Web3 Wallet in the future

Kakiya氏登壇写真

2022年7月15日に開催された「Web3 Conference Tokyo Vol.2」のセッション “Web3 Wallet in the future”をレポートします。

Masa Kakiya(まさ かきや)氏 
Director, ConsenSys
オラクルファイナンシャルサービスグローバルビジネスユニットのセールスディレクターを経て現在、ConsenSys Japanのストラテジック・セールス・ディレクターとして、現地での取り組みを統括しています。柿谷は、ING銀行でキャリアをスタートし、ICAPのFXブローカー、ヘッジファンドのセールスマネージャー、MurexのBDマネージャーなど、金融業界で数多くの役職を経験しました。MurexのBDマネージャー、ICE(Intercontinental Exchange-SuperD)の日本でのオペレーションを指揮した。慶応義塾大学経済学部卒。

Kakiya氏:ConsenSysのKakiyaと申します。よろしくお願いします。本日は、ConsenSysの取り組みに関してご案内したいと思います。よろしくお願いします。

ConsenSys事業説明資料

ConsenSysとは、MetaMaskを運営している会社です。他にも、上の画像のようにフルスタックなプロダクトラインを展開していますが、SaaSベースのソフトウェア会社と思っていただければと思います。2014年からいろいろと沿革がありまして、トランスフォーメーションを行っていますが、基本的にはインフラを支えている会社です。

今までBtoBに特化したソリューションを展開しております。ちなみに、画像左下にあるQuorumは、財団に預けているレイヤー1のインフラになります。JPモルガンから2018年~2019年の年初にIPを取得して、私どもで展開して財団に委託しています。

これに併せて、Go言語のGo QuorumとHyperledger Besuというものも展開しています。これで何が出来るかというと、プライベートチェーンです。実証実験でPoC(概念実証)をやりたい会社に対して、プライベートチェーンのネットワークの構築をしてノードを管理するようなソリューションになっています。プライベートキー管理から、エンタープライズグレードのプライバシーやセキュリティを担保しています。

我々の主軸の商品は、「INFURA」というブロックチェーン上の読み書き、メタデータの抽出ややり取り、オンチェーン・オフチェーンデータ活用、その他、分散型のデータストレージのIPFSなど、ガスタンクというガス(手数料)管理、フィアットオンランプという法定通貨でしか使えない、Web2の会社に対してそういったガスタンクを設けて、私どもでクリプトを管理します。そういうガス管理とトランザクション管理も「INFURA」の中に入っています。基本的には、今はもうプライベートではなく、パブリック上の実証実験に注力しています。

Kakiya氏登壇写真2

あと、最近イーサリアムの「The Merge」の話がありました。テストネットで、クエリとプラッターが8月中旬頃に実装して、主として今ビーコンチェーンにバリデータが30万人ほどいます。おそらく9月以降になればイーサリアム2.0のフルマージがようやく始まるのでしょうか。毎年遅れていますが、期待していてください。

我々、ConsenSysはイーサリアムプロトコルベースの会社です。私どものファウンダーのジョセフ・ルービンは、ヴィタリック・ブテリンが書いたホワイトペーパーに感銘を受けて、最初に参画したイーサリアムの第一人者の一人です。ということで、イーサリアムプロトコルベース、EVM(イーサリアム仮想マシン)プロトコルベースの展開が多いです。

最近はトーンダウンしていますが、我々が得意としていたSTOの発行プラットフォームやCBDC(中央銀行デジタル通貨)プロジェクトやAML(マネーロンダリング対策)/KYC(本人確認)などといった、アプリケーション&ミドルウェアは、プライベートチェーン同様ストップしています。「TRUFFLE」というのは、サンドボックス環境でPoC、スマートコントラクトを実装するものです。「Diligence」はコード監査です。OpenZeppelin同様のフルオーデッドするものです。

最近は、MetaMaskの青いバージョン、機関投資家向けのKYCとAMLを担保してカストディアンを裏につけた形の「MetaMask Institutional」と言われる機関投資家グレード向けのMetaMaskも展開しています。

ConsenSys事業説明資料2

上の画像は私たちの今までの実証実験を反映しているものです。ここで一番肝心なのは、INFURAのコミュニティ数です。40万人のコミュニティを基にオープンソースでやっていますので、開発者に対しては、SLA(サービス品質保証)やクエリに対して潤沢なリソースを確保しています。なので、インフラ上で何かしら実装したい場合は、競合他社と比べてサポートが行き届いている点が強みとして、差別化が図れる点です。

MetaMaskの利用数の増加はNFTブームと比例しています。2020年頃に「Axie Infinity」などのGameFiといわれるPlay to Earnのゲームが東南アジアで流行しましたよね。フィリピンやインドネシアなどでNFTブームがあった時に、MetaMaskのダウンロード数も増えて、今はアクティブユーザーが約3000万人になっています。これも、お陰様で毎月30%~40%の増員という形で、皆様にご愛顧いただいております。

また、上の画像の通りこのような企業とパートナーシップを組んでいます。マイクロソフトさんとはQBSという別のソリューションがありまして、ブロックチェーン・アズ・ア・サービス(BaaS)ですね。こういった形でより柔軟的にブロックチェーンを展開できるように、Azureのマーケットプレイスに我々のQuorum、QBSサービスをローンチしました。リリースしたのが2日前です(イベント開催時2022年7月時点)。ぜひチェックしてみてください。

ConsenSys事業説明資料3

上の画像は分かりやすく図にまとめたものなのですが、ConsenSysでは1000億円程のトークン発行プロジェクトを進めています。なおかつ、ブロックチェーン上のトランザクションに関しては、10億以上やっています。老舗中の老舗で、イーサリアムプロトコルベースでのやり取りはどの会社にも負けない自負があります。

ConsenSys事業説明資料4

上の画像は我々の新しい「INFURA」の取り組みです。NFT APIは何かについてご紹介させていただきます。開発者の方はお分かりだと思いますが、SDK(ソフトウェアディベロップメントキット)を活用して、実際にNFTを作る際には、ethers.js、JSONのAPIを一から構築して、スマートコントラクトをデプロイして、mintのスマートコントラクトをまた開発します。その間のデータのやり取りや、NFTをインタラクトする際に、非常に煩雑なワークフローになってしまいます。いわゆるコードを書く時も、ボイラープレートコードといいますが、ローコードの真逆で、タスクが少ないのにコードが膨大になってきます。

私どもの「INFURA」では、それらを軽減させる装置として、NFT APIミンティングが楽にできる開発者向けのテンプレートやライブラリを用意しています。それぞれのトピックに合わせて、ERC721とERC1115をサポートしながら、マルチチェーンでスワップできるMetaMaskのスワップアグリゲーターを使って、そのようなことを実現しようとしています。非常に柔軟性を担保している、開発者向けに展開中のソリューションです。こちらは6月中旬にNFT. NYCで発表しました。

ConsenSys事業説明資料5

併せて、機関投資家向けの青いMetaMaskについてもお話します。これで何が出来るかと言うと、MetaMaskは元々はポートフォリオ管理を得意とするGUI、UI/UXになっていて、それを基にNFTのポートフォリオの管理ができます。

機関投資家の中には、投資もしくは投機目的を持って、NFTをやっている方もいらっしゃいますよね。そういった方たちは個人のアカウントとして分けることで、NFTのフェアマーケットバリュー、時価評価に近いマーク・トゥ・マーケットで、OpenSeaの価格と流動性に合わせて、自分のポートフォリオのNFTがどれだけ価値があるのかをビジュアル化された内訳で見ることができます。また、ポートフォリオもすべて組み込んで、NFTを管理できるという仕掛けも取り入れています。

ConsenSys事業説明資料6

次に「MetaMask Snaps」についてお話します。これはMetaMaskファンにとって非常に優れた、面白い仕掛けだと思います。我々はPoCの実証実験など、企業様向けのソリューションを行っていますが、こちらは開発者向けに寄っています。なぜかというと、開発者なくしてはWeb3は形にできないので、Web3形成に欠かせない開発者向けのソリューションが必要だと考えているためです。そしてこの開発者向けに開発した「MetaMask Snaps」で何ができるかと言うと、独自のAPIを構築して、MetaMask上で、SDKと似たような形でいろいろなアプリケーション、マイクロサービスなどを作っていくことができます。

将来的にはMetaMaskをApp storeのようにMetaMask App Storeを作るとしたら、その周りに付随するサービスや、セキュリティのレイヤーなどを展開することができるかもしれません。例えば保険などです。MetaMask上で誤送金をしたことがある方もいらっしゃるかと思いますが、そういうものをあらかじめ保険という形で、取引にベーシックスプレッドとして乗せるのか、送金する前にデジタルなお金をいくらか払うと、何かしらMetaMaskのサポートとその保険会社のクレームを受け取れるようにします。誤送金したとしても、円滑に何パーセントか戻ってくるような仕掛けをこの「MetaMask Snaps」上で実現できます。

ConsenSys事業説明資料7

実は、ローンチしてからこの2カ月、今流行りのZKロールアップの老舗であるStarkWare等と手を組んで、StarkWareのトランザクションをすべてMetaMask上で可能にするという試みをしています。いわゆるディープリンキングという形でSSIログインとアカウントを全部紐づけてトランザクションだけを管理します。そして、そこでまたミラーサイトでスワップしてStarkNetのGUI、UI/UXに変えるなど、アカウント上でのトランザクションやマルチネットワークのシームレスな置き換えを実現するということです。

「The Filecoin Snap」では、IPFSのProtocol Labsが運営しているものなどもFilecoinのキーを使用してクリプトグラフィーのメッセージや署名ができます。このように、いろいろな仕掛けができますので、ぜひ日本の皆様と協同してできればと思います。

ConsenSys事業説明資料8

最後に、Web3に対して私どもがどのように取り組んでいるか、どういう考えを持っているか、私見で申し上げます。Interoperability、いわゆるConnectivityやComposabilityとも言いますが、マルチチェーン、ブリッジング、サイドチェーンなど、これらみな独自のエコシステムで独自のプロトコルでコミュニティを抱えて運営したいと考えています。Gavin Woodが提唱しているように、最終的にWeb3はいろいろとデータの処理のやり方が違うオーナーシップです。元々、Web1は読むだけ、Web2が書いて読む、Web3は書いて読んでその上オーナーシップを所有できるということです。

またMetaMaskの話に戻りますが、MetaMaskはWeb3のゲートウェイです。途上国でもモバイルとMetaMaskさえ持っていれば、どのDapps、どのWeb3のアプリ、サービスにも繋げられるということになります。例えば、Play to EarnでNFTを取得して、そのNFTに価値が出ます。それを半分換金して、そのものをステーキングしたい、DeFiに繋げたい、そのNFTもOpenSeaで売りたいとなった時、MetaMaskとモバイルさえあればWeb3に全部繋げることができる。これが私たちのポジショニングです。

ですがこれを一つのWeb3の形というよりも、Harmonaize、Unityなどと表現していますが、皆で手を組んで、それを基にネットワークエフェクトがあって、皆でナレッジトランスファーをしてWeb2からWeb3にしようとしているブリッジングなどを構築していきたいです。そうするとマルチネットワークのWeb3の新たな形が見えてくると思います。覇権争いなどいろいろとありますが、そこを念頭に置いていただいて、皆で共通認識で展開したいと思います。

Kakiya氏登壇写真3

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