を追うのは非常に難しいのです。それをいいことに、作品にまつわる嘘や贋作が出回ってしまっているという悲しい現実があります。

こういった問題を解決するべく私たちが開発しているのが、アートの信用担保・流通・評価のためのインフラ「Startrail」(旧名Art Blockchain Network)です。独自ブロックチェーンではなく、あくまでパブリックなブロックチェーンであるイーサリアムを基盤に構築しています。

Startrail上にアート作品の情報を登録することで、対象の作品ついての売買・贈与・展示・保管・修復といった情報も、自動で記録していくことが可能になります。

ブロックチェーンがアートを促進する世界

もう一つ、私たちが解決したいと考えているのがアート作品の2次流通以降で起こってくる問題です。アート作品は、ずっと一人のコレクターによって所有されることは少なく、複数のコレクターの手に渡っていくことが多くあります。

しかし既存の仕組みでは、作品が移っていくにつれて価値が上がっていった際、作家に還元されることはありません。うまく収益が上がらなければ、アーティストの方々の制作活動も難しくなってしまいますよね。

スタートバーンが提供するStartrailには、その作品の流通や取引に関するルールをあらかじめ設定しておくこともできます。この仕組みを活用して、2次流通時に発生する収益をアーティスト本人が還元金として自動で獲得することが可能です。

作家に対して収益が還元されやすい仕組みができれば、アーティストを増やす手助けにもなるでしょう。アーティストが増えると、アート業界自体が盛り上がっていきます。その積み重ねで、文化的により成熟した豊かな世界を作っていけるのではないか、そんな期待をしながらプロジェクトに取り組んでいます。

スタートバーンで働く

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現在はプロジェクトマネージャー及びプロダクトオーナーという立場で働いています。プロジェクトマネージャーとして開発の進捗管理を行いながら、プロダクトオーナーとしてより広い視野でプロダクトを俯瞰したうえで、どんな機能をつけていくか検討し、要件に落としこんでいきます。

エンジニア・デザイナーとの連携はもちろん、よりアートに精通した社内メンバーとも話しながら、プロダクトをさらによくしていくというのが、私の役目です。

苦労がある分やりがいも大きい

MVP*と言う形でプロダクトが世に出たことで、どんどん改善を入れてより良いものにしていくことができる段階になりました。

みんながずっとやりたいと思ってきたことを少しずつ実現できているので、やりがいや仕事の成果を身を以て感じていますね。

とは言え、やはりスタートアップ企業ですので、全てが整っている状態とは言えません。そんな中でも成果を出すのは大きな挑戦です。さらに、裏側でブロックチェーンが動くサービスを作るのと、単純なWebサイトを作るのとでは天と地の差があります。

また、ブロックチェーンというこの複雑な技術を顧客へどう説明していくのか、というのも難しい点ですね。この辺りは社内メンバーもうまく工夫しながら対応しています。

*MVP(Minimum Viable Product)顧客に価値を提供できる最小限のプロダクトのこと。製品やサービスを完璧な状態で提供することを目指すのではなく、顧客が抱える課題を解決できる最低限の状態でまずは世に出し、その後改良を重ねていく。

キャリアの観点から考えるブロックチェーン


大変なことも多いブロックチェーンですが、私はこの技術がこれからなくなってしまうということはないと考えています。5年後なのか50年後になるのか分かりませんが、これからどんどん定着していく技術なので、今ブロックチェーンに関わっていることで、今後のキャリアにマイナスになることはないと思うんです。

私自身の経験としては、プロジェクトマネージャー歴が長く、最近プロダクトオーナーに挑戦し始めたという段階です。今はまだ手探り状態ですが、プロダクトオーナーとしてのキャリアも自分の中で自信を持てるレベルにまで引き上げていきたいですね。

そのためには、開発よりだった知見から、もう少し視野を広げて市場に対する感度もつけて行く必要があると思っています。

スタートバーンを海外で認められる企業に

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私たちスタートバーンにとって、今後の大きな目標としているものに海外展開があります。アート業界は海外の方がずっと市場規模が大きいですし、海外で認められなければ成功とはいえないと考えています。

日本国内のアートシーンを盛り上げることも大切にしつつ、海外でも戦えるサービスを作っていきたいですね。そのためにこれから取り組まなければならないことは山ほどありますが、確実に達成していきたいです。

会社の中から進む国際化

国内にブロックチェーンエンジニアが少ないということもあり、社内に国際色豊かなメンバーたちがいることもスタートバーンの特色ですね。リモートワークについても効率的に実施できており、国外から参画してくれている海外在住メンバーもいたりします。

さらに、現在社内公用語を少しずつ英語へシフトさせており、将来的には完全英語化を目指しています。世界で認められる企業になるためにも、国籍を問わず活躍できるグローバルな組織へと進化し、国境を超えて良い人材を取り込みたいですね。

これからブロックチェーン業界を目指す方へ

私はアートに関わることがしたくて、そこから偶然ブロックチェーンに出会いました。一口にブロックチェーンといっても暗号資産だけではなく様々な活用事例があります。

ブロックチェーンというと、とっつきづらい印象があるかもしれません。でも難しく考えすぎずにまずは基本的な部分や思想的な部分を学んでみてください。そして、これだと思ったらぜひ勇気を出して扉を開けてみて欲しいです。

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