世界で挑戦するWeb3起業家

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2022年7月15日に開催された「Web3 Conference Tokyo Vol.2」のセッション “世界で挑戦するWeb3起業家”をレポートします。

田中 章雄(たなか あきお)氏
Headline / IVC 創業パートナー
Headlineは北米、南米、欧州、アジア各地でインターネットベンチャーに投資するグローバルVC。また2021年にAnimoca、Circle、Digital Currency Groupなどの海外投資家が中心に出資する約110億円のトークン専用ファンドIVCを立ち上げ、現在アジアで最もGameFiやWeb3のシードステージに出資するVCとして150以上のクリプトポートフォリオを持つ。Headline及びIVCのポートフォリオにはSorare、C2X、Crypto Unicorns、Irreverent Labs、MetaTheory、Proof of Learn、YGG、YGG SEA、YGG Japan、JPYC、Yay! (Nanameue)、double jump.tokyo、Oasys などが並ぶ。

Yosui Harasawa (はらさわ ようすい) 氏
モノバンドル株式会社CEO
大学在学中からブロックチェーンリサーチャーとして活動。 2020年に日本最大規模のブロックチェーンDAO教育団体「d14b」を設立。その後、日本初の日本円連動ステーブルコイン「JPYC」を取り扱う JPYC 株式会社に立ち上げ期から参画し、COO として事業成長を牽引。JPYCに在籍しながら、2021年6月にモノバンドル株式会社を設立。「NFTのインフラ」としてグローバルにNFTの開発ツールを提供するEmbedded NFTサービス「Hokusai」とデジタル資産の監査・認証プロバイダー事業「SuperAudit」をリリースし、Web3のインフラ事業を展開している。

窪田 昌弘 (くぼた まさひろ)氏
LOCK ON/Founder、株式会社Gaia/CEO
2014年に新卒で株式会社サイバーエージェントに入社。ディレクターとして海外パブリッシング事業を担当した後、新規事業を立ち上げ、事業責任者を担当。2017年に株式会社Gaiaを設立し、代表取締役を務める。

Shugo Tsuji (つじ しょうご) 氏
Phi/Co-founder and CEO
Phiの共同創設者兼CEO。私たちのミッションは、オンチェーンアイデンティティを可視化し、ENSドメインやウォレットアクティビティなどの普遍的なWeb3ビルディングブロックに基づいた、オープンで包括的なメタバースランドシステムを構築することです。

田中氏:皆さん、こんにちは。 Infinity Ventures CryptoおよびHeadlineというVCでパートナーをやっています田中と申します。本日はモデレーターを務めさせていただきます。今日は海外のチームと組んでクリプトのビジネスを進めているプロジェクトのファウンダーの皆さんに登壇していただきたいと思います。

窪田さんから順番に自己紹介をお願いします。

窪田氏:現在、LOCKON Financeというオンチェーンの情報を分析していて、良いトレードがあったら再現するというプロトコルを作っています。メインの拠点はドバイ、ベルリン、ダラス、東京で分散して活動しています。よろしくお願いします。

Tsuji氏:Tsuji Shugoと申します。僕はPhiというメタバースに近い形のプロダクトを作っています。オンチェーン情報をベースとして街を育てるゲーミフィケーション(ゲーム感覚で操作や表現ができる環境)であったり、アバターの経験値に転換したりなど、オンチェーン情報を使ってどのようにして面白いメタバースを作るかというプロジェクトを進めています。以前はアメリカが拠点でしたが、現在は結構ノマドのような環境で、明日からパリへ行ったり、チームもドイツ、L.A.、シンガポール、日本に分散しています。よろしくお願いします。

田中氏:よろしくお願いします。

早速ですが、本セッションのテーマである、なぜ海外でやっているのか、なぜその国を選んだのかをお伺いしたいと思います。

いきなり海外で起業する人もいれば、元々海外と接点やベースがあった人もいると思います。実は僕も日本にはずっと住んでいなくて、元々カナダやアメリカで起業した経験があって、それからベンチャーキャピタルを始めました。

登壇者の皆さんは現在のプロジェクトが始まる前にすでに海外との接点がありましたか?

窪田氏:僕は2016年頃から、botter(自動トレード)をやっていて、当時の拠点は日本でした。その時から色々なチェーンを触り始めていて、海外に拠点を作ったのは、いわゆるWeb3と呼ばれるようになってからです。僕らの専門であるDeFiが、日本ではかなり相性が悪くて、海外拠点を作らざるを得ないという考えに至り、海外に進出しました。

田中氏:もともと日本にあったチームが海外に出ていったパターンですか?

窪田氏:やっている事業としては近い事業をやっているので、会社としては別で活動していて、メンバーも日本にルーツがある海外メンバーが多いです。

田中氏:ちなみにコアチームは何人くらいで、日本人の割合はどのくらいでしょうか?

窪田氏:現在10人程で、東京のメンバーが3人です。半分くらい日本人ですが、他のメンバーとはほとんど会ったことがないです。

田中氏:プロジェクト内では、Slackのようなコミュニケーションツールでチャットしてると思いますが、その時の言語は何ですか?

窪田氏:チャットはSlackで、Kiaraという自動翻訳アプリがあって、基本的な文章に関しては、自動翻訳した各言語で行っています。意外と実装などの開発周りはそんな問題はないですが、ビジネスデべロップメントになると、言語を合わさないといけないですね。

田中氏:機械翻訳が使えるので、英語ができなくても、海外の人と一緒に仕事ができる世界になってきたと思いますか?

窪田氏:そうですね。もともとブロックチェーンまわりの事業を行っていて、当時は、海外メンバーと一緒にチェーンビルドしていくというイメージは全然なかったのですが、半ばやらざるを得ない状況で、実際に始めてみると全然問題ないです。

田中氏:続きまして、Tsujiさんは、今回のプロジェクトが始まる前に海外との接点はありましたか?

Tsuji氏登壇写真

Tsuji氏:僕はまだ学生なのですが、交換留学中に起業しました。場所はアメリカのサンフランシスコです。起業ビザは取得しづらいので、ビザが取得しやすい交換留学を選びました。給料は頂いていませんが、会社を作ること自体は誰でもできるので、去年の8月に渡航して、現地のスタートアップやミートアップにたくさん行きました。現地では、ほとんど全員がクリプトの話しかしていませんでした。

僕は以前日本のベンチャーキャピタル2社で2年程インターンをしていたので、日本のスタートアップの状況はある程度把握していました。当時は、バーティカルSaaSや、結構狭いところに特化したSaaSなど、細分化されていて、若者がやる領域があまりないと思っていました。

そんな中でアメリカに行ったら案の定まだ未開拓の領域で、実験段階のクリプトという面白いことをやっていたので、この領域で何かやってみようと決めました。去年の8〜9月くらいから色々なカンファレンスへ行って、今年の1月に会社登記いたしました。

田中氏:とりあえず箱を作ったんですね。

Tsuji氏:1月1日に作りました。

田中氏:現在のプロジェクトのコアメンバーは何人くらいで、チームの国籍比率についてもお伺いしたいです。

Tsuji氏:今は7〜8人です。日本と海外が半々くらいです。ヨーロッパルーツの人が1人、L.Aから.1人、サンフランシスコから1人で、あと1人新しくセールスに入るかもしれないです。

田中氏:チーム内でのチャット言語は何ですか?

Tsuji氏:英語と日本語の両方が混ざっていますね。後からグローバルでログを辿れるようにする目的で、デベロッパーのチャンネルは基本的に全部英語にしようとしています。

田中氏:窪田さんのところのように、チャットの翻訳ボットは使っていないのですか?

Tsuji氏:一度は入れたのですが、チーム全員が英語を使うことができるので、チャット上では使わない方が効率がいいと思います。

田中氏:対話ではなくて、チャットだったらということですか?

Tsuji氏:チャット上であれば文字なので、ピクセルアーティストも含めて全員が英語を使うことができるのはありがたいです。実際ミーティングになるとスピーキングが難しいので、それは仕方がないと思っています。

田中氏:スピーキングが難しいとおっしゃられていましたが、実際に海外で起業して、海外チームと一緒にやって良かったこと、大変だったことなど、裏話を教えていただきたいです。では窪田さんからお願いします。

窪田氏登壇写真

窪田氏:良かったことは、国籍、人種、言語関係なく一緒にゴールを目指せるチームメンバーで構成できていることです。苦労したことは、日本に関連することはほとんど苦労しています。

田中氏:それはリーガル関連ですか?

窪田氏:リーガルもそうですし、税金もそうです。

もともと日本で会社をやっていて、日本で主なビジネスを行う場合は、税制面とリーガル面を別エンティティで考えるという概念がありません。でも、Web3だとそれが当たり前ですよね。OTCでのカウントはドバイでのエンティティで、ファンドはスイスだったり、パナマのファウンデーションをトークン所持したり、BBIをトークン発行したりするのが当たり前になっています。それが数週間、数か月でスタンダードが変わるので、そちらに合わせていくのが大変です。

田中氏:それでは簡単に日本におけるリーガルと税金の問題について説明していただけますか?

窪田氏:税制については、いわゆる期末の含みが、トークンを発行している場合は含み益として換算されます。

田中氏:実際に利益確定していなくても、期末にトークンを保有しているだけで課税されてしまうということですね。

窪田氏:ですので、キャッシュフローがかなり悪くなる部分があります。あとはガバナンストークンの発行についてもリーガル的に明確化されていないので、日本の法律上ではかなりグレーです。DeFi領域は一番相性が悪くて、アンチマネーロンダリングの観点においても、現状のDeFiは法律が整備されているわけではありません。お金を洗いやすいような市場になっているので、日本では難しい領域だと思います。

田中氏:ありがとうございます。では続けて、Tsujiさん、海外で起業してみて、良いことも悪いこともあったと思いますが、その感想を聞かせていただけますか?

Tsuji氏:僕は楽しいと思っています。クリプト業界に参入する前とその後で世界の広がり方が全然違います。以前は海外に行ったことが全然なかったのですが、クリプトを始めてからは毎月どこかに行くので、本当に楽しいです。現地でまた新しい出会いがあり、ヨーロッパの方がオープンソースの思想が強いとか、色んな情報が入って、よりグローバルに物事が理解できるようになって面白いです。

田中氏:積極的にそのようなコミュニティイベントなどに参加していますか?

Tsuji氏:はい。そうですね。僕自身はデベロッパーではないので、その利点を意識してコミュニティイベントにも参加しています。やはり参加すると視座が変わります。日本にいるときは日本の市場をどう切り抜くかしか考えられなかったんです。ディスカッションしている時も手前みそな課題をどう解決するかという、視野の狭い小さなことしか考えられませんでした。ですが、今はグローバル最前線の人たちが考えてることや、彼らが実験していることが何なのかを、かなり近い距離で知ることができるようになって、面白いと思っています。

田中氏登壇写真

田中氏:今回のクリプト第2次ブームの波は、ちょうど新型コロナウイルスの流行時期と被っていると個人的に思います。DeFiの夏もちょうど新型コロナが流行り始めた時にきましたし、去年のGameFiの流れもコロナ禍のロックダウンの最中でした。そういった時によく出てくるキーワードして、リモートがあると思います。

たまたまなのですが、うちのファンドのメンバーにCurvの中の人がいます。Curvというのは、業界トップクラスのDeFiプロトコルのことです。金融業界で言う、お預かり資産に近いもので、実際にプロトコルにロックされているバリューが大体2~3兆円を行ったり来たりしているくらい大きなプロトコルなんです。

そのチームと話して驚いたのが、Curvのコアメンバーが5人しかいないことです。実は僕らはWeb3だけではなく、Web2のフィンテック企業にも投資をしています。例えば、日本で今お預かり資産6000億円弱の管理をしているウェルスナビというロボアドバイザーの会社にも投資しています。そちらでは、5~6000億円のお金を預かるのに、数百人体制で構えているます。その一方で、Curvの人は5人でやっていて、非常に驚きました。さらに衝撃を受けたのが、皆リモートでやっていて、5人は1回もリアルで集まったことがないことです。

実際皆さんの感覚では「リアルで皆集まる」対「ほぼ完全にリモート」という観点ではどのようにお考えですか?

窪田氏:僕はリアルで集まる必要はないと思っています。よく会社で、個人のパーソナリティを聞く会話がありますが、あれもまったく要らないと思います。飲みニケーションというもの自体に否定的です。

田中氏:日本では、重要視されていますよね。

窪田氏:前職はそういうのが大好きな会社だったので、合わなかったです。

田中氏:アンチ飲みニケーションタイプだったんですね。

窪田氏:いわゆるJTC(Japanese Traditional Company)が苦手でした。なので、今は凄く気楽です。相手の人種や性別を気にしなくてもいいですし、相手のパーソナリティにお互いに深入りしなくていいので、とても働きやすいです。結果さえ出せれば、相手がどんな人でも関係ないと思います。飲みニケーションをすることによってパフォーマンスが上がるのであればやるかもしれませんが、きっと変わらないと思いますし、プラスにならないので、やらないですね。

田中氏:TsujiさんはJTCに関して、どう思いますか。

Tsuji氏:僕は会社で働いたことがないので明確にはわからないですね。

IndexCorpなど色々なところに去年から入っていたのですが、リモートでも全く気にならないです。性別も分からないので、一緒に働くと言っても、そういうのは見なくていい、容姿を気にしなくていいですし、このようにアンノウンで働けるというところが新しいですね。

田中氏:今のメンバー全員に会ったことはありますか?

Tsuji氏:今はもう対面で会いましたが、最初は、Zoomで会った程度でした。さすがにコーファウンダーとして責任のレベルが上がると、観点も変わります。相手がどういう人で、何がしたいのか、何が動機で僕と一緒にやろうと思ってくれているのかというところをお金以上に気になります。ただ彼らも所属していた会社を辞めてくれたんです。

田中氏:コーファウンダーはどこの国の方ですか?

Tsuji氏:コーファウンダーは2人とも日本人なのですが、そのうちの1人はデベロッパーとして海外とも働いたりしている人です。2人とも、一回も会ったことのない僕と仕事をしたいと勤めていたホワイトな会社を辞めたことに対して、とてもありがたいと思いましたし、これがWeb3だという感じがしました。

登壇者集合写真

田中氏:窪田さんは、今のメンバー全員に会ったことはありますか?

窪田氏:ほぼ会っていないですね。もともと知り合いの日本人には仕事の関係で会ったことはあります。ですが特に会いたいとも思わないです。

田中氏:会いたくない?

窪田氏:会いたくないわけではないですが、会うことによって自分の中で何も変わらないので、特に会う必要はないです。

田中氏:そういう意味だったら、別に相手が人間じゃなくてもいいんですか?

窪田氏:別にそれでいいと思います。結局プロダクトは人間が関わらなければ関わらないほど美しいので。

田中氏:なるほど、ありがとうございます。

次の質問に入りたいと思います。色んな界隈で話されている、海外と日本とのWeb3の違いは何かについてお聞きしたいと思います。最近、日本ではWeb3というキーワードが広まってきていますが、実態が海外とはかなり違うと違和感を持つ人の声も多々聞いています。

これについて2人はどのように感じますか?

窪田氏:見ているジャンルや時流が違うと思います。

先月のコンセンサスであれば、皆ZK(ZKロールアップ)の話だったり、SBT(Soulboundトークン)といったテクニカルな話をしていましたよね。

少しあとのNYCのイーサカンファレンスの時も似たような話をしていて、デモもSBT系がとても多かったんです。一方で、日本の市場を見ると、NFT関係の話だったりが多いので、そもそも時流だったり、捉えている部分だったり、中長期でどういうプロトコルを普及しようとしてるのかという思想が全く違うと感じています。

田中氏登壇写真2

田中氏:僕も同感で、NFTが良い悪いという話ではなく、NFTのコミュニティもあるべきなのですが、日本ではNFTに比べてデベロッパーのコミュニティが弱いと思います。作っている開発者の人口が少ないのか多いのかは分からないですが、Web3に関わっているデベロッパーのコミュニティがまだまだ海外と比べると小さいと思います。それが実際にZKの話をする人がいる、いないというところにも影響していると思います。

Tsujiさんはアメリカ留学中にコミュニティイベントに色々出ていますよね、どう思いますか?

Tsuji氏:仕方ないというのが正直な考えです。明日参加するイーサパリス、EthCCもかなり面白いイベントで、StarkNetが初めてターゲットになります。StarkNetはZK-Rollupのレイヤー2ですね。こういうイベントがとても面白いと思っていて、僕は海外VCに呼ばれてるので行きますが、そこには皆行かないですよね。でもNFT.NYCには皆よく行くというところで明らかにずれがあると思います。

田中氏:確かに同じイベントでも、NFT.NYCとパリで行われるイベントは、かなり中身が違いますよね。

Tsuji氏:そうです。例えば、10月にDevconがコロンビアであります。Devconのようなところには面白いデベロッパーやコアな人がいると思います。そういう場にあまり日本人がいないので、結果的にそこでずれが生じているという印象です。ただそれは良い悪いの話ではないと思っていて、僕は日本だとクリエイターのコミュニティは非常に強いと思います。

田中氏:それはNFTと直結してますよね。

Tsuji氏:はい。それが本当にすごいと思います。それこそコミケに来場者数数十万人とかって、おそらく日本だからこその話だと思っています。日本独自のトレンドを、逆に海外のRTFKT(アーティファクト)のBenit0さんが、日本のクリエイターすごいよねと言っていましたよね。その点では、クリエイターのコミュニティの強い繋がりは逆に日本にしかない強みなのではと思います。海外のトレンドが全てだと海外を追うことに注力するよりも、あえて異なる方向性に行ったほうが日本は面白くなると思っています。

田中氏:日本が得意なこと、日本の強みの分野に振り切った方がいいかもしれないですね。

NFT.NYCは1万5000人程参加者がいたんですかね?

Tsuji氏:それくらいじゃないでしょうか。去年、僕が行った時は1500人程だったので、10倍になっています。

田中氏:それに対して、コミケは50万人。

Tsuji氏:すごいですよね。

田中氏:ちなみに、我々の投資先のYGジャパンがブロックチェーンゲームの仕切りを東京ゲームショウでやることになったのですが、来場者数は300万人だそうです。NFT.NYCの20倍の規模感なので、もしかしたらここに日本の強さが隠れてるかもしれないですね。

ここから会場入りが遅れていましたHarasawaさんが到着いたしましたので、早速セッションに参加頂きます。Harasawaさん、自己紹介をお願いします。

Harasawa氏登壇写真

Harasawa氏:モノバンドル株式会社の代表を務めておりますHarasawaと申します。弊社ではNFTのインフラツールのHokusaiと、コード監査の事業のSuperAuditという二つの事業を進めております。現在ヨーロッパ拠点の立ち上げを考えておりまして、オランダ法人の設立を進めているという状況です。よろしくお願いします。

田中氏:なぜオランダ法人なのですか?

Harasawa氏:シンガポール、ドバイだと、クリプトの税制が優遇されていると思いますが、クリプトの税制は2年単位で頻繁に変わる傾向にあります。そうなると2年おきに国を変えたりとか、どこにエンティティを作るのかを変えなければいけないという難点があります。そんな中で、オランダはヨーロッパの入り口として日本の総合商社なども支社を置いていますよね。伝統的な節税の、ダッチスキームと言われるスキームで、GAFAなども使ったりしていて、もう数十年使われているスキームであれば頻繁に変わることはないだろうと思いました。なので、西洋に進出することを考えた時に、持株会社、ホールディングスのような形で展開していくにあたり、オランダというのは一定の合理性があると思い、オランダに決めました。

田中氏:あえてシンガポールやドバイのトレンドを追うのではなくて、安定したリーガルストラクチャーを目指したということですね。

最後に会場より質問をお受けしたいと思います。質問される方は、簡単に自己紹介してから質問をお願いします。

質問者:大手町でコワーキングスペースの運営を手伝ったり、これからWeb3のプロダクトを作っていこうとしているアイスクリームという会社のナリタと申します。2点お伺いします。

まずは、グローバルでDay1からWeb3のプロジェクトを進めていく中で、セールス&マーケティングの戦略、いわゆるユーザーを獲得していく秘訣を知りたいです。次に、採用について。世界でDay1からいきなりはじめるためにエンジニアやマーケターを集めていくには、どこでどのように進めるべきかについてお話をお伺いしたいです。

田中氏:順番にセールス&マーケティングから行きましょう。海外での集客マーケティングについてどう思いますか?

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窪田氏:僕らはベータ前で、SNSはフォロワーが10万人くらいいて、元々海外でどうトークンエコノミクスというか、エコシステムを使って集客していくのかについては、設計の段階から考えていました。わりとそれが刺さったのかなと思います。

田中氏:具体的に何が刺さったと思いますか?

窪田氏:少し前に流行っていたギブアウェイのカルチャーにどう刺していくのかを設計上考えていました。SNSのフォロワー数は実態が伴っていない数字なので、そこまで重要ではないと思っていました。ですが、色んなプロダクトについてVCと話してる時に、ベータ版もなくてまだLPしかないプロダクトをスキャムかどうか判断する時に、フォロワー数を見られていることがあります。なので、まず箱が必要だと思い、ギブアウェイでフォロワーを集めていって、今は10万人くらいいるので、スキャムではないという証明のための材料として活用していました。

田中氏:ゼロから10万人を集めるまで、どのくらいかかりましたか?

窪田氏:実際やり始めて、2〜3カ月くらいですね。思ったよりも早かったです。タイミングが良かったのかもしれません。いわゆる夏が終わる手前だったので、もう少し後だったら全然刺さらなかったと思います。

田中氏:タイミングも重要ということですね。

窪田氏:重要です。あとは、他のプロダクトのファウンダーにKOL(キーオピニオンリーダー)を紹介していただいて、その方に他の方を紹介していただくということもありました。

田中氏:最後に、チームの集め方、HR的なところ、これをTsujiさんかHarasawaさんからコメントいただけますか?

Tsuji氏:Curvも人が少ないですし、少人数でやっているので、大量採用するというよりは、ちゃんとイケている人をどう捕まえるかが鍵だと思っています。皆、既に結構お金を持っているので、そのような人たちが何が動機で弊社に来たいと思っているのかををよく見ています。彼らが面白いと思う領域、チャレンジしていきたい領域をやることで、人が集まると思います。

田中氏:お金だけでは釣れないということですね。

Tsujiさんはそういう人たちを口説くときに、どのような口説き文句で口説いているんですか?

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Tsuji氏:Eboyさんという世界で有名なピクセルアーティストがうちのチームに入っているのですが、その方がチームに入ってきた時に感じたこととして、話すことが大事だと思います。僕はDMして、2~3回話してというような流れで口説くみたいなことをやっていました。

田中氏:DMで口説いたんですか?

Tsuji氏:DMですね。DMでフックポイントを作って、僕がやりたいことや何が面白いかなどを話しました。彼らとどういったシナジーがあるかを話して、あとは条件の整理ですね。お金とかの話は最低限整理するレベルです。

田中氏:コーファウンダークラスの人を口説くためには、今時どのような条件を出さないといけないのですか?

Tsuji氏:それは分からないですね。正直タイミングにもよると思っています。その人がどれだけ優秀で興味があっても、タイミングが合わなければ元も子もありません。それこそお子さんが生まれたばかりであったり、DeFiは厳しいなどの条件もあったりするので、コーファウンダークラスはわりと数を打たなければいけないと思います。

田中氏:1人のコーファウンダーを得るために、かなり弾を打ってきたんですね。

Tsuji氏:そうです。ある程度このような人がいいという条件を自分の中で決めた上で、それに該当する人を探して、自分が一番いいと思う人を連れてくるという感じです。

田中氏:一人を選ぶのに何人くらいと話しましたか?

Tsuji氏:うちは運が良くて、この人がいいと決めていた人を口説いたら、たまたま彼らとタイミングが合い口説けたのですが、他にも何人か候補はいました。

田中氏:ありがとうございます。Harasawaさんはいかがですか?

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Harasawa氏:ありがとうございます。私は何回でも口説き続けるということをやっています。Tsujiさんと同じで、絶対この人と働きたいという人がいたら、目が合ったら、いつになったら働いてくれるんですかということを話したり、DMを送ったりしています。

嫌がられないレベルでやるというのが大事だと思います。あくまでも面白いと思ってくれている状態で、何回でも口説きに行くと、そこまで言うんだったらという雰囲気になります。そこから先は少しずつ始めてみましょうというところから、チームとして誠意を見せればどんどん面白いと思ってくれると思います。

田中氏:最初はコーファウンダーよりもゆるい形で協力してもらって、後々気付いたらコーファウンダーになっているという感じですか?

Harasawa氏:そうですね。声をかけて口説いてみて、少しなら…みたいになったところで、誠意を積み上げていくと、だったらもっとやってやろうと思ってくれたりもします。なので、筋を通すのが一番大事だと思います。

田中氏:ありがとうございます。これで今回の海外での起業セッションを終わりにしたいと思います。

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