クリプトアーティスト・コレクターに聞くNFTアートの歴史と未来展望

2021年6月10-11日に開催された「Non-Fungible Tokyo2021」DAY1のセッション“Cryptoアーティスト・Cryptoコレクターセッション crytoartist and crypto collector session”をレポートします。

関口 愛美(せきぐち あいみ)氏
VRアーティスト : クリーク・アンド・リバー社

VR空間に3Dアートを描いている。アート制作やライブペイントでのパフォーマンスなど日本を中心に世界10ヵ国で活動。2021年3月にNFTアート作品が約1,300万円で落札される。
MR/AR/XR/NFTアーティスト

Lev(レブ)氏
クリプトアートコレクター

2019年から主にアート系のNFTであるクリプトアートを収集しているコレクター。現在までに収集したNFTは400を超えており、コレクションの中にはXCOPYやJosie等の有名クリプトアーティストの1/1が多数含まれています。現在はメタバースとNFTの融合に焦点を当てており、日本のクリプトアートの発展に貢献する為にSNSにて活動を行っています。

絢斗 優(あやと ゆう)氏
CryptoArtist / Kizuna Blockchain PROceed

メディアアーティストとしてのバックグラウンドと、ブロックチェーン業界の知見を生かし、業界間の橋渡しとして活動している。MissBitcoinの藤本氏と共にKizunaNFTチャリティーキャンペーンを推進。2006年よりメディアアーティスト、トラックメイカーとして活動開始。ユネスコダンスコングレスや文化庁芸術祭など国内外で作品を発表。インタラクティブコンテンツやVRライブのクリエイティブディレクターとしての活動を経て、CryptoArtistとしてもFoundation等で精力的に活動中。

メンバーはNFTアート業界屈指のクリプトアーティストとコレクター

絢斗氏:皆さんこんばんは。いよいよ本日最後のセッションとなります。最後のセッションはコレクターセッションとなっています。モデレーターは私、絢斗が務めます。このセッションは特殊な形で、会場のせきぐちさんとZoomのLevさんと私で、リアルとバーチャルの交互で行います。最初にせきぐちさんから自己紹介をお願いします。

せきぐち氏:VRアーティストをしています、せきぐちあいみです。バーチャルリアリティの空間の中に3Dのアートを描いています。基本的には国内や海外でライブペイントのパフォーマンスなどのアート制作をして活動をしております。今年の3月からNFTアートを始めさせていただき、その時、作品が約1,300万円で落札されて話題になりました。私はVRデバイスを使って3Dの絵を描いているのですが、言葉で伝わりにくいので動画でご覧いただけますと幸いです。よろしくお願いします。

絢斗氏:では続きましてLevさん、自己紹介をお願いいたします。

Lev氏:2019年頃からNFTアート、いわゆるクリプトアートを収集しています、コレクターのLevと申します。今日は後ろのほうで動画流していただいているのですが、メタバース上にギャラリーを作りました。Decentraland(ディセントラランド)という土地自体がNFT化されているような、ブロックチェーンベースのメタバースです。今朝完成したばかりで、ぜひ皆さんメタマスクとか持ってらっしゃる方はワールドに入ってご覧になっていただければなと思います。よろしくお願いします。

絢斗氏:ちなみに補足しておきますと今回はモデレーターなんですけど、自分自身もクリプトアートの作家としての活動と、クリプトコレクターとしての活動を両方やっていまして、現在Vportal Gallery(ブイポータル・ギャラリー)というものを、ディセントラランドとこちらのAltspaceVR(オルトスペースブイアール)の両方に作っております。オルトスペースのほうはMacだったり、Oculus Quest(オキュラス・クエスト)でも入れるようになっているので、今後こういったメタバース空間でのギャラリーといったことも増やしていく予定です。

せきぐち氏:まだなかなかいないですよね、メタバース空間にギャラリー持っている人って。お二人が珍しいですよね。

絢斗氏:今日のセッションだとまるでみんなメタバースに空間を持っているような感じですけど、世界的に見ると全然まだまだですよ。

Lev氏:クリプトボクセルズとかは、最近結構アーティストの方とかコレクターの方でギャラリー開いてるというのはよく見かけるんですけど、ディセントラランドは結構珍しいというか、まだまだ全然メタバースのギャラリーとしては珍しいですね。

クリプトアーティスト・コレクターそれぞれの活動について

せきぐち氏:私、このNFTに取り組んでからテレビとかいろいろなメディアから取材を受けたりするんですけど、NFTアートって買ったあとどうするの?って気にする方多いんですよ。で、こういったギャラリーを作って展示している方もいますよ、って紹介すると、興味を持つ方は多いですね。

絢斗氏:NFTを活用したVRSNSとか、VR空間上でまだ生活するところまで行っていないので、将来的にはみんな1人マイワールドみたいな感じになっていくとは思うんですけど、そうすると自宅の壁が掛け軸だったりとかソファだったりとか家だったりになっていくとは思うんですけど、そこまでいっていないので、今は自分で作るという感じですね。ちなみにLevさん、海外の業界とかでもボクセルは多いと思うんですけど、VRChatとかネオスとかを使っている方っていらっしゃいますか?

Lev氏:あまり聞いたことはないですね。

絢斗氏:なぜか日本の界隈はみんなどんどん作ってしまうという不思議なノリがありますよね。今普通にこうやってクリプトコレクターとか、クリプトアーティストっていう肩書きでみんな会話しているんですけど、そもそもクリプトアーティストとかクリプトコレクターという名前自体、今年になって初めて定着し始めたくらいなので、そういった領域に踏み込むのは勇気が要ると思うんですけど、せきぐちさんはどういったきっかけでNFTを出してみようと思いましたか?

作品にNFTを導入したしたきっかけは?

関口氏登壇写真

せきぐち氏:私はそもそもデジタルアートとかVRアートとかって、ものすごい可能性があって、いつかは価値がつくとは思っていたんです。私は5年くらい前からVRをやっていて、2、3年前からブロックチェーンとVRってめちゃくちゃ相性がいいのでは?という話はちらほら聞いていたんです。でも、私は2年前ぐらいに声をかけてきてくれた人には、え、何それ?ちょっとまだ胡散臭いな、って正直思っていたんです。可能性があることは分かるけど、胡散臭いというよりはまだ早すぎるんじゃないかな、というのが体感だったんですね。やっている方がごく一部で、まだまだこれからの技術だからと思っていて。でもそれが今年の3月に海外で大きな事例のニュースがいくつか出ていて。

絢斗氏:Beeple(ビープル)さんのやつとかですね。

せきぐち氏:そうです。そのタイミングでいろいろなからまたお声がけいただいたりして、これは市場が整い出したんだと、そしてこの気配。日本中の水面下でいろいろな人が動いている気配がすると思って、これはやるべきだと思って調べ出したんです。どことやるべきかもわからなかったので調べてみたら、個人でも挑戦できるんだと思ってやってみたという経緯です。私、クリーク・アンド・リバー社という会社に所属しているんですけど、会社にやってみたいと話してウォレットを作って、それを私が管理して、とか多分無理じゃないですか。なので会社に、ちょっとこれ挑戦したいんですとことわりだけ入れて。でもそしたら、今のご時世クリエイターとかアーティストを抱える会社は、この子たちを自由にさせてあげるほうが今後のためになる、って多分分かってくれているので、結構クリエイターファーストな会社で、いいよと言ってくれて挑戦できたので、それはすごく恵まれていたなと思います。

絢斗氏:今時でも昔からの会社も多いので、そういう意味ではいい事務所だったな、というところはありますね。

せきぐち氏:ちらほら縛られていたりとか、やろうと思うんだけどちょっと様子見て、待ってって言われているアーティストさんも見受けられるので、そこはちゃんと説得して、私はやりたいならやるべきだと思うし、逆になんか儲かるらしいからやりなよ、って会社に言われてやるのも違うと思うんですよ。やっぱりずっと残るものじゃないですか。だから中途半端なもので出したら後悔するし、やっぱり取り下げますなんて絶対できないから、自分の思いを込めてちゃんと調べてやるべきものだなと思っております。

大盛況だった初のNFTオークション

絢斗氏:実際にやると決めて調べ始めてから、何週間ぐらいで出品したんですか?

せきぐち氏:1週間とかではないです。2日?で、最初はオークションじゃなくてとりあえず調べて、登録してみたら。

絢斗氏:とりあえずミントされてた状態で、ミントしましたみたいなツイートをしたら、みんながわらわらと入札をしてみたいな。

せきぐち氏:そうなんです。まだオークションに出してない状態で売ってないんだけど、もしこれ売るなら買うよ、みたいな形の入札ですね。その当時の日本円で100万、200万と入っていて。私は本当に超ド初心者だったので、デジタルアートがこんな価格ってすごいって。もうこれだけで、今の価格でニュースだけど、じゃあ1日だけオークション開いてみようと思って開かせていただいたら、約1,300万円の高額で入札いただいてありがたい限りです。でもこれは私だけじゃなくて、デジタルアート業界全体への応援とか、そういうものも込められた価格なのでは?と思っていたりもするので、その先行者利益と言うんですかね、私はラッキーなタイミングで入らせていただいたと自分でも思っているので、その分普及していくとか、良さを広めていくということも頑張れたらいいなと思っています。

Lev氏:そこがすごく当時コミュニティ内でざわついていたというか、まともなプロモーションなしに、せきぐちあいみさんの作品がOpenSeaにリスト化されてるぞって、コミュニティの誰かが発見してきたんです。オークションが設定されて終了1時間前ぐらいのタイミングで、オークションどうなるか気になるからみんなでClubhouse(クラブハウス)やりましょうかみたいな、その場のノリでせきぐちさんのオークションを見守る会みたいなのが発足して。そのコミュニティの1人の方が、本人を誘いましょうよ、みたいなことを言い始めて。それがせきぐちさんに届いて、あんな大きなオークションになったという感じですよね。

せきぐち氏:そうなんです。そうやってたまたま見つけた方が拡散してくださったりとか、私が開いたわけではなくて、見守る会をClubhouseで開いていただいて。

絢斗氏:あの時ってTwitterでメンションが来たんですか?

せきぐち氏:Twitterでメンションをいただきました。せきぐちさんを見守る会というClubhouse開いてます、って送っていただいたので、正直自分の話をしているところに入っていくって結構勇気が要りましたね。

絢斗氏:そうですよね。Clubhouseだからまだオブラートに包まれている感がありますけど、なんか不思議な光景ですよね。

せきぐち氏:すごく緊張しましたね。でも皆さんすごくいろいろ教えてくださったりしたので、すごくよかったです。盛り上げてもいただいたし、細かいこと教えていただいたりもしたので、ClubhouseはすごくNFTと相性いいですよね。

絢斗氏:ちなみにLevさんに聞きたいんですけど、日本でNFTオークションの最終日とかにClubhouseという文化多いと思うんですけど、これって海外もこういうの多いんですか?

Lev氏:Clubhouseができてからは、Clubhouseでオークションを開催している本人と事業者、コレクターも含めて登壇して、みんなで盛り上がるみたいな、そういう文化はできつつあるのかなというのは聞いてますね。

絢斗氏:Clubhouseの前ってどうやって皆さんオークションされてたんですか?2019年とか、2020年前半とか。

Lev氏:実は当時、オークションシステムというのがほぼどのプラットフォームも採用されてなかったので、Twitterでみんな手動でオークションしてたんです。

絢斗氏:Twitterでオークションしてたんですか。

Lev氏:あと何時間で終了です、みたいなことをTwitterでみんなでやり合っていたんです。

絢斗氏:なるほど、それは結構面白いですね。

Lev氏:なので音声というよりかは、どちらかというとGIFアニメとか、そういうのを使ってみんなでコミュニケーションしながら、殴り合ったりとか、そういう感じでやっていました。SuperRare(スーパーレア)とかも最初オークション機能なかったので。

絢斗氏:じゃあSuperRareとかもTwitterでオークションしていたんですか?

Lev氏:事業者がやっていたというよりかは、アーティスト本人がやっていたという感じですね。彼らも調べながら一番いいタイムゾーン見つけて、あと何時間で終了です、今の入札価格はいくらです、みたいな。炎マークいっぱいつけて、そんなことで手動でやっていたという感じですね。

オークションでコレクターが作品を落札する基準

せきぐち氏:その時からLevさんは参加されていたわけですよね。

Lev氏:参加してました。

絢斗氏:ちなみにLevさんがクリプトアートをコレクションするときって、どういう基準でこれは買う、これは買わないって決めているんですか?

Lev氏:すごく難しいんですけど、当然自分が気に入るか気に入らないかというところが一番大きいポイントではあるんですけど、アーティストを見てます。Twitterとかで観察をしています。バブルに乗じて売り切ろうとしているアーティストとかもやっぱりいるし、あまり哲学がないアーティストも結構いるんです。あと熱量とか、NFTに対してコミットしていきますという熱量がないと、あまり買う気にはなれないかなとは思います。

せきぐち氏:確かにそういうのって、デジタルアートとはいえ、端々に見えてくるわけですよね。

Lev氏:いろいろなところで見えるんですよ。ブロックチェーンなので、ウォレットとかも全部見れちゃうんです。僕は結構そういうところも観察してるんです。

せきぐち氏:ウォレットからどうやって見抜くんですか?

絢斗氏:作家のウォレットを見るんですか?

Lev氏:見ます。一応買う前はちょっと調査はしますね。投資とか運用するウォレットを分けていれば別に全然問題ないですけど、なんかすごいスキャムっぽいコイン買っている人とかは、え?って思います。

せきぐち氏:そのアーティストさん自体が、ってことですよね。

絢斗氏:確かに海外とかだと、詐欺っぽいコインのプロモーターを兼ねている人もいますからね。

せきぐち氏:でも私、そういうおかしな人がいっぱいいるというのもClubhouseで教わったんですよ。Clubhouseでみんなそうやっていろいろサポートしてくれるプラス、こういうところに気をつけたほうがいいよとか、細かいことも。最初私はアンラップとかもわからなかったので、そういう部分も助かりましたし、いい人もいるしやばい人もいっぱいいるからね、とか。すぐ円に替えたほうがいいんだよ、とか、いろいろなことを教われるので、Clubhouseは役に立ちましたね。でもその人の見抜き方って難しいですね。

絢斗氏:そうですよね。例えば自分だと、クリプトアートが始まったか、作り始めたっていう人よりは、クリプト来る前から活動している人のほうが高い値段でも買おうかなっていう気がして。なんだかんだで現代アートも似ているところあると思うんですけど、作家がその活動をずっと続けていると、10年後も活動続けているかな?どうかな?っていうのも自分はちょっと基準で考えています。バブルが終わっても、クリプトのかたちがどんどん変わっていっても、どんな形でもその人が作家活動続けていることで、作品の価値はどんどん上がっていくので。

せきぐち氏:この人は10年後もやっていくな、というのはどこで見るんですか?

絢斗氏:なんとなくですね。でも自分もクリエイターなので分かるんですけど、理由があって作るというよりは、作るのが当たり前になっているような、ライフワークになっているようなタイプの人が出てくるので、そういう人がクリプト始めた、というタイプのほうが安心して将来応援する感じになれますね。

せきぐち氏:なるほど。私自身もそうですね。

アーティストとしてNFT・VR・XRや新技術に思うこと

絢斗氏:ちなみにせきぐちあいみさんは、これでVR業界とクリプト業界という、すごいキャズムをなかなか越えなくてずっといた両方の業界を、ある意味2冠を達成したわけなんですけど。自分もVR系の仕事もやりつつ暗号資産系も多かったので、ちょっと似てるなと思うところあったんですよね。好きな人とか詳しい人はハマるんですけど、なかなか一般の人にまだ認知されない、みたいな。そういう分かる人には分かる業界で、両方で成果を出すってなかなか珍しいな、っていう。

せきぐち氏:まだまだ私はそんな成果を出せているとは思っていなくて、NFTとVRって今はまだやっている人は少ないかも知れないけど、両方ともみんなが当たり前に日常で使うものに変わっていくと思うんですよね。それを私たちがその未来って確実に来るから、より速く手繰り寄せるというか、加速させられたら最高だなと思って。今どうとかは気にしないで挑戦し続けたいとは思います。

絢斗氏:一度NFT作り始めてからの、イーサリアムへの理解の深まり方がすごいスピードだったなと結構界隈でもざわついたんですけど、抵抗とかなかったですか?例えばブロックチェーン自体の考え方だったりとか、そういうものを自分の中にしっくり来るところまでに。

せきぐち氏:私としては、いずれVRとかARとかデバイスが普及したときに、本当にみんなが各々の自分の空間にデジタルアートを飾るとか、みんなが各々自分のVR空間を持つのが当たり前になる世界というのが来ると思っています。そうなった時に、デジタルアートの売買をみんなするようになっていたと思ったんですね。その時に権利を守るとか、どれが本物なのかっていう問題って出てくるだろうから、こういうものはいつか来るんだろうなというのはあります。それが自分が想像していたよりは早かったけど、絶対いつか来る世界が思っていたより早く来たというだけだったので、抵抗感というのはなかったです。ボーダレスに、バーチャルを活用していくようになったらいろいろな世界の人とやり取りするし、そうなった時はお金にしても何にしてもボーダレスであるべきだから、ブロックチェーンを活用することになるし、自然の流れですよね。だから、今バブルで消えるのでは?とか、もちろん価格帯バブルな部分とかあると思うんですけど、これが消えていくのは、形は変わったりすることはあっても絶対ないんだろうなって感じています。

絢斗氏:そうですよね。今まではInstagramでどんなにものを作ってもそれは作品と言われなかったのが、このNFTというフォーマットができた時点で一度変わって。例えば音楽で言うと、レコードが発明されたとか、CDが発明されたのと近いぐらいの感覚なのかなと思っていますね。

クリプトアートコレクターがNFTに思うこと

関口氏登壇写真2

せきぐち氏:Levさん、音楽系のNFTの方もいっぱいいらっしゃるじゃないですか。Levさんは音楽とかいろいろなジャンルは多岐にわたって集めていたりするんですか?

Lev氏:すごく狭いジャンルで大変申し訳ないんですけど、僕もNFTというコレクターではなくて、あくまでクリプトアート、アート分野だけのコレクターなんですね。NFTだから収集する、というわけではないんです。音楽とか写真とか、ほかのデジタル分野でも応用が利く技術ではあるので、そういうコレクターの人たちが増えてくることで市場が成熟していくのかな、と思っています。

絢斗氏:Levさんはもともとクリプト以前から現代アートとかのコレクターだったんですか?

Lev氏:もともとアート自体は好きだったんですけど、現代アートとか収集していたわけではなくて、アートを収集し始めたというのはNFTがきっかけだった、ということですね。

絢斗氏:それって何年ぐらい前ですか?

Lev氏:2019年の夏頃ですね。

絢斗氏:Levさんの場合は、NFTから暗号資産に入ったというよりは、もともとブロックチェーン系で入っていて、NFTが出てきて、クリプトアート面白いな、というタイプですね。

Lev氏:そうですね。イーサリアムとか、投資家として保有はしていたんですけど、使ったことが実はなかったんですよね。自分の好きなアートという分野で、NFTが活用されているということを知って、そこで初めてクリプトで何かを買う、それがデジタルアートだったという感じですね。

絢斗氏:でもこれ、結構面白い話だと思っていて、アートマーケットの希望ってよく話に出るんですけど、クリプトアートで起きているのって、今ほとんど現代アート業界の人クリプトは買ってないんで、そうすると、今までアートに関心あったけどアートを買ってなかった人が、クリプトアートだったら買うというのがすごく増えていて、全く新しい産業ができたなというのはすごく面白いなと思ってるんですけど。

Lev氏:そうですね。ただ敵対しているとかではなくて、現代アートのほうのオークションでも私お声がけいただいているのもあるんですけど、始まっているところたくさんありますよね。

絢斗氏:この間、Levさんがたまたまコレクションしていた方が、サザビーズか何かに出ていませんでしたっけ?

Lev氏:XCOPYとかJosieとかが、いわゆる伝統的なオークションハウスのクリスティーズとかササビーズに出品されているというのはありますね。

絢斗氏:2年前にそんなこと想像できました?

Lev氏:皆さんおっしゃられていると思うんですけど、いつかは恐らくこのNFTとかクリプトアートという概念自体が広まっていくだろうな、とは思っていたんですけど、まさかこれだけ早く広まっていくとは当時全く思っていなくて。今でこそ70億円とかそういう規模で売買されていますけど、当時では一番高い金額でも1万円とかそういう金額で、1万円でもすごい話題になるぐらいの価格帯だったんですよね。で、当然セカンダリーマーケットでも全くなかったですし、プライマリーにしか売れなかったのでそういう意味で言うと、全く2年前と状況が違っているなという感覚は非常に大きいですね。

NFTアート購入のモチベーション、コレクションする気持ち

絢斗氏登壇写真

せきぐち氏:皆さんNFTの取材を受けたりとかしていると思うんですけど、買う人ってどういう気持ちで買うんですか?とか、どういう意図で買うんですか?って聞かれるんですよ。でもそんなの人によって全然違うと思うんですけど、どんなパターンがありますか?

Lev氏:せきぐちさんのおっしゃる通り、いろいろな目的の人がいると思うんですよ。ただ、今の市場に入ってきている人っていうのは恐らく90%以上はやっぱり投機とか、お金が絡んだコレクターが非常に多いのかなと思っています。その中でも本当に収集していくことが楽しかったりとか、アーティストを応援するのがすごく楽しいとか、そういうところで本当にNFTのメリットを理解しているコレクターも中にはいるので、そういう人たちがどんどんこれから比率としては増えていくのかなと思っています。

よく僕も聞かれるんです、なんで集めるんですか?って。ちょっと難しい質問で、いろいろな理由があるんですけど、自分で考えてみても、NFTの価値を高めるっていうそのエコシステムの中に、コレクターとしても参加できるというところがやっぱり楽しいんですよね。こうやってメタバース空間上に美術館を建てたりするっていうのは、自慢したいからとか優越感ももちろんあるとは思うんですけど、保有していく自分のNFTの価値を高めるために、アーティストに依存するんじゃなくて、コレクターとしてできることがあるんじゃないかなと思ってそういうことがすごい楽しい部分ではあるのかなと。これは多分現代アートとかだとなかなか難しいんですけど、ブロックチェーンでアーティストとコレクターが繋がっているからこそ、そういう楽しみが生まれてくるんじゃないかなって自己分析しています。

せきぐち氏:現代アートのコレクターさんでも、たまにアーティストの価値を高めるために展示をやってくださる方とか、PRしてくださる方とかいるから最高のコレクターですね。

絢斗氏:Levさんはそのうちレブコレクションに入るのが目標の作家とか出てきそうですよね。

Lev氏:でもコレクターがパワーを持つという、その旧態依然の世界というのもやっぱりおかしいと思っているので、アーティストが一番の主役として、コレクターとかがそこに紐付いていく、というような経済圏ができてくるんじゃないかなとは思っています。

せきぐち氏:確かに、あのコレクターさんが喜んでくれるからこれにしよう、こういうのを描こう、はなんか違いますもんね。

絢斗氏:それが透けて見えちゃうと、その作家性はちょっと弱まっちゃいますからね。

せきぐち氏:そういうNFTならいいと思いますけどね。意図を汲めるとか、描く内容をリクエストできる、とかならいいんでしょうけど。

NFTに将来性はあるか

絢斗氏:ではクリプトって国境を越えたとか、新しい文化みたいな話で出てくると思うのですが、クリプトアートとかだと、日本人で集まってみたいなことが多いなというのがあるんですけど、だんだん日本出身でも世界で活躍し始めると、だんだん1個のそのクリプトコミュニティとか、NFTコミュニティの1人みたいになってくる日が来ると思うんです。そうなってきた時に、日本出身だからどうとか最初の頃はあっても、一緒に今のこのクリプト業界を作った人、みたいになってくると、そのときに自分だったらどんな感じの作風というか、どういう肩書きで残りたいですか?

せきぐち氏:肩書きか……。

絢斗氏:10年後に自分の自伝を書いたとき、本のタイトルでつけるとすると、ということですね。

せきぐち氏:私は今VRアーティストをやっているんですけど、ARもMRも取り組んでいて、私はこれまでに見たことないような世界とか、そういうものをアートで見せられたら、その相手の想像力を刺激できると考えています。想像力を刺激するって、その人の人生のきっかけになったり、もしかしたら潜在能力を引き出せるかもしれないし、ものすごくやりがいのあることだと思うんです。今ツールとしてVRが最適だと思っているからVRを選択しているし、MR、ARもやっていますが、今これをやってもちゃんと見てもらえる形ないんだよなって思っていたから、密かにやっていたんです。でも、NFTだからそれも出せるし、これからどうするかって言ったら、目先の数年後にやりたいことはいっぱいあるので、数十年後は今想像もできない形のものをやりたいですね。

絢斗氏:ちなみにその想像力というところでいうと、海外の公演も多かったと思うんですけど、例えば日本と海外で同じ作品でも感じ方変わったりとか、もしくは、ここは同じように感じるんだなとか、そういった経験ってありましたか?

せきぐち氏:私は海外でパフォーマンスとかもやっていたり、NFTはTwitterとかでも告知しているのですが、リアクションは逆に変わらないなって思います。どこの国が評判よかったとかじゃなくて、あらゆる国の人が本能的に「何これ面白い」っていう感覚で楽しんでくれるので、そういう人間の本質的なところに刺さるものなのかなと思っております。

絢斗氏:まさに、人類共通の価値観みたいなものに踏み込めると面白いですね。

せきぐち氏:最高ですね。

絢斗氏:Levさんは10年後とかどんな感じの肩書きで呼ばれたいですか?

Lev氏:肩書きは特にないクリプトアートコレクターなんですけど、Yu(絢斗)さんおっしゃられるように、あまり垣根ってないと思っています。インターネットからなんですけど、日本だけで評価されるというよりかは、海外も含めて評価されていくように、コレクターとしてはなりたいなというふうに思っています。

絢斗氏:ありがとうございます。最後に皆さん一言ずつ視聴者に向けて何か言いたいことがあればお願いします。

最後に…

せきぐち氏:私は本当に自分がいつかこうやりたいって思い描いていた未来が、NFTで実現できるなと思っています。今後も自分が作りたいとか、人に届けたいと思うアートを作りつつ、NFTを活用していきたいと思ってます。そして今できる最大限の最高のものを提供し続けたいので、それが自分の人生として刻まれていくものだと考えています。そして今私が作っている、3D空間で変化し続ける鳳凰の絵を描いているんですが、クリプトアートフェスに特別展示というか、立体的に展示をしていまして、それがIPFS上、ネットワーク上に今存在し続けていて、スマホでもパソコンでもVRでも、AndroidだったらARでもいろいろな形で、3Dで立体的に閲覧できるようになっています。ですので、今提供できる形でのVRアートとして最高の形で出せていると思うので、ぜひ一度見てもらえたら嬉しいなと思います。

絢斗氏:1000年後にも残るかもしれないですね。

せきぐち氏:私も1000年後にも残るって思っています。その時に、これ1000年前からこの形でやってたの?とか、またその時ならではのストーリーが生まれていたり、数年後はそれがデフォルトになっているから、今は当たり前だけどこの時が初期だったね、とかになるのか。またそこで生まれていくストーリーがあったらいいなと思っています。

絢斗氏:ありがとうございます。それではLevさん。

Lev氏:今すごく高額なアートというのが目について、なかなか自分が参入できない、コレクターとして参入できない、って思われている方いらっしゃるかもしれないですけど、非常に低価格で出品されていたり、足元では数万円とか数千円のレベルでNFTでクリプトアートが取引されているというのが実績としてもあるので、ぜひ1回NFTを買ってみて、実際に収集してみたりと、その1歩から踏み出してほしいなと思います。コミュニティは非常に優しいメンバーが多いですので、分からないことがあればDiscordとか、怪しい人に着いていかないように信頼できる人に聞くとか、丁寧に教えてくれると思うので、そのあたりはぜひ一度コレクターとして収集してみていただきたいなと思います。

関口氏登壇写真3

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