2019年8月29日、ブロックチェーンコミュニティイベント「CryptoBowl」にて弊社の東口が登壇しました。「ブロックチェーン業界のキャリア座談会」と題して開催された今回のイベント。業界内の各方面で活躍する登壇者が、参加者の疑問・質問に答えたQAセッションの様子を中心にお届けします。
目次
- 1 Q. ブロックチェーン業界で求められる技術とは具体的にどういうものですか?
- 2 Q. どのような方法でブロックチェーンの勉強をされましたか?
- 3 Q. ブロックチェーン開発といっても、Webアプリケーション開発の割合が多いと思うのですが、実際の業務でブロックチェーン周りを触れる割合はどれぐらいでしょう?
- 4 Q. それ本当にブロックチェーンで実装する必要があるの?RDB(リレーショナルデータベース)でよくない?という案件が多いように思います。どう対応していますか?
- 5 Q. 取引所を除くとブロックチェーン業界においてBtoB以外のマネタイズのモデルが見えていないんじゃないかと思うのですが、なぜBtoCに転職する人がいるんでしょうか?
- 6 Q. これから数年後、ブロックチェーンエンジニアの需要はかなり増えることが想定されるでしょうか?
- 7 Q. 実際ブロックチェーン業界で働いていて既存の業界とのギャップを感じたりしますか?
- 8 Q. ブロックチェーンエンジニアはハイレベルエンジニアの募集はかなりありそうですが、並みレベルのエンジニアから業界に入り成長していくルートはありますか?
- 9 Q. 各社の展望をお伺いしたいです。
登壇者紹介
牧迫 寛之(まきさこ ひろゆき)氏
LayerX株式会社 / 取締役
大阪大学法学部卒。グリー株式会社に新卒入社し決済システムの企画・プロジェクトマネジメントやマーケティング等に従事。2014年より株式会社Gunosyに参画。新規事業開発室にて複数の事業開発を推進後、投資先であるインドネシア・ジャカルタにて事業会社のVPoPとして3年間のハンズオン支援。 帰国後の2018年、LayerXの立上げから参画。
野上 慎一郎(のがみ しんいちろう)氏
株式会社Aerial Partners / リードエンジニア
慶応義塾大学卒業後、フューチャーアーキテクトや、DeNA、スタートアップでエンジニアとして経験を積む。2018年1月より株式会社Aerial Partnersにジョインし、仮想通貨の損益計算ソフトGtaxのサービス開発に携わっている。
東口 航大(ひがしぐち こうだい)氏
株式会社withB / Manager
慶應義塾大学理工学部中退。 神戸のWEBコンテンツスタートアップに入社し、WEB担当としてフロント開発やマーケティング等に従事。 2014年より独立してWEB開発と広告代理業を経験後、2018年1月に株式会社withBの創業メンバーとして参画。現在は転職コンサルティング・事業企画・WEB開発など幅広く手がける。
QAセッションモデレーター
望月 裕也(もちづき ゆうや)氏
22歳で起業後、譲渡。DeNAを経て現在はWEB広告企業にてFintech責任者を担当。ブロックチェーンのコミュニティイベント主催、ブロックチェーン関連スタートアップのアドバイザーなども務める。
イベントの前半で登壇者からの発表。後半で参加者からの質問に答えるQAセッションが行われました。前半の発表では、まず弊社withBの東口が登場。現在仮想通貨・ブロックチェーン業界で求められる職種やスキル感などを説明しました。その後、株式会社Aerial Partnersの野上氏とLayerX株式会社の牧迫氏が、企業説明と社内の様子、求める人物像について語りました。この記事では後半のQAセッションの様子をまとめます。
各社の発表資料
Q. ブロックチェーン業界で求められる技術とは具体的にどういうものですか?
野上:ブロックチェーン業界の中でも様々なジャンルがあるので、それによって変わってくると思います。たとえばウォレットを開発している業者さんだとウォレットを構築するための技術であったり、我々だとブロックチェーンを参照する技術といったところが必要になってくる。なのでブロックチェーン業界でひとくくりにこれ!というのは難しいですが、基本的にはWeb系かなと思います。
東口:言語に関してはJava、Ruby、Goが結構多いですね。一部の企業さんでPHPやnode.jsなども。コア開発をやっている企業では、低級言語も必須になっています。ブロックチェーンを直接扱わないポジションも多いので、例えばモバイルアプリのエンジニアでAndroidだったらKotlin、iOSだったらSwiftといったところが出来ればOKなポジションもあります。
牧迫:弊社はサーバーサイドから転向してきた方が多いということもあり、Goを書く人は多いです。あとはJavaを使う人も多いので、この2つが結構社内で使われてる印象ですね。
Q. どのような方法でブロックチェーンの勉強をされましたか?
東口:まずビットコインを買ってみたというところがスタートで、そこからは本を読んでひたすら情報収集しました。特にこの業界に入ってからはツイッターを結構見ていますね。仮想通貨・ブロックチェーンに特化したメディアもあるので、そのあたりで効率よく最新の情報が取れるようになってきているのかなと思います。
牧迫:代表の福島よりブロックチェーン事業への異動を受けたタイミングで、オススメの書籍を紹介してもらい、読みました。また、CryptoZombies(クリプトゾンビーズ:ゲームをしながらスマートコントラクトで必要なプログラミング言語Solidityが学べるオンラインレッスン)もやりました。
直近でいくと、弊社でニュースレターを配信しており、社内メンバーの専門に合わせてテーマを分担し、週1で世界の動向も踏まえて界隈の情報をアップデートしています。なのでそのニュースレターを読んで勉強することも増えていますね。
野上:サトシナカモトの論文を読むのもすごく大事だと思います。一次ソースに触れるのが、学びとしては一番多いのかなと感じますね。
望月:サトシナカモトの論文は技術的な要素とか概念も詰まってるので、ブロックチェーン業界に興味がある方は必須で読んだ方がいいかもしれませんね。難しくてわからないのでは?と思う方もいるかもしれませんが、解説も結構ネット上に出ています。ぜひ読んでみてください。
Q. ブロックチェーン開発といっても、Webアプリケーション開発の割合が多いと思うのですが、実際の業務でブロックチェーン周りを触れる割合はどれぐらいでしょう?
野上:私の場合で言うと全体の5%ぐらいかなと思います。ビジネスとしてWebアプリの開発は必須ですので、その開発のかたわら、R&Dで自分で勉強したりという感じですかね。
牧迫:ブロックチェーンを触る割合は案件にもよります。どのサービスも結局フロントは作らなければならないので、ある程度ブロックチェーン以外の部分もありますね。
東口:取引所など人数の多いところだと業務分担されてることが多く、結構役割が細かく別れていたりします。その中でもブロックチェーンを触る人というところでいくと、ウォレットを作るエンジニアであったり、入出金の部分のエンジニアであったり、あとは新しい通貨の研究をするリサーチエンジニアというポジションもあるので、その辺りだと触れる割合が高いのかなという印象です。
Q. それ本当にブロックチェーンで実装する必要があるの?RDB(リレーショナルデータベース)でよくない?という案件が多いように思います。どう対応していますか?
牧迫:弊社としては、「意味がないのならやらない」というスタンスにしています。企業としてはお金を払って意義あるものを作りたいというのが根幹にあります。そこを無理に歪めてしまうと、逆に「ブロックチェーンは使えない」といったイメージが広まってしまう事にもなりかねないので、そういった場合にはきちんと「ブロックチェーンを使う必要はない」と言う事実をお伝えしていますね。
Q. 取引所を除くとブロックチェーン業界においてBtoB以外のマネタイズのモデルが見えていないんじゃないかと思うのですが、なぜBtoCに転職する人がいるんでしょうか?
東口:まず資金調達をして、サービスローンチ後例えば1年くらい経っても資金調達したお金だけでやっているというところもあったりします。そういうところはいずれサービス自体がうまくいけば問題ないわけです。その先サービスが大きくなっていってマネタイズできるところを夢見て入っていくという人もいますね。BtoCのサービスだけが世の中に出ているけれども、プラスでコンサルティングもやっているという企業もあるので、そちらで利益を出しているパターンもあります。
Q. これから数年後、ブロックチェーンエンジニアの需要はかなり増えることが想定されるでしょうか?
東口:今から学習始める方によく「3年後狙ってもいいですか?」というような事を聞かれることが結構多くて。でも正直こればっかりは保証できないので、わかりませんとしか答えられないんです。ただ少なくとも我々はそうなる未来を信じてやっています。
また、ブロックチェーンのサービスがどこまでいけるかと、ブロックチェーン・仮想通貨自体がどこまでいけるのかという話は別物だと思っています。サービスは結局マネタイズが難しかったという結論になる会社も出てくるかもしれません。ただ、じゃあビットコインが終わりなのかっていうと全然違う話ですよね。ビットコインはこのあとも市場拡大していって、そうするとビットコインのコアな開発者は必要になるので、ブロックチェーンエンジニアの需要は消えることはあまりないと思います。
Q. 実際ブロックチェーン業界で働いていて既存の業界とのギャップを感じたりしますか?
東口:世の中に人材会社はたくさんありますが、半袖短パンで営業に行けるのはこの業界特化の特権かなと思っています(笑)。
牧迫:すごく目まぐるしく変わっていく業界だなと言う感覚はあります。法律なども絡んでくるので、それを頭に入れながら事業を考える必要があります。
野上:社内では社員同士でずっとビットコインなどの話をしているんですよ。でも一度会社の外に出るとそういう話は一切しない。そういうところで世間とのギャップを感じるところはあります。逆に言うと、好きな人にはすごく合うんじゃないかなと思います。
Q. ブロックチェーンエンジニアはハイレベルエンジニアの募集はかなりありそうですが、並みレベルのエンジニアから業界に入り成長していくルートはありますか?
望月:要は即戦力が求められてるのか?勉強する時間を与えてもらえるのか?というところだと思うのですがどうでしょう?
東口:中途採用というところでいうと、基本的に難しいと思います。ブロックチェーンに関わるとなると、エンジニアとしての通常の仕事プラスして深堀りが必要なので、求められるレベルは上がります。少ない人数でやっている企業が多いので、それなりに自走力持ってる方が求められますね。規模の大きな企業になると、ブロックチェーンエンジニア候補という形で、まだ勉強中だけども最低限プログミングができる方であればという募集もたまにあったりはします。
また、C向けで大規模なトランザクションを実際にさばいていたり、運用力のある方が力があると言われることが多い印象があります。例えば他業界を一回踏んでからくるのであれば、C向けの大規模サービスの開発に関わってこられることが理想的です。
牧迫:弊社のメンバーでいうと、もともとフルスタックみたいな人が多いですね。例外的に、インターンで入ってもらっている大学生で飲み込みが早いといった場合には、どんどん関わってもらうような判断をしたりしますが、そうでない限りはなかなか追いつけないと感じることが多いです。
野上:ブロックチェーンの部分は自らキャッチアップしていくというところが必須になると思います。業務的に忙しいというのもあるので、自走力は重要ですね。
Q. 各社の展望をお伺いしたいです。
東口:実はwithBの創業メンバーは人材業界の経験は一人もおらず、純粋にこの業界に貢献したいという思いでスタートしています。業界特化の人材紹介会社とはいえ、紹介できている人材はまだまだ十分な数とは言えません。ここからこの業界に入ってくる人たちを一人でも増やして、満足に開発ができたりサービス運用ができるような状態になって、ブロックチェーンのサービスが各社うまく回るようになり、業界全体が発展していけばいいなと思っていますね。
牧迫:ブロックチェーンは技術として非常におもしろいですし、使い方によっては意義の大きいものになると確信しています。社内で「Beyond PoC」といっているのですが、直近1-2年ぐらいを節目と捉え、しっかり実績を出し、この技術が社会実装されていくようにできればと思います。
野上:弊社のサービスはもともとtoCから始まりましたが、toBのお客さんも増えてきました。それはブロックチェーン業界が発展してきているからこそだと思います。なのでここをしっかりと盛り上げていきたいなと。そして顧客とWIN-WINの関係を築けていければいいなと考えています。
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