既存大手ゲーム会社がどうブロックチェーンゲームに参入するか?

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2022年7月11日に開催された「Non Fungible Tokyo 2022」のセッション “既存大手ゲーム会社がどうブロックチェーンゲームに参入するか?”をレポートします。

松谷 幸紀(まつや ゆきのり)氏
double jump.tokyo株式会社 取締役COO
2003年株式会社NTTデータ入社し、金融系大規模システム開発のSEを経験後、2006年株式会社フリーセルでWEBマーケティング事業の執行役員。 2011年Facebookアプリ開発会社アイキュー株式会社を設立。 2015年株式会社モブキャストに事業譲渡し参画。 ゲーム事業で執行役員としてプロデューサー、運営、マーケティングを経験。 2018年モブキャストゲームス取締役に就任。 2018年8月ソーシャルキャピタル代表取締役に就任。 2019年7月よりdouble jump.tokyo株式会社に参画。 MCH+、ブレイブフロンティアヒーローズプロデューサーを経て、現在はNFT事業支援サービス「NFTPLUS」を担当。

畑 圭輔(はた けいすけ)氏
株式会社スクウェア・エニックス / ブロックチェーン・エンタテインメント事業部 / 事業部長
株式会社 スクウェア・エニックスには2012年に入社、開発部門にて、スマートフォン開発におけるテクニカルディレクターとして従事、その後、プラットフォーム関連の交渉、対外折衝などを担当する部署に異動、部門長を経験。

冨田 洋輔(とみた ようすけ)氏
cocone connect 株式会社 代表取締役
慶応義塾大学 環境情報学部卒業後、株式会社スクウェア・エニックスに入社。プロデューサーや子会社立ち上げに従事。2010年グリー株式会社に移り、パブリッシング事業の立上げ、中国事業の立上げ責任者など国内外の新規事業立上げを行う。2014年よりココネ株式会社にて経営企画室長、コーポレート本部長、代表取締役社長を歴任。2021年M&A/投資部門を切り出したcocone connect株式会社を創業し代表就任。現在はWeb3にフルべットしており、最新作「Claw Kiss」はブロックチェーンゲームDress to Earnとして2022年リリース予定。

川村 猛(かわむら たける)氏
株式会社CA GameFi 取締役 / プロダクトプロデューサー
株式会社サイバーエージェントにエンジニアとして入社。 子会社のCyber X / Cygames / GRIPHONE等でモバイルゲーム開発を経験した後、従業員1500人のゲーム事業部におけるエンジニアボードとしてCTOに就任し、技術戦略の策定、採用、組織づくり等に従事。 2022年3月にCA GameFiを設立し同社取締役に就任。現在開発中のプロダクト「Project TB」にてプロダクトプロデューサー及び技術責任者を務める。

John Linden(ジョン・リンデン)氏
Mythical 創業者兼CEO

ジョン・リンデンは、実用性のあるNFTを所有するプレイヤーによってユニバーサルエコノミーを創造する次世代ゲーム技術スタジオであるMythical社のCEOである。
同スタジオの最初のゲームは、Play-to-Earnの「Blankos Block Party」で、収集可能なデジタルビニール玩具を集めるスタイルのマルチプレイヤーゲームである。Mythical社以前は、Marvel Strike ForceやMagic:the Gatheringを開発したSeismic Games(Niantic Labsが買収)の社長として活躍。Seismic Games以前は、Activision BlizzardでCall of DutyとSkylandersフランチャイズのスタジオヘッドを務めている。ゲーム業界に入る前は、AdknowledgeとOpenXで共同設立者兼CTOを務め、Planet Alumni(Reunion.comが買収)とLitmus Media(Think Partnershipが買収)という自身のスタートアップ企業を立ち上げた。ビデオゲーム、プレイアブルNFTとブロックチェーン技術の未来、そして新興技術の大衆市場への導入に情熱を注ぐ。

松谷氏:今回のテーマは、既存大手ゲーム会社がどうブロックチェーンに参入するかというセッションになっていまして、著名なゲーム会社の方々に集まって頂いております。自己紹介は後ほど各々で実施していただきたいと思います。まずモデレーターを務めさせていただきます、double jump.tokyo株式会社取締役COOの松谷と申します。よろしくお願いします。では一つ目のテーマとして既存ゲーム会社のブロックチェーンゲームについて、実際どのような取り組みを始めているのか、既に取り組んでいるのか、これから何を仕込んでいるのかについて伺いたいと思っています。では、畑さんからよろしくお願いします。

畑氏:スクウェア・エニックスの畑と申します。自己紹介というか略歴になるのですが、今大体業界20年ぐらいの経験でして、最初の約10年はコンソールであったり組み込み系だったりモバイルも含めていろいろと経験しました。縁があって10年前にスクウェア・エニックスに入社し、当時はテクニカルディレクターとして従事していました。そこで7、8年仕事をさせていただいて、その流れで全社貢献のハブになる業務部という部署に異動し、部門長を務めながらファーストパーティ含めてパブリッシャーとの対話セッションなどをやっていました。その過程で、資産性ミリオンアーサーという当時初のNFTプロジェクトを立ち上げ、昨年の10月にリリースしました。その結果、2022年の2月からブロックチェーンエンターテイメント事業という事業部が発足し、現在は事業部長を担当しております。

簡単に資産性ミリオンアーサーの紹介をします。デジタルシールという新しいジャンルのNFTプロジェクトで、低価格で手に入れやすいというコンセプトで発売しました。第三弾ぐらいまで発売しているのですが、既に9万枚以上のNFTの発行を行っているプロジェクトになっています。このデジタルシールは、単純にアートを作っているだけではなく、ご自身でカスタマイズをして最終的に仕上げていただくことでミントされるという仕組みになっています。

株式会社スクウェア・エニックス事業説明資料

上にあるシール画像の右下にあるものが、自分でデコレーションをするとこのようなシールができますよということを謳い文句にサービス展開しています。あと、中央の下部にグミの絵があるのですが、これはシシャモグミという世界観で作るグミです。これを集めて限定シールを手に入れようというイベントを行ったりして、プロジェクトを盛り上げていこうというコンセプトで作らせていただきました。

自己紹介は以上となるのですが、本日はPRがありまして、先日LINEさんを通してお知らせを出しましたが、資産性ミリオンアーサーの二次流通を再開いたします。また第4弾の発売日も決定しましたので、プレスリリースを出します。同時に、サービスサイトでプロデューサーレターも公開するので、発売がいつになるのかはまだ詳しく言えませんが、作成中のゲームコンテンツの状況についても触れていこうと思っています。単純に第4弾を発売するというのは面白くないと思うので、これまでの知見を踏まえて新しいジャンルのシールを追加します。これはキャラクターシールでも4コマシールでもない、新しいものになっています(2022年7月28日発売済)。

松谷氏:先程のお話の補足で、現在はNFTのデジタルシールとしてリリースされていますが、今後ゲーム展開も予定されていますよね?

畑氏:そうですね、今シールの販売も継続して計画しているのですが、このデジタルシールを持っていただくことで楽しめるゲームコンテンツをサービスサイトの中に組み込む予定で開発を進めています。

松谷氏:NFTが先でゲームが後ですね。これも初めてのチャレンジだと思います。続いては、Mythical GamesのJohnさん、自己紹介お願いします。

John氏:元々Activision Blizzardというアメリカで最も有名なゲーム会社の一つで働いており、Call of Dutyという大きなタイトルを担当していました。その後Seismic Gamesというゲーム会社で、MARVEL Strike Forceというとても人気のあるゲームを担当し、それをNianticという会社に売却して、現在のMythical Gamesを創業しました。

我々Mythical Gamesはゲームに関連する様々なステークホルダーを巻き込みたいと考え、2018年にスタートしました。作り手、プレイヤー、新規参入したいIPホルダーをターゲットにゲームを作っており、BLANKOSというゲーム(画像左上)が去年の5月にリリースされました。今はPC版だけですが、150万位のユーザーがいます。Epic Games Storeというアメリカで有名なデジタルゲームストアでもローンチする予定です。

Mythical事業内容説明資料

次に、NFL Rivals、NITRO NATION、MAGIC FIGHTの3タイトルを開発していて、2022年・2023年にリリースする予定です。また、これらのタイトルのリリースを計画する中で得た知見やノウハウ、どのようなエコノミーを作るべきか、どのようなことを分析すべきなのかなど含め、他の企業や開発会社の方々と意見交換や共有を目的として我々独自のレイヤー1のブロックチェーンの開発も進めています。

著名なゲームの開発をされていた方たちの参画等、Web3の文脈とは関係なくゲーム自体の作りこみを大事にしています。NFL Rivalsの場合は、NFLからライセンスをもらって製作しています。画面左下のNITRO NATIONは、既にモバイルゲームでリリースしており、7500万人がプレイしているゲームです。またNITRO NATION World Tourという別のタイトルでNFT活用したゲームをリリース予定で準備を進めています。このようなゲームも含めて1億人ぐらいのユーザーが楽しめるエコシステムを作っていけるようしかけております。

松谷氏:ありがとうございました。実際にブロックチェーン自体の開発もされているのですね。ちなみに日本進出についてはどのようにお考えですか?

John氏:過去に5回訪日したことがありますが、今回当社を創業してから初めて日本に来ました。アジア市場はゲーム業界においても、新しいことを生み出している非常に面白いマーケットだと思っていますので、これから一緒に何かできればいいなと思っています。

松谷氏:ありがとうございます。では続いてcocone connectの冨田さんお願いします。

cocone connect事業説明資料

冨田氏:このセッションに参加している企業の中で、もしかすると弊社をご存知の方が少ないのではと思いつつ、是非アピールさせていただきたいと思っています。

弊社はアバターの会社で、スマホアプリのアバター企業としては恐らく日本トップなのではと自負しています。APP ANNIE調べでは、2021年度の非ゲームジャンルでは日本国内で6位、グローバルではグロッシングで123位でした。アバターアプリとしては世界的にチャレンジできているのではないかと思います。月間のMAUは100万ユーザー、月次で10億円以上の売上で、フォートナイトやロブロックスのような大きなタイトルなど世界ではまだ上がいますが、年間売上が100億円以上ある会社として、恐らく世界クラスの会社ではないかということで、アピールさせていただきました。

スクエニさんは素晴らしい歴史あるゲーム会社で、MythicalさんはWeb3やNFTから登場した素晴らしい価値を持っていますし、CA GameFiさんもCAというブランドの中でやっているゲーム会社として、魅力的な会社が参加されている中で、弊社は独立デベロッパーとして中小規模からどのようにブロックチェーン事業を始めていくのか、ゲーム専属の会社がどうやっていくのか、皆さんの参考になればいいなと思っています。いろんなリスクや難しさもありますが、非常に熱い事業なのでぜひ皆さん一緒に挑戦しませんかというお話でした。

私はもともとアバターの会社の代表を2年ほど勤めたのですが、そちらは別の方にお任せして、私はWeb3にフルコミット、フルベットしています。現在GameFi、ブロックチェーンゲームを100名単位で作っていて、グループ会社ではネットワーク、ブロックチェーンのレイヤーを作っています。2018年からカカオのKlaytnさんと懇意にしていて、初期の頃のガバナンスカウンシル30社の一つだったのですが、そこで培ってきた経験を使ってゲームアバターサービスに特化したネットワーク、レイヤー2を作ろうと、グループ会社にて開発を進めています。そちらでウォレットを作ったり、NFTマーケットプレイスを作ったり、DeFi、DEXを作っていて、グループ会社ではエンジニア含めて50人ぐらい、本社では100名単位でブロックチェーンゲーム事業をやっているので、会社全体で合わせて200~300名ぐらいがブロックチェーンゲームに取り組んでいます。

弊社は今Web2の会社で事業のメインはWeb2ですが、「これからはWeb2のゲームは作らないぞ」という意気込みでWeb3にオールインして行こうと思っています。今Web3事業に参入するか迷われている会社もあるとは思いますが、熱いゲーム業界に是非一緒にチャレンジして欲しいと思っています。

最後に簡単に告知をさせていただきます。弊社はリヴリーアイランドを昨年リリースし、リリース当初から人気を集めています。IPを既にお持ちの会社でも、既存IPを温存し新規IPでチャレンジするところも多いと思いますが、弊社はこのヒット作のIPを利用しようと考えています。1作目がリヴリー、2作目がセルフィというアバター業界の中ではよく知られているIPですが、このIPたちを使っていこうと思っています。もちろんこの手がうまくいくかはまだ分からないですが、グローバルでも凄まじいプレイヤーがいる熱い市場で、海外と競合してくためには、IPを温存している場合ではないと思い、人員もIPも資産もすべてオールインしていこうと思っています。

松谷氏:ウォレットもブロックチェーンも作る、ゲームも作るなんて、すさまじい選択ですよね。

冨田氏:Oasysさんと同じような思想です。Oasysさんはいろんなパートナーと組まれていますが、まだ弊社はパートナーがいない状態で、Oasysさんと同じように頑張っていきたいと思います。

松谷氏:素晴らしいですね。ありがとうございました。最後になりますが、CA GameFiの川村さんお願いします。

川村氏:CA GameFiの川村と申します。よろしくお願いいたします。

CA GameFiはサイバーエージェントという会社の子会社になるのですが、私はサイバーエージェントに2010年にエンジニアとして入社していて、それからずっとモバイルゲームの開発に携わってきました。

まずサイバーエージェントに関して簡単にご紹介します。サイバーエージェントは大きく事業領域を分けると3つあります。メディア、広告、ゲームがありまして、私はこのゲーム事業にずっと携わっています。

株式会社CA GameFi事業説明資料

ゲーム事業について、様々なモバイルゲームを開発運用しているのですが、いくつかピックアップして載せています。いろんな子会社でいろんなゲームを提供していて、日本でも有名なタイトルを多数抱えていると思います。サイバーエージェントは子会社がたくさんあるのも特徴の一つで、ここに挙げているタイトルもサイバーエージェント名義ではなく、グループ会社それぞれからリリースされているものになります。全てサイバーエージェントグループのオリジナルタイトルですが、ほかにも他社様IPのゲームも手がけています。

株式会社CA GameFi事業説明資料2

CA GameFiは、ゲーム事業に属する子会社の一つです。今年の3月に、ブロックチェーンゲームに本格参入するぞと設立した会社になります。

上の画像にありますように、現在CA GameFiでProject TBというサービスを開発しています。まだティーザーサイトだけしか公開していないので、告知できる情報が少ないのですが、年内には何かしらの形で情報をお出ししたいと思っています。

取り組み状況ですが、まずサイバーエージェント全体でいうとブロックチェーン関連や、NFTに関連する事業がいくつか立ち上がってきている状況です。

ブロックチェーンゲーム関連については、一年半ぐらい前から調査や、事業化の検討を進めていて、その過程でこの領域に本格参入するという意思表明も含めてCA GameFiを設立することになりました。試してみようレベルではなく、最初からこの領域で大きなヒットを目指すというスタンスで取り組んでいます。ですので、開発予算をしっかりかけて、体制も現在40名強ぐらいいます。まだ開発体制を強化しているところなので、これから人数が増えていくと思います。あとは弊社はゲームを作ってる会社なので、まだノウハウ的に弱い部分、例えばブロックチェーン周りに関するノウハウのフォローであったり、クリエイティブ制作というところで他の会社さんにもご協力いただいているので、パートナー企業も含めるとさらに大きな規模になってきているところです。

松谷氏:CA Gamefiさんもオールインされるということでしょうか。

川村氏:そうですね。

松谷氏:本日の皆さんは試しながらじゃなくて、この事業にオールインして本気で取り組まれている一方で、ブロックチェーン事業はまだグレーゾーンの部分、賛否ある取り組みだったりすると思っています。実際にやってみて課題点などはありましたか。

John氏:そうですね、我々の一番大きな課題としては、プレイヤーから見た時に、すぐ儲けて逃げるのではないかという目線が多いところだと思っています。実際はそうではなくて新しいゲームデザインのやり方であるということを、クオリティの高いゲームを出して、認識を変えていくことが大事だと思っています。

松谷氏:ユーザーの認識を変えるためにも、面白いゲームを作るということが大事だと思いますね。

登壇者集合写真

John氏:あとはプレイヤーに、ゲームをプレイしていただきながら、これがなぜ重要で面白いかということをきちんと伝える必要があると思います。クオリティの高いゲームを出すとプレイヤーの認識も変わると思います。

松谷氏:是非そういったゲームを作って変えていって欲しいと思います。川村さんはどうですか。

川村氏:そうですね。面白いゲームという話がありましたが、私もエンターテイメントとしてブロックチェーンゲームを、新しい面白い体験をどう作っていくかというところが難しい課題だと思っています。現状ブロックチェーンゲームではファイナンスの部分がより注目されていると思うのですが、ゲームを作っている私たちとしては、エンターテイメントの部分をどう進化させていくかについて仕掛けていきたいと思っています。面白さの定義はいろいろあると思いますが、自分はそれこそがわの部分が面白さの一つだと捉えています。いろんな形がある中で自分たちが提供するサービスがどういう面白さを皆さんに提供できるかを明確にすることが難しい課題だと思っています。

松谷氏:是非実現して欲しいですね。畑さんはいかがでしょうか。

畑氏:我々事業専用で立ち上げてやっていて、今事業のメンバーも少数制でやっているのですが、社内でもブロックチェーンゲームだったりブロックチェーンに対しての意識や距離感をまだ持っている方がいらっしゃると思っています。部員ともその理由が何かについて会話をしていますが、今までは既にあるプラットフォームに対して我々クリエイターがゲームを作っていくという流れだったと思います。ですが、ブロックチェーンゲームはプラットフォーム自体もなかったりするので、プラットフォームの作り方も多種多様であるというところが非常に面白いところでもあり、逆にそこがないからこそ改革しなきゃいけない課題が沢山あると思っています。本日のようなイベントにゲームクリエイターがどんどん来て、どのようなことが起きているのかキャッチアップすることを積極的にやってもらえるように、社内のイベントをやったり啓蒙活動するということも裏ミッションでやっています。

松谷氏:社内の人たちですら懐疑的でスキャムではないかという人がいたりしますよね。そうではないよというところから畑さんはやっていらっしゃるんですね。それではセッションは以上とさせていただきます。皆さん本日はありがとうございました。

登壇者集合写真2

登壇者集合写真3

川村氏登壇写真

松谷氏登壇写真

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