【第1回合同説明会レポート】カレンシーポート株式会社

カレンシーポート株式会社 代表取締役CEO 杉井靖典氏

 

「よろしくお願いします。カレンシーポート株式会社の代表取締役をしております杉井と申します。よろしくお願いします。これご存知でしょうか。FINOLABというFINTECH CENTERが大手町にございまして、当社はそちらに入居しています。3年目になりますが、まだ(社員が)17名ほどしかいませんので、今日これからの話を聞いて『こんなことを17名でやっているんだ。大変だな、入ってやろう』と思っていただけるとありがたいです」

 

ブロックチェーンを使ったビジネスの川上から川下まで

 

「自己紹介を簡単にしますと、経産省や日銀、全銀協といったところの有識者委員会でブロックチェーンのアドバイスをさせていただいています。他には、ブロックチェーンの各種協会がございまして、こちらの方で理事をさせていただいたりしています。その他、何冊か本も書かせていただいております。ブロックチェーン関係ではそこそこ色々やらせていただいているかなと思っております」

 

「私どもの実績紹介をさせていただきますと、筆頭に挙がってくるのはこちらかなと思っております。みずほ銀行様のシンジケートローン業務をブロックチェーン、この時にはイーサリアムを使って実装しました。当社が技術的な支援をさせていただきました。この他にはJPX(日本取引所グループ)さんですね。こちらワーキングペーパーが出ていますのでご覧になった方もいらっしゃると思いますが、そちらの実証実験も当社が技術支援をさせていただいておりました。この他にもいくつかやっていまして、ちょっとこれは毛色が違うんですけれども、スタンプラリーですね。千葉県千葉市辺りを巻き込んだスタンプラリーをさせていただいたり、いくつかのバレーボールリーグ、プロ野球リーグで実験的にコインを大量に配布するといったことをさせていただいたりしながら、少しずつノウハウを貯めております」

 

「ご存知の方もいらっしゃるかと思うんですが、1円で為替が安定するといったところ。これはBCCC(ブロックチェーン推進協会)のプロジェクト(デジタルトークン「Zen」の社会実験)なんですが、設計を当社がやらせていただいております。その他、JCBさんの、つい先日こちらは発表させていただいたんですが、インターオペラビリティですね。ブロックチェーン間の相互接続、ビットコインやらイーサリアムやらたくさんありますけど、そういったところを相互に接続していくといったことをやらせていただいております。こればかりは当社だけではできないので、今日もいくつかブロックチェーン関係の企業さんがいらっしゃると思いますが、ご協力いただいてやっていこうじゃないかと考えています」

 

「この他にも色々な企業さまの背景でコンサルティングや設計、実行をやらせていただいています。例えば食品のトレーサビリティをブロックチェーンでやってみましょうとか、サプライチェーン上でコインを発行して売掛金、買掛金をなくしてキャッシュフローを改善しましょう、というプロジェクト。コインを使った駐車場の自動決済システムと予約システムを作ってみようとかですね。動画や放送で光にITを埋め込む技術というのを、当社と富士通さんで共同開発したものがあります。それを使ってテレビ番組にITを埋め込んで、それを撮影するとコインを配布できます。これは今の所、実験では上手くいっていまして、今後放送に入ってくるんじゃないかなと思います。皆さんお見かけすることがあったら『あ、これか』という風に思っていただければ」

 

「問診をベースとした健康管理評価もしています。これは健康をコインみたいなものに置き換えます。要は指標みたいなものに置き換えて、トークンを集めることによって正しい行動をすると健康になっていく、というような保険を作っています」

 

 

「現在、当社の稼ぎ頭は取引所のシステムを作っていることです。取引所の背景をやっておりまして、海外・国内何社かやらせていただいておりまして、今後新しく参入されようというところもいくつかやっております。後は、本人確認をする証明ですとか、それの鍵の管理ですね。昨今色々と問題が起きていますが、そこをさらに、コールドウォレット、シグネチャ化するような、そういったところをやらせていただいたりしています。そして、それに接続するのに必要な流動性マーケットリクイディティみたいなものを取り次がせていただいたり、そういったところをやっている会社です」

 

「これは取引所の仕組みですよ、というところを簡単に説明しておきます。ブロックチェーンとはあまり関係ないですが、生体認証のシステムをやっていたりします。本人確認なんかも、ブロックチェーンとは関係ないんですが、必要なソリューションとしてやっています。当社はそういうところでやらせていただいているんですが、取引先様は比較的大手ばかりです。取引所さんで新規参入されようというところもありますが、そういったところも大体上場会社など、大きな企業が多くなっています」

 

「大規模になりますと当社だけではできないところもありますので、ソリューションとして色々なパートナーさんと一緒にやらせていただいています。指紋認証や顔認識、IPアドレスや特殊印刷、認証系のところであったりとか。本人確認をするのに郵便局さんにも色々お手伝いしていただいたりとか、取引所向けに保険を設定させていただいたりとか。ブロックチェーンといいますと、技術が中心になるかと思うんですが、当社はそのブロックチェーンを使ったビジネスを展開するのに必要な道具を川上から川下までやらせていただいているので、わりと幅が広くなっています」

 

求める人材とは!?

 

「今回求めている人材は、先ほど申し上げました取引所やらウォレットのシステム、あるいは保険も含めて、全部スクラッチで作っていて、著作権等々も当社が持っています。という中で、基盤技術から真面目につくっているわりかし効率の悪い会社です(笑)。そういったところで、基盤の研究開発者というのが全く足りません。暗号、署名、Hash、秘密分散法といったところや、BtoBのネットワークやらストレージ、後はそれの分散取引ができるとか、DLT構成技術に興味、探究心がある研究者を特に求めています。当社は役員に弁理士がいる程度には特許をコンスタントに出しておりまして、わりかし研究からやっているところをアピールしたいです」

 

「さらに、エンジニアに関しましては、ブロックチェーンのエンジニアですね。いわゆるノードを立ててマインニングをしたことがあるような方。皆さんご存知だと思うんですが、仮想通貨のウォレットは、一個一個コインごとにアルゴリズムや署名とか使っているカードが違うんですね。そのため一個一個作っていかなければいけないという面倒臭さがあります。こういうのを支えてくれるエンジニアやトークンのエンジニア。これはいわゆるビジネスがある時に設計からやるのですが、ビジネスのメタファーをウォレットに置き換えたりトークンに置き換えたり。じゃあそのトークンはファンジブルなのか、ノーファンジブルなのか、とかそういったところを設計したりするというお仕事がございます」

 

「さらにセールスですね。セールスなんですけど技術よりのセールス、つまりブロックチェーン・仮想通貨・暗号等の基本技術のリテラシーを持ちながらビジネスリテラシーがある人。ここがすごく不足しています。わりかし、技術者の方はいらっしゃるといえばいらっしゃるんですが、ビジネスというところで中々マッチする方がいません。そういったところのキャッチアップが上手な人は、一方で中々技術が追いつかない。この業界だけに限った話ではないと思いますが、ここが1番欲しているところです。当社には専門外のことも正直あります。色々な企業様、サプライチェーンやらなんやら出てきますので、色々なところに色々な法律が出てくるんですね。当社はベンチャー企業としては珍しいと思うんですが、3社くらい顧問契約先があったりします。これは一つひとつ専門領域の専門家の弁護士をつけてプロジェクトに臨んでいるということなんです。こういったところで、コンプライアンス法の担当も我々としては非常に欲しいなと思っている人材でございます」

 

 

ほとんどの社員が副業をし、中には社長も!

 

「当社の話にまた戻りますが、大手町にございます。皆さんご存知の大手町駅は非常に便がいいところでございまして、東京駅からも歩いて来れますし、お昼ご飯も400円くらいから食べられます。これ丸の内だとプラス500円ないと食べられないですよね(笑)。六本木辺りでも中々難しいですね。『FINTECH CENTER OF  TOKYO FINOLAB』というところに入っています。このFINOLABにはですね、国内だけではなく海外の最先端のFINTECHの企業が40社くらい入っています。こういう皆さんと交流をしながら技術を高めていけるというところも、人のふんどしなんですがいいところかなと思っています。一部屋一部屋のセキュリティは非常に高いです。例えば、当社はエントランスから部屋に入るまでの間に4回指紋認証をしないと部屋まで辿り着きません。そういうわけで中々入れないんですが、週に1回は中にいれば交流ができます。月に1回だけ、外部の人も指紋認証1回で入れる場所にフロアがありましてビアバストをやっております。見学なんかもこういう際にはできます」

 

「そして、当社のここが売りですというところです。働き方ですが、当社は17名ほどしかいないんですが、ほとんどの社員が副業をしています。副業をしていて、なおかつ社長です。しかも、社長として今日ブースを出している人も何人かいます。元々、国内の中では当社は1番早くからブロックチェーンのプロジェクトに取り組んだ企業かなと思います。そして当社でエンジニアをしていた人たちが自分で起業をします。簡単にいうと人材が流出しているんですけれども(笑)。そういったこともあって、就業時間はわりかし自由でございます。自分で決めてくださいと。実際に週2日くらいしか来ない方もいるんですが、どちらかというと縦割りというより、1日を午前中今いる会社にいて午後に当社にくるというようなシフトで働いている方もいます。そこから正社員になった方もいます。そういった形でまずは業務委託から簡単に始められるというところをアピールしておきたいなと思います。最後に質疑応答をさせていただきます」

 

 

会場からの質問:「自分でブロックチェーンのノードを回している方は、具体的にはどんなことをやられているんですか?」

 

「ノードを回す理由はいくつかあります。当社は取引所の背景の仕事などをしていますが、その中の1つに大きなお金の動きがあったら世界で1番最初に検知したいというニーズがあったんです。それで何を作り出したかというと、ノードを立てるというよりはプロトコルの口を立ててスクーリングしてリアルタイムに、うちはAzureを使っているのでAzureでいうとCosmosDBの中に、バっと打ち込む。そうすると15ミリセカンドくらいで書き込まれて、世界中に伝播するのが大体150ミリセカンドくらいです。そうすると、200ミリセカンド以内くらいに、どこの世界中のノードから飛んできてもデータベースが構築できると。これは、多分早いです。こういうのがあって、例えばどこかの地域からノードにポンとデータが投げられてそれを瞬時にキャッチすると、次にこういう値が動くんじゃないかと。こういった用途に使ったり、あるいは最近、トレーサビリティ、いわゆる犯収法という犯罪収益移転防止法ですね。お金がどこからどこに動くかということをトレースしていくような仕組みがあるんですが、それを組み立てていくと何が分かるようになってくるかというと、ブロックが1個でき上がる。例えば、ビットコインは10分おきにデータベースを構築していけるんです。ダブルステントを最初にどうやったら検知できるかといった時に、ノードを立てているといち早くそれをストップできたりします。そういった実験的なことからやっています」

 

会場からの質問:「プライベートでブロックチェーンのテストネットを立てて実験するという形ですか?」

 

「実験はそういうところもあるんですけど、わりかしちゃんとテストネットだけじゃなくて、実物でもやります。そういうことでいうと、うちはエンジニア向けに毎月100万円分のノードを用意していて自由に使えと言ってやっています。エンジニア一人ひとりではないですが、エンジニアグループに100万円ほどの予算を割いて色んな実験をやっています。そういうことをやってみたい方はぜひお声がけください」