戌井 海(いぬい うみ)氏
S.BLOX株式会社 カスタマーサポート部長
2004年、ソニー銀行株式会社に入社し、事務企画・管理、コンプライアンス、経営管理など顧客応対のバックオフィスから会社の内部管理業務まで幅広く経験。直近では、2023年まで事務センター・インターバンクのバックオフィスの責任者として、効果的な業務推進や品質向上に取り組む。その後、ソニーグループ株式会社を経て、S.BLOX株式会社の立ち上げに参画し、これまでの経験で培った業務知識や組織開発の新たな挑戦を続けている。2023年、カスタマーサポート部長に就任。
村山 智一(むらやま ともかず)氏
S.BLOX株式会社 カスタマーサポート部
2017年に証券会社で金融商品の営業職としてキャリアをスタートし、投資商品の提案を通じて顧客との信頼関係の構築に貢献。2018年には子会社の暗号資産交換業者に参画し、バックオフィス業務に加えて投資助言サービスの立ち上げや業務改善に成功。この経験を通じて、暗号資産の可能性を実感し、金融業界における新たな挑戦を志し、2021年にS.BLOX株式会社に入社。「S.BLOX」のサービス立ち上げに参画し、口座開設審査、お問い合わせ対応、顧客管理、分別管理、資産管理に従事。一貫して顧客との良好な関係を築くために邁進している。
藤本 真衣(ふじもと まい)氏
withB共同創業者 INTMAX共同創業者 Japan Blockchain Week発起人
2011年にビットコインと出会い、国内外で暗号資産・ブロックチェーンの普及に尽力。ミスビットコインというニックネームで親しまれてきた。日本最大級のブロックチェーンカンファレンスであるJapan Blockchain Weekの立ち上げや、Japan Blockchain Associationの顧問を務めるなど、業界の発展に寄与。日本初の暗号通貨による寄付サイト「KIZUNA」や、ブロックチェーン領域に特化した就職・転職支援会社「withB」、ブロックチェーン領域に特化したコンサルティング会社「グラコネ(Gracone)」を創業。現在はスイスを拠点に、イーサリアムのレイヤー2であるINTMAXを共同創業し、新たなイノベーションに取り組む。
目次
Web3・暗号資産との出会い
藤本氏:最初の質問は、私がいつも一番気になって聞いてみたい質問なのですが、Web3、ブロックチェーン、暗号資産に興味を持った理由やきっかけなど、それぞれ教えていただけますか?

村山氏:学生時代に友人からビットコインの存在を教えてもらい、実際に購入してみたことが暗号資産に興味を持つきっかけでした。当初は投資対象としての関心が主でしたが、調べていくうちに法定通貨や資産のデジタル化、そしてブロックチェーン技術の革新性に魅了されました。これらの技術がもたらす未来の可能性に強く惹かれ、自然とWeb3や暗号資産の世界に深く関心を持つようになりました。
藤本氏:なるほど。学生の頃からということで。その時は、いろんなコミュニティがある中で、少し怪しさもあったのではと思うのですが、新しいイノベーションに入っていくことへの不安とか、ちょっと怪しい雰囲気みたいなものがある中で、それでも確信の方が上回ったからこの業界に入ったのですね。
村山氏:そうですね、学生時代から暗号資産に対して偏見がなく、その革新性に魅了されていました。確かに、当時は新しい技術に対する不安や疑念もありましたが、私はその可能性に強く惹かれていました。証券会社に在籍していた際、暗号資産交換業者への参画の打診を受けたときも、その未来への確信が上回り、自然とこの業界に飛び込むことができました。新しいイノベーションに挑戦することは常にリスクを伴いますが、その分大きな成長と可能性を感じています。
藤本氏:戌井さんはどうでしょうか?
戌井氏:私は元々ソニー銀行で働いていて、2023年からS.BLOXに来ています。それまでは正直、暗号資産にはあまり関心がなく、どこか他人事のように思っていました。
限られた人たちの特殊な世界という印象でしたが、実際に携わってみると、そこまで特別なものでもないのかなとも感じました。
一方で、この業界にどんな可能性があるのかはまだ私も掴みきれていなくて、この先もっと分かっていくのかな、という風に今は感じています。
S.BLOXの働き方 ― やりがいと日常業務
藤本氏:次の質問ですが、お仕事のやりがいや楽しさ、大変なところなどを、1日の流れや日々の業務の流れを踏まえてお聞かせいただけますか?

戌井氏:私たちカスタマーサポート部は、名前の通りお客様への対応と、いわゆるオペレーション業務を担当しています。電話対応はありませんがコンタクトセンターの機能と銀行などでいう事務センターの機能とを併せ持っています。
分別管理などお客様からお預かりしている資産の管理、暗号資産の在庫管理も私たちの業務です。暗号資産の会社と聞くと、先進的でデジタルなイメージがあるかもしれませんが、実際には意外と地味なところもあります。私の銀行員としての経験からは、お客様に安心してご利用いただくために暗号資産を取り扱うことに対してきちんと手順を踏んで進める点など、統制に係る部分はお金を取り扱うことと共通することが多いと思っています。
私たちの業務としては「1日」が繰り返されているという感じが強いです。またそういったルーティンの業務を行いながら、同時にプロジェクト対応のような、考えてつくる業務も行っています。
1日の流れとしては、まずは分別管理にかかる業務としてお客様からお預かりしている暗号資産と法定通貨の計算をし、適正に管理されていることを確認します。そして、前日の取引に応じてカバー先との清算を行います。また、お客様からのお問い合わせ、口座開設のお申し込み等の状況を確認し、これらを処理していきます。24時間対応ではありませんので、朝出社してからその日の状況などを確認して、そこから作業を始めます。また夕刻には、送金事務も行っています。その他、月次など定期的に行う業務も併せて進めていきます。
私はお客様との応対について相談を受けることもありますし、オペレーターとして各種オペレーションを行うこともあり、メンバーと一緒に作業することも多い現場です。
村山氏:私の仕事のやりがいは、人とのコミュニケーションにあります。朝は分別管理、口座開設審査、お客様からのお問い合わせ状況を確認し工数管理とオペレーションを行います。その後は社内の関係部署等とのミーティングや進行中のプロジェクトの調整業務を行います。お客様や社内の問題を解決し、感謝の言葉をいただける瞬間に大きなやりがいを感じます。複数のタスクを同時にこなすこともありますが、それも成長の機会と捉えています。
藤本氏:お二人のお話から、小規模なチームならではの上司との距離が近く、和気あいあいとした雰囲気が伝わってきたのですが、実際の社内の雰囲気はどのような感じなのでしょうか?
戌井氏:現在、S.BLOXとしては50名ほどの社員が在籍していますが、実際にオフィスに出社している人は少なく、日によっては10人未満のこともあります。
在宅勤務のメンバーも多く、外部とのつながりもあるので、コミュニケーションはSlackを通じたテキスト形式やWeb会議がメインになります。小さい組織だということもあり、役職による上下関係のようなものはあまりない、フラットな組織だと感じています。
ソニーとして、設立趣意書にある「自由闊達(かったつ)にして愉快なる理想工場の建設」という表現がよく引用されますが、私たちS.BLOXにもその精神が十分反映されてきていると思います。
ソニーグループの充実した福利厚生制度
藤本氏:今回のインタビューは、転職希望者の方がメインでご覧になると思いますので、福利厚生についても気になる方が多いかと思います。
ご自身がよく利用されている制度なども含めて、福利厚生制度について教えていただけますか?
村山氏:私自身がよく利用しているのは、ワークライフバランスに関わる制度です。勤務時間が柔軟だったり、リモートワークが可能だったりする点はすごくありがたいです。
戌井氏:福利厚生のラインナップを簡単にお伝えしますと、まず、リモートワーク中心の方が多いので、会社負担で自宅のインターネット環境に支援する「NUROTW支援サービス」という福利厚生を導入しております。この回線は、業務以外に使うこともできます。
他にはソニーグループの持株会にも入れますし、住宅ローン金利優遇やグループ保険などもあります。また、おもしろいところでは、「ランドセル贈呈式」というソニーのファウンダーの一人である井深さんの発案で始まった取り組みがあります。社員のお子さんが小学一年生になる際にランドセル(または文具セット)を贈呈しています。ソニーグループの仕組みを積極的に取り入れて、S.BLOXとしても実現できるようにしています。
藤本氏:非常に魅力的な制度ですね。ここまで手厚い制度を受けながら、ワークライフバランスも考えつつ、チャレンジできる環境はなかなかないと思います。
S.BLOXの強みと、求める人物像
藤本氏:さらに御社ならではの強みや、競合他社と比べた際のアピールポイントなども教えていただけますか?

戌井氏:私たちの強みの一つは、もともとのメンバーに加えて、私以外にもソニーグループから来たメンバーが多くいる点です。
ソニーグループの文化が自然と根付く環境で、働いている人たちも「ソニーらしさ」を感じやすいのではないかと思います。これから未来に向けてチャレンジしていくには、とても良い環境だと感じています。
藤本氏:今後、どんな方と一緒に働きたいか、率直なご意見を伺えますか?
戌井氏:私たちの部署というところでいうと、直接お客様と対面する機会はありませんが、メールなどを通じた文字でのやりとりはありますので、そうしたコミュニケーションを丁寧に行える点を大切にしています。オペレーションを行う、新しい事務を構築するという場面においても、お客様の立場に立って考えられる、そんな方と一緒に働けたら嬉しく思います。
また、細かい事務作業も多いので、そういった仕事を丁寧に、正確にこなせる方。一見、派手な業界に見えるかもしれませんが、地道な業務も多く担っているので、事務処理の精度に自信がある方にも向いていると思います。
私たちの部署だけでなく会社全体としても役職や部署にとらわれず「みんなで一緒にやる」ことを大事にしていますので、新しい価値を創出するために、部署を超えて意見を交わし、チームワークを大切にしながらチャレンジできる方とともに働くことを楽しみにしています。
業界ニュースへの関心と今後の目標
藤本氏: 村山さんは業界に興味を持って入社されたので、日々ニュースなどもチェックされていると思いますが、最近印象に残っている業界ニュースや、関心を持っているトピックがあれば教えていただけますか?

村山氏:最近特に注目しているのは、暗号資産に関する規制整備の動向です。2026年には暗号資産が金融商品として正式に位置づけられる可能性が高まっており、これにより市場の透明性と信頼性が向上することが期待されています。さらに、税率が20%に引き下げられるなどの措置が取られれば、暗号資産の普及が一層進むでしょう。このようなポジティブな変化が業界全体に与える影響を考えると、非常に興味深く、日々ニュースをチェックしています。
藤本氏:実現すれば、一般の方が使いやすくなる条件も整ってくるので、日本もようやく動き始めたなと実感しています。
今後挑戦したい仕事や身に付けたいスキルはありますか?
村山氏:現在、様々な分野を模索中ですが、特に興味を持っているのは顧客資産の管理や口座開設の審査業務です。これらの分野は、アンチマネーロンダリング(AML)やテロ資金供与対策(CFT)といった重要な知識と経験を必要とします。これらのスキルを身につけ、専門性を高めたいです。これにより、顧客がより安心して利用できる環境を整えたいと考えています。
転職を考えている方へのメッセージ
藤本氏:それでは御社に興味を持っている方へのメッセージをお願いします。

戌井氏:S.BLOXはまだ新しい会社ですが、少人数ながら多様なメンバーが、それぞれしっかり活躍しています。
これまでお話ししてきたように、自由闊達で愉快な職場を体現できていると思いますので、新しい価値を一緒に創っていける方をお待ちしています。
村山氏:私は、学生時代から暗号資産に強い興味と可能性を感じ、その情熱を追求するために入社しました。 なのでWeb3や暗号資産に対する興味と熱意を持って話し合える方と一緒に働けたら嬉しいです。
藤本氏:村山さんも学生時代から関心があって入社された背景をお持ちなので、新しく入ってくる方とそういった話ができる雰囲気は、とても嬉しいと思います。短い時間でしたが、会社の方向性が非常によく分かるお話を聞かせていただき、ありがとうございました。
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